北斗side
結局、週刊誌からは記事が出されなかった。
まぁ、俺らが写真をアップした後に嘘の記事を出しても炎上するだけだから当たり前だけど。
俺は無事に芸能界に復帰し、メンバーもドラマや映画に出てSixTONESの人気を上昇させた。
ストチューブもしばらくして再開し、だいぶ元通りの生活に戻ってきた。
しかし、ライブだけは行わなかった。
あの事故に対して俺らはトラウマを抱えている。ファンの人でもトラウマになっている人はいるだろう。
実は、俺が復帰して半年後くらいにライブをしようとみんなで計画していた。
でも、いざステージに立ってみると震えが止まらなかったのだ。
それはメンバーも同じ。
ジェシーは周囲をずっとキョロキョロしていて不安がってたし、慎太郎も少し気分が悪そうだった。
こーちは不安になっていたのか、ダンスの振りをド忘れしたりしていた。樹なんて少し過呼吸になるくらい。
それくらい、トラウマになる事故だった。
もちろん、そのあと精神科を受診して薬をもらって安静にしている。
だけど、俺らの本業はアイドル。
ファンのみんなのために最善を尽くさなくてはならない。だから、だから。
今日、俺らはステージに立っている。
慎太郎side
やっぱりアイドルは楽しい。
沢山の光が俺らを照らしているとき、俺はそう感じた。
北斗ときょもがいない時、俺らはグループでの仕事がごそっと減った。
おそらく、配慮だろう。
だからほぼ個人仕事のようなもの。
メンバーには1ヶ月以上会えてなくて、寂しい思いをした。
もちろん、個人仕事は楽しいし、鉄腕DASHのみなさんも俺をフォローしてくれた。
でも、なにか物足りなかった。
それが”アイドル活動”だということを理解する のにはしばらく時間がかかった。
俺の本業がアイドルだということを理解するのにはおそらく相当時間がかかっていただろう。なのに、ついてきてくれたファンのみんなには感謝しかない。
今日はとっても楽しもうぜ!
ジェシーside
歓声と悲鳴が上がる時、俺は毎回のようにあの事故を思い出してしまう。
でも、それを上回るくらい今は楽しい。
一度、俺はラジオの発言で炎上した。
「大我がいなくても俺らは大丈夫。SixTONESだから。」
この言葉が切り取られ、俺は炎上した。
この言葉を”大我がいなくてもいい”という風に解釈した人がいたという。
最初その意見を聞いた時は理解できなかったが、今は理解できる。
俺自身、なんであんな発言したのかわからない。
しかも、この発言のせいで俺を推すのをやめたファンの子も沢山いた。
だから、ペンライトの色も赤は少なめ。
でも、まだついてきてくれてるファンの子もいる。感謝しかない。
こんな俺を推してくれてありがとう。
少し、感情が高ぶってしまった。
サングラスをして目を隠し、いつも通りに歌を歌う。
さあ、楽しいライブの始まりだ。
こーちside
正直、不安だった。
またあのような事故が起きたら今度こそ俺は立ち直れなくなる。
でも、それでもみんなはライブをやりたいと言った。
俺らはアイドルだから。
本業が、アイドルだから。
曲を歌っている時、北斗と目があった。
北斗は、前と同じように笑っていた。
周りを見渡すと、ジェシーも、慎太郎も、樹も
前と同じように笑っていた。
あぁ、嬉しいな。
あぁ、楽しいな。
やっと、楽しいという感情が戻ってきた。
その時、悲鳴が上がった。
少し驚いたが、どうやら事故が起きたわけではないようだった。
樹が小声で俺に伝えてきた。
樹「今の表情、すげぇアイドルだった」
そして、樹もまた笑い、悲鳴が上がる。
俺に対する悲鳴だったのか。
アイドルって、面白え。
樹side
ライブ前のリハーサルの時、俺は少し過呼吸気味になってしまった。
目の前に広がる血の海。
俺がこの光景を忘れることはできなかった。
ハァハァ、と苦しそうな呼吸する音だけが聞こえ、そのほかの音は耳鳴りがして聞こえなかった。
曲が始まる前の真っ暗な状態で過呼吸になってしまったので、少しの間、孤独だった。
でも、すぐにみんなが異変に気づいてくれたから俺は今ライブに出れている。
今でも心臓の音は早い。
少し気を抜くと過呼吸になりそうだ。
でも、大丈夫。
俺は、アイドルだ。
6人お揃いで買ったキーホルダーを握りしめながら、MC前最後の曲を歌い切った。
いつもより、景色が鮮明で綺麗に見えた。
北「と、いうわけでね。久しぶりのライブですがファンの皆さん楽しめてますかー!!」
ファン「いえーーい!!」
慎「楽しめてるみたいですね!!よかったよかった!!」
樹「俺らも久しぶりのライブだけどさ、まじで疲れるわ。ライブってこんなに体力使う?」
こち「体力落ちたな俺らも笑」
ジェ「やっぱり筋トレは大事だなー笑」
そんなかんなでMCを回していると、突然照明が暗くなった。
こんなことは聞いていない。なにかのトラブルだろうか。
北「え?なに?」
ジェ「なんかのトラブル?」
慎「どした??え?」
こち「なになにこわいこわい。」
樹「えー、みなさん落ち着いてください。何かのトラブルかな?ちょっと待とうね。」
不安な気持ちになりながらも、俺はメンバーとファンを落ち着かせた。
その時、ステージに一つの照明が当たった。
ファンのキャーーーー!という悲鳴と共に、
俺らも視線を動かした。
そこには、アイドルの彼がいた。
京本side
あー、ドキドキする。
数年ぶりのステージにはワクワクするし、不安もある。
俺は今も車椅子だ。何かを支えながら立つことはできるが、歩くことはできない。
そんな俺をライブに出してくれたのは昔からSixTONESを支えてくれたスタッフだった。
車椅子でも楽々と動けるように、
セットは極限まで段差をなくしてくれた。
俺がライブに出ることはメンバーにもファンの子にも伝えていない。
サプライズだ。
もちろん、俺が出たMCはYouTubeにUPする。
ここも抜かりない。
ついに、MCが始まり、ライブ会場が真っ暗になった。
俺は位置につき、イヤモニから合図を聞き、
ステージに行った。
照明が俺を照らし、ファンの悲鳴が聞こえる。
マイクを持って俺はこう言った。
大「楽しんでるかー!!!」
ファン「キャーーーーーーー!」
メンバーもすごい驚いている。
樹「きょも、?!」
慎「なんで⁈」
大「スタッフの人と協力して出ることになった!」
ジェ「でも今日リハビリがあってライブ見れないって…」
大「嘘に決まってんだろー?笑」
こち「せめて俺らには伝えろよ..笑」
北「京本…」
北斗の目は潤んでいた。
大「えー、ファンのみんな、お久しぶりです。数年振りかな?ごめんね。数年間も会えなくて。でも、着いてきてくれてありがとう。そのおかげで俺も今、ここにいれる。本当に、ありがとう。」
ファンの悲鳴を聞き、俺も潤んだ。
大「そして、スタッフの皆さん、俺の無理な願いを実現させてくれてありがとうございます。本当に、ありがとうございます。」
大「そして、樹、北斗、ジェシー、こーち、慎太郎。俺をSixTONESに居させてくれてありがとう。…ただいま!」
ジェシーは俺に近づいてきてハグをした。
ジェ「おかえり、、、」
それをみてみんな近づいてきてハグをした。
ただいま。みんな。
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コメント
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毎話ワクワクしながら読んでました! SixTONESの絆、大好きなんです。ありがとうございます! 機会があればリハビリの話や続編もよんでみたいです。