注意事項
・この作品はwrwrd様の二次創作です。
・本人様とは関係ありません。
・検索避けに協力してください。
・軍パロです。
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gr「今日からうちの幹部の、ciだ」
「仲良くしてやってくれ」
ci「ciです!!よろしくお願いします!!」
勢いよく礼をする新人を、横目に見る。
彼は、元A国の幹部であった。
前の戦争で、grが何故か彼に興味を持ち、声をかけたところ、着いてきたとのこと。
そんなの、信用ならないよな。
彼の自己紹介が済むと、各自バラバラに解散した。
おかしいなと思い始めたのは、1週間後。
風呂場へ行ったら、ciがいた時だ。
ciは冷水を使って身体を洗っていて、水風呂に身体を沈めていたんだ。
サウナから出た後なら分かるが、入ってすぐの事。
そんなことが気にもかかったが、別に聞きはしなかった。
そして、それから3週間後。
食堂で夜食を食べていた時のこと。
ciはスープだけ腹に入れると、他を残して部屋に戻っていった。
ciの残りは俺が食べさせてもらった。
こんなんで、明日頑張れるのだろうか。
なんて、不安にもなったが、別に聞きはしなかった。
聞かなかったのは、彼が元A国軍であることからだ。
誘われたとて、すぐさま裏切る決断をする彼は、どれだけ生きたいのだろうか。
軍なら、その軍に精一杯を尽くすものだろう。
それをciは出来ない。
だから、皆中の下くらいの信用しか持っていなかった。
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今日も密かに風呂場に向かう。
時刻は、夜の0時。
もう消灯時間なので、小さなライトを片手に風呂場に向かった。
服を脱げば、綺麗な肌が顕になる。
A国にいた時とは違う自分が鏡に映る。
そう、俺は元A国軍だ。
なんで、今W国にいるのかって??
逃げんたんだよ。あの地獄から。
俺はA国の幹部を中心に、虐めを受けていた。
暴言、暴力は当たり前の生活。
身体には俺を包むように傷跡があり、俺も、自我を失いかけていた。
そんな時、grが助けてくれたんだ。
声をかけられた。
「うちに来ないか」って。
その瞬間に、失いかけていた自我が溢れ出てきて、ここから逃げたいと思い出した。
差し伸べられた手を握って、今ここにいる。
でも、全てが治った訳では無い。
過去の記憶はトラウマとなって、俺を拘束する。
A国にいた時、風呂で温水は使ってはダメだった。
そのため、俺は今でも冷水を使っている。
冷たくて肌が小刻みに震えるのを感じる。
暖かい風呂に目をやる。
湯気がもくもくと上に立ち上がる。
それでも、俺の足が向かう先は水風呂。
歯をガチガチと鳴らし、飛んでしまいそうな意識を必死に使って、時間を過ごす。
こんな過去に囚われてしまうなんて、俺はほんとうに情けないと自分を貶すので精一杯だ。
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ciが来てから1年が経った。
時間が経つにつれて、俺たちのciへの信用も深まった。
あんな奴だが、仕事が早くて、なにより努力家。
書類を期限内に出せていて、俺自身も尊敬している。
そんな彼に、一緒に風呂入ろうと誘ってみた。
もちろん、俺と、shoと、ciで。
ciは、少し間を開けてから、良いと言ってくれた。
sho「ほんまci背ぇ高いよなあ」
ci「よぉ言われます!!」
zm「rbとは大違いやわ」
歳上の俺より高い彼を見上げる。
下まつげが、長かった。
綺麗だな、って思った。
シャワーを浴びて、頭を洗う。
洗っていると、ciの方から、冷たい水が飛んできた。
zm「冷たッ!?」
ci「ん??あっ…すみません!!」
ciは慌ててシャワーを止めた。
sho「前から思ってたけど、お前冷水使ってるよな??」
ci「まあ…はい」
ふわふわとした髪の毛は、水に濡れて目を隠していた。
zm「なんや??A国ではそういうルールなん??」
ci「いえ、そうではなくて…」
sho「癖みたいなもん??」
ci「そうです!!癖なんですわ」
ciはへらへらと笑った。
そのまま、向かう先は水風呂。
じゃぼんと入って、肩まで使った。
凄いなあと、shoと見ていた。
sho「俺は絶対無理やわ、」
zm「癖やとしても、暖かい風呂入りたくないんかな…」
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最近…というか、今まで。
腹いっぱいに飯を食べたことがない。
A国で、植え付けられたトラウマによる拘束のせいだ。
美味しそうな飯を前にしても、喉を通るのは噛まなくても良い液状のもの。
そう、A国では、スープしか飲ませてくれなかった。
そのため、俺は噛むという行為が苦手だ。
1度だけ、A国で果実を食べたことがある。
その夜、こっぴどく叱られた。
果実の美味しさが俺には分からなかった。
emさんの作る料理はどれも美味しい。
香りは、鼻を刺激する。
それでも、俺はまだ液状のものしか食べれない。
W国軍に入った当初は、嬉しさからか、
沢山食べることが出来ていた。
ただ、書類などと、A国でやったような仕事が増えていく度に、トラウマが蘇り、食べれなくなっていった。
食べたとして、戻してしまう。
皆には、申し訳ないと思っている。
特にemさん。
emさんの料理はすごく美味しかった。
いつもありがとう。
俺なんかのために、沢山作ってくれてありがとう。
夜中、いつも通り自分の腹を殴る。
胃液が喉を登ってくるのを感じ、トイレで吐き出す。
胃液と共に、白米がどろどろと出てくる。
これは、俺の罰なんだ。
気にしなくていいよ。
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トレイに夜食を乗せて、ciの自室に向かう。
最近、彼は仕事に全力を尽くしていて、食堂に来なくなっていた。
彼の自室の前に来ると、扉の向かうから、
カリカリとペンと紙が擦れる音が微かに聞こえてきた。
徹夜何日目だろう。
扉をノックすると、扉が開いた。
出てきたのは、目の下にクマを重ねたciだった。
zm「飯!!」
トレイをciに差し出すと、素直に受け取ってくれた。
ci「ありがとうございます…」
zm「書類はどんな感じ??」
部屋に入ろうとすると、手で止められた。
ci「あー…部屋汚いんで、すみません」
zm「…そか、体調はどうなん??」
ci「平気ですよ」
zm「…そう」
「…腹、減らないん??」
ci「あー…癖……みたいな??」
ciは、日に日に笑わなくなっている気がする。
何故だろう。彼に、何が起きているのだろう。
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インカムから連絡があった。
総統室に集まれ とのこと。
俺は重たい足を動かして廊下を歩いた。
もうずっと書類をしていたため、体力は落ちているだろう。
でも、元々身体能力は良い方なので、落ちたといっても平均になったくらいのことだ。
zm「ci!!」
俺を見つけると、zmさんが手を振って走ってきた。
フードを深く被っているため、瞳は見えない。
ci「急にどうしたんですかね??」
zm「さぁ??」
総統室に入ると、もうすでに皆がいた。
gr「すまない、報告が遅れた」
tn「…来週、A国との戦争になった」
A国…。嫌な言葉が聞こえてくる。
ぼーっと、床を見つめていると、grに話しかけられた。
gr「ci、お前は今回の戦争危険が沢山ある」
「参加するかしないかは、お前が決めると良い」
肩をぽんと叩かれ、俺はgrを見た。
俺は、前に進みたい。
今のままは嫌だ。
ci「参加します」
ut「ci、体力落ちとうやろ」
「一緒に訓練やろーぜ」
ut兄さんからの暖かい誘いに、激しく頷いた。
rb「やるからには、全力で…な??」
ci「手加減なんてしませんよ」
俺は書類をtnに渡し、ut兄さんとその場を後にした。
パンッパンッ…と、銃の乾いた音を響かせる。
ut「普通にci、上手いよな〜」
ci「そんなことないですよ??」
「ぶっちゃけ、本番に弱いタイプですし」
ut「まあ、俺はknが認めてくれとるから、頑張れるわ!!」
ut兄さんは、的に当たらなくても、ずっと打ち続けていた。
その背中は格好良かった。
ut「やっぱ、誰かに認められとると、心が落ち着くわ」
ci「…そうなんですか??」
ut「せやで、俺はciを認めとるよ」
ut兄さんは、俺の頭にぽんっと手を置き、笑顔で囁いた。
俺は、こっそりと銃をポケットにしまいこんだ。
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あれから1週間。
俺は、ut兄さんと共に、訓練をしまくった。
失いかけた体力も取り戻した。
今日は戦争当日。
gr「それでは諸君、健闘を祈る」
rb「戦争の時間だ」
足早に敵陣に回り込む。
俺は、単独行動だ。
周りにいる雑魚を殺るのが俺の役目。
って言われたはいいけど。
俺は、ゆっくりと幹部棟へと歩いた。
コツコツと足音を響かせる。
中には誰も居なかった。
恐らく、皆戦場にいるのだろう。
大きな扉をくぐる。
そこには、かつての俺の総統様が居た。
mb「…やあ、来ると思ってたよ」
「僕を裏切ったんだね??君は僕の奴隷なのに」
ci「残念ながら、俺はもう奴隷ではありません」
mb「いいや、奴隷だよ」
「なんだ??忘れたとは言わせないぞ」
ci「俺は、貴方様に尊敬したのは本当です」
「別れを言いに来ただけなのです」
「戻るつもりも、戦うつもりもありません」
rbに渡された拳銃を足元に落とす。
総統様は、大人しく俺を解放してくれると思っていた。
彼はまだ、俺を離してはくれないらしい。
mb「コラ、そんな態度取ると、お仕置きだぞ」
全身に電流が走る。
左側を見ると、幹部の1人がスタンガンを持っていた。
意識が朦朧とする。
mb「ci、君は僕の奴隷なんだ」
「僕がここで死ぬのならば、君もここで死なねばならないよ」
鞭で思い切りに叩かれる。
びしゃッ…と、トラウマであるあの感触が俺を巻きついた。
mb「ほぉら、君は誰のものなんだい??」
ci「ぐッ……はッ、、ぁ”、、」
mb「忘れたのなら、教えてあげよう」
いやだ。俺はW国軍で…。
皆に認められてて…。
それで…。
それで…?
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遡ること数分前。
rbから急にインカムで助けを求められた。
rb『ciがおらへん!!』
『アイツ、どっか行ってもうた!!』
zm「…は!?」
rb『連れていかれた可能性が高い…ここはA国だし…』
そんなことを聞いて、足を走らせる。
拳銃を片手に、幹部棟を荒らすように走りまくる。
すると、目の前に大きな扉が出てきた。
そこから、ciと、誰か…恐らく総統の声が聞こえてきた。
mb「君を冷水で洗ってあげただろう??」
「君は暖かさを知ってはならない、冷たく満ちていくんだよ」
ci「…はッ…はッ……、」
mb「それと…ああ、そうだ、飯もだ」
「君は噛めないよね、苦手だよね」
「僕が食べさせてあげないとなあ??」
ci「あ”ぐッ……はッ……、、はッ…、」
mb「綺麗な肌になっちゃって…跡を付けなきゃね」
「真っ赤な、君を拘束する跡を…」
俺はそこでハッとした。
ciが、謎な行動をする意味が。
冷水で身体を洗うのも、飯はスープしか口に入れなくなったことも。
癖なんかではない。
ここで、トラウマで締め付けられた拘束のせいだ。
俺は、ぷつりと何かが切れた。
ciを助けていられなかった。
分かってもあげられなかった。
もしかしたら、微かに助けを求めていたのでは無いだろうか。
気づけなかった。
扉を乱暴に蹴って開ける。
目の前は、ぐたりと意識を失いかけているciと、鞭を片手にこちらを驚いて見る総統がいた。
mb「だ、だれだッ…!?」
zm「誰だろうな??」
銃声が響いた。
頭を撃ち抜いた。
幹部は、驚いて腰を抜かしていた。
そんなことを気にせず、ciを抱き上げる。
zm「…ci、気づけんくてごめん」
ci「zmさん…、悪くないよ、??」
ciは、俺が悪いとぽつりぽつり言い放った。
俺はそれを聞きながら足を動かした。
そんな時だった。
ci「ごめん、俺拘束からは逃げられないや…」
zm「…は?」
耳元から銃声が響く。
驚いて倒れ込んでしまった。
慌てて、ciを抱き直す。
…。
俺は、彼の拘束を解く事が出来なかった。
コメント
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トラウマかぁ〜......そうだよね...そうだよなぁ〜...忘れられないよなぁ...植え付けらてたら治らないし忘れれないしタヒにたくなるし辛いよなぁ...あの時銃を持ったのはそういう事か...来世では幸せであるといいな...
ううぅぅぅぅ…まって悲しすぎる……不穏だな…!?()大好物です😘🫶🫶