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ブクマ失礼します🙇♀️
目を開けた途端、見える愛しい彼の寝顔。
身体を起こせば自身が半裸である事に気付く。
ああ、昨日、したんだっけ。
莉犬、可愛かったななんて思い淡い桜色の頬に触れた。
ベッドから降りて、クローゼットの取手に手をかける。
着替えてから、キッチンへ向かった。
もやもやと浮かびあがり消える湯気の浮かび上がるカップを手に取る。
ほう、と一息付いてから一口飲み込む。
そのまま寝室へと戻った。
未だに眠っている彼の隣に座り、頬に垂れる髪に指を通した。
すると彼は寝返りを打つ。
「んん……」
「…起きた?りいぬ」
「…さとみくん、」
ぱちくりと大きな瞳を瞬かせ、こちらを見つめた。
ゆっくり彼が起き上がると、色白の身体が万弁に見える。
「…待って、おれ、裸じゃん」
「さとみくん服ちょーだい」
白いシーツに帯びられた身体を俺にすり寄せて、腰へと腕を回す。
ぎゅっと軽く彼の腕の中に包まれた。
俺は彼の頭をそっと撫でた後、再びクローゼットに手をかける。
「はい、あっち向いてるから着替えちゃいな」
そう言い、壁に目線を合わせると、吊るされたカレンダーと目があった。
今日は、二月の二十四日。
あれ、俺誕生日じゃん
早いなぁなんて思っていたら後ろから肩を叩かれる。
振り向けば、俺の服を着た彼が。
「なぁにりいぬ。俺の服着たかったの?」
そう煽ればぎゅうっと抱き着いてくる。
まだ眠たいのか、行動がやけに素直だ。
「さとみくん、誕生日、おめでと」
「急だなぁ、ありがと」
「なんさい?」
「二十九」
「もう三十じゃん」
そう言って彼は俺の瞳を見つめた。それから、またぎゅっと深く抱き着く。
「さとみくんはずっとかっこいいから大丈夫」
「おめでとうのちゅーは?」
流石にちゅーはしてくれないみたいで、きっと睨まれた。
それから莉犬は俺の身体から一度離れ、ごそごそと何かを取り出した。
桃色の紙袋に、白いリボン。
「はい、プレゼント」
袋の中を覗くと、小さな箱が丁寧に入っていた。
手に取ると、小さな手紙と再び白いリボンが付いていた。手紙に、おめでとうの文字。
俺は莉犬の瞳を見つめる。
目が合うと、二人で微笑みあった。
「それがプレゼント。開けてみて?」
優しく開くと、円の始まりに緋色の宝石の付いた、ピンクゴールドのリングピアスが入っていた。
「お店で見つけて、これしかないって思ったんだけど……」
俺は莉犬を抱き寄せる。
「すげー嬉しい…」
「ありがとう、りいぬ」
「……これからもよろしくね?」
静かに彼と唇を重ねる。
精一杯の愛をあなたに。
end