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ひとりにしないで
-Attention-
skfn より 紫赤.赤紫 / BL / 口調違い等
ご理解できる方のみお楽しみください🙂↕️
怖い 。
唐突にそう感じたのは日付が変わってすぐのことだった 。
先程までグループの動画を確認していて 、楽しそうなメンバーの声が頭を飽和していた 。
しかし 、ヘッドホンを机に置いた瞬間に訪れた静寂は耐え難いものだった 。
音のしない静かな部屋 。
強い孤独感に襲われる 。
1人になったり静かな空間になると強烈に不安を感じて苦しくなる 。
これは昔からのことだった 。
理由は多分 、ガキの頃の記憶 。
日常的に育児放棄されていて 、父親も母親も1週間近く家に帰らなかったことだってあった 。
あの時の 、物音一つしない部屋に1人で閉じ込められた時の恐怖が 、今も俺の心臓にぴたりとくっついてる 。
「 かわいくない声で喋るな 」
「 お前なんて堕ろしておけばよかった 」
「 あぁまだ生きてたんだ 」
未だに俺の心を引き裂こうとする言葉が脳に響く 。
忘れようと頭を振った 。
紫「 なつ … 」
掠れた声で恋人の名前を呟く 。
どうも今日は調子が悪いらしい 。
いつもより近い孤独が俺を蝕む 。
涙が溢れそうで仕方がなくて 、誰かの存在を確かめたくて手が震える 。
少し大袈裟に音を立てながらリビングへと続く扉を開けた 。
紫「 …え 」
リビングには静寂が続いていた 。
数時間前までなつが座っていたソファには数個のクッションのみ 。
部屋に戻ったのかと思いなつの部屋の扉も開けるがそこにもなつの姿はない 。
手の震えが酷い 。
呼吸が浅くなる 。
狭まる視界でひたすら家中を探す 。
しかし 、家の何処にもなつはいなかった 。
紫「 捨てられた…? 」
信じたくない悪い予感を呟く 。
怖い 。
捨てないで 。
ひとりにしないで 。
抱きしめて 。
抱きしめさせて 。
怖い 。
やめて 。
一緒にいて 。
視界は既に使い物にならなくなっていた 。
呼吸の仕方すらわからなくなり 、涙を流している気もする 。
まともな思考ができないまま 、俺は廊下の真ん中に座り込んだ 。
ガチャ
赤「 …え 、ちょ 、いるま !? 」
2人で夜食でも食べようと思いコンビニに赴き 、彼の好きな杏仁豆腐を手にるんるんで家に帰った深夜 。
玄関を開けると廊下の真ん中で崩れ落ちている恋人の姿が目に映った 。
赤「 ど 、どした?なんかあった? 」
左手に掛けていたビニール袋を適当に放り出し 、一目散にいるまの元へ近寄る 。
何があったのかはわからないが 、ひたすら涙を流すいるまに優しく声をかけた 。
紫「な 、つ ?」
赤「 うん 、なつだよ 。わかる? 」
俺の名を呼びながら朧気な瞳で俺を探すいるま 。
頬に両手を添えてやるとやっと目が合い 、また泣き出してしまった 。
紫「 なつッ 」
赤「 よしよし 、大丈夫だよ 」
いるまは掠れた声で俺の名前を呼び 、そのまま腕のなかに飛び込んできた 。
優しく抱きしめて頭を撫でてあげる 。
紫「 なつ…なつッ 」
俺を呼びながらひたすら涙を流すいるま 。
泣き虫な俺と違って人前ではほとんど涙を見せないいるまがこんなに泣きじゃくるなんて 。
2人きりの時も甘えるのは俺の方が圧倒的に多い 。
だからこんなに弱ったいるまを見たのは初めてで 、予想外のことだった 。
俺が何か変な行動をしてしまっていたのだろうか 。
もしかして黙ってコンビニに行ったことが原因?
でも今まで似たようなことがあってもこんなふうにはならなかった 。
それともいるまには大きな不安が押しかかっていたのだろうか 。
俺の知らないところで苦しいんでいたのかもしれない 。
涙を流し続けるいるまにはまだ答えを聞けない 。
ギュッ
いるまが俺の胸元を震える手で掴む 。
まるで「いかないで」とでも言うように 。
どうしてこんなになった姿を見るまでいるまが苦しんでいることに気づけなかったのだろう 。
申し訳ない気持ちと少しでも安心してほしい気持ちが混ざり合って 、俺はもう少し強く抱きしめた 。
赤「 大丈夫 、俺は何処にも行かないよ 」