今日の天気:晴れ。
閻魔のお仕事はいつも通り。
何かしら、裁きの庭を設ける際の研究材料になるかと、再視聴を始めた“金さん”に、またぞろドハマリする。
私も桜吹雪の刺青……、はさすがマズいので、絵でも描こうかな? お目付け桜、夜桜の。
そういえば、閻魔庁が用意してくれる座布団の硬いこと。
本当に、びっくりするほど座り心地が悪い。
中身を尋ねると、貝殻を細かく砕いたものを用いているとのこと。
そんなの、完全にお尻にケンカを売っている。
こんなのに座って、長い時なら丸二日、延々と法廷を開くわけだから、ホント泣けてくる。
“気張れ! 気張れ!”と、こちらはひと昔前の大河にどっぷりハマってるお父(荒)が、都度ごとに激励をくれるものの、本当イラッとする。
「今日のお昼、何にする?」
「それがよ! 女神さまが弁当届けてくれたのよ!」
「女神さま?」
「こう、前髪パッツンでな! 雰囲気がホヤホヤ〜っとしてて。もしかすると、ありゃ仏さまかも知んねえ」
「あぁ……、好みはあっちと一緒か」
ともあれ、本日も昼休憩。
法廷を出て、数台の自販機を取り揃えた売店に向かう。
まだ仮講の庁舎ながら、廊下はたっぷりと広さがあり、天井も豪奢だ。
工事を請け負ったのは、何れの工務店だったか。
袖の下では無いけれど、“どうぞ御贔屓に”と、そんなことを言われた覚えがある。
もちろん、聞く耳は持たない。
とくに疚しいところが無いのなら、堂々としてればいいのに。
「おや?」
「や! お疲れさん」
売店には先客がいた。
長椅子にてんと腰をかけ、ホットココアを啜っている。
「ココア、好きだっけ?」
「好物ってほどじゃないよ? 今日は啓示があったんだ。 “ココアにしなさい”って」
「なにそれ?」
こちらは特に悩むことなく紅茶を購入し、彼女の隣に腰を落ち着ける。 ようやくひと心地だ。
「ねぇ? 葛姉」と呼びかけたところ、「うん?」という応答と共に、何やら妙な雑感が、隣り合いからしょぼしょぼと及んだ。
「その呼び方、どうかと思うよ?」
「ん……」
だって、仕方がない。
葛葉という人名を名乗ることにしたのは、他ならぬ姉自身だ。
神名のほうは、相変わらず私の舌じゃうまく発音できない。
「現世はどう?」
「こっち? こっちは……、ぶっ飛んでるよ?色々と」
「どんな風に?」
「なんかね? もう妖怪大戦争って感じ」
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