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こちらの作品はirxsのnmmn作品となっております
上記単語に見覚えのない方、意味を知らない方は
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ご本人様とは全く関係ありません
年越しのお話ですが、
お話のなかでは30日設定ですので、
本日投稿させていただきます(*˘︶˘*).。.:*♡
コンテスト作品が3作ほど、
下書き残っているのですが、
締め切りまでに終わるでしょうか……。
それが今年やりのこしたことです……。
今年もいろんな事があったね
あなたと
笑って泣いて
思い出を紡いで
そんな1年がもうすぐ終わっちゃう
だから、これから
未来の話をしようか
来年もこたつの中で
「なーいこたん、まだ食べるの?」
机のうえに並べられた料理たちを
口いっぱいに頬張っていると、
まろにそう声をかけられた。
うん、と言いたかったけど、
口のなかにある食べ物が邪魔して、
頷くことしかできない。
それをいいことに、
まろは、俺の近くに寄っきて
ぷくっと膨らんだ頬を
つんつんと指で突いた。
「子供みたいやねぇ」
そう言いながら、
どこか愛おしそうに笑うのがずるい。
今日は30日。
明日は、初のVOISING全体で
カウントダウン配信がある。
その準備もあって
俺たちは1日はやく、
2人だけの年越しをしているところだった。
こたつを出して、
料理もいっぱい食べれて、
横にはまろがいる。
特別なことをしているわけじゃない。
ただ、同じ部屋で、同じ時間を
過ごしているだけ。
そうだとしても、
これって、
きっと、すごく幸せなことなんだろうな。
この時間を過ごす度に
俺は、そう思う。
「冷たっ」
ふいに、こたつの中で
横にいるまろの足が俺の足に触れた。
「ちょ、こっち当ててくんな」
「冷たいから、こたつの中に入れるんよ」
いひひっと楽しそうに笑って、
わざと足を擦り寄せてくる。
「……ほんとずるい」
さり気なく距離を詰めてくるところも。
俺が嫌がらないって分かってて、
こうして足を寄せてくることも。
楽しそうな笑顔を向けて、
何気ない仕草で
俺の心を簡単に揺らしてくるところも。
「なにが?」
「全部」
そう言うと、
まろはまた、少しだけ笑った。
「今年もいろいろあったなぁ」
まろがしみじみとした声で言う。
かくいう俺はというと、
まだのんきに料理を食べていた。
「リズダムの公式アンバサダーに、
りぼんでコミックス本になって、
いれらぶができて、夏ツがあって、
5周年でオンライン実写とか
色々な企業さんとさせてもろて、
ソロライブもやって……」
指を折りながら数えようとして、
途中で諦めたように笑う。
ひとつひとつが、ちゃんと濃くて、
簡単には片付けられない思い出ばかりだ。
指だけじゃ足りないほど、
今年も、
たくさんの時間を重ねてきたんだなと思う。
でも、どれもこれも
「……リスナーさんのおかげだよなぁ」
ぽつりとこぼれたその言葉は、
照れでも建前でもなくて、
きっと、心からの実感だった。
俺たちは、
リスナーさんがいるからこそ、
こうして活動をつづけられる。
当たり前みたいに過ごしている、
このイレギュラーみたいな日々も、
きっと当たり前じゃない。
「来年も、たくさん盛り上げよな」
そう言って、
まろはぐっと握り拳を差し出してくる。
「当たり前だわ」
俺は迷わず、
その拳に自分の拳をぶつけた。
小さな音といっしょに、
未来への約束が、そこに生まれた気がした。
「てことは、来年も忙しくなるなぁ……」
そう呟いてから、
まろはどこか他人事のように続ける。
「社畜やめても社畜なの、まろ……」
ぽえぽえしながら話すその様子がおかしくて、
俺は、思わずふはっと吹き出してしまった。
「それこそ当たり前だわ」
そう返すと、
うぁっ、と情けない声を出して、
まろは机に突っ伏した。
「来年はさ、
今年よりも盛り上がる夏ツして、
新しいイベントたくさんやって……」
そこで1度、
言葉を区切るみたいに深く息を吸った。
「新たな約束の、東京ドームに立つ」
夢は現実になる。
それはもう、俺たちが証明したこと。
だから、
次の夢だって、
必ず実現させよう。
「そうやな」
まろも、確かにそう言って頷いた。
けれど、その声は少しだけ小さくて、
どこか、言いたいことを
飲み込んでいるみたいだった。
「まろ、どした?」
机の上に残っていた、
唯一のデザート――みかんに手を伸ばしながら
俺はそう聞いた。
「……だって、ないこ、未来の話ししてるのに、
全部仕事のことしか話してないんやもん」
「……え?」
思ってもみなかった言葉に、
間の抜けた声が、勝手に口からこぼれる。
そんなことで?
……いや、そんなこと、なのか。
「じゃあ、逆に聞くけどさ」
少しだけ真面目な声になって、続ける。
「まろは、
俺になんて言ってほしかったわけ?」
問いかけると、
まろは1ミリもためらうことなく言った。
「俺と、俺の隣にいるないこの未来も
一緒に考えてほしかった」
少し拗ねたみたいな言い方で、
それでも、本気なのが分かる声だったから
俺は、一瞬だけ言葉を詰まらせてしまった。
「や、俺はさ」
そう、まろとの未来なんて
一拍置いて、はっきりと言い切った。
「まろが隣にいる前提で話してるんだけど?」
当たり前にあるでしょ?
そこを勝手に潰してもらっちゃ困る。
「まろがいなきゃグループだって、
今も続けてなかったかもしれない」
まろが目を見開くのが視界に入ったが、
俺は構うことなく言葉を続ける。
「そりゃ、仕事も大事だけどさ。
プライベートは、別で考えてるよ」
またこんなふうに
のんびりおうちデートしてもいいし。
気まぐれに出かけてもいいし。
季節ごとのイベント、
一緒に楽しんだっていいじゃん。
それは全部、
まろが隣にいる未来の話だ。
そう伝えると、
まろは安心したように頬を緩ませた。
「来年も忙しくなると思う。
なんなら、今年以上に大変かも」
「そうやね」
「そうだったとしても」
残っていたみかんを全部食べきり、
まろと向き合う。
「俺の隣は、ずっとまろだから」
「……うん」
「仮に、まろの隣が
俺じゃなくなったとしても」
わざと、一呼吸分間を空けて、
「まぁ、そんなこと起こるはずないけどね?」
にやりと笑って付け足す。
すでに十分目を見開いていたのに、
さらに驚いたように瞬きをして、
綺麗な碧の瞳は今にも零れ落ちそう。
「まろ?」
そう声を掛けようとしたら、
力が抜けたようにまろがこちらへ、
そっともたれかかってくる。
「ま、まろ……?」
驚いて呼びかけると、
少し顔を伏せたまま、くぐもった声が
返ってきた。
「あー……、ほんっと、ないこってさ」
「……ん?」
「ずるいわぁ……」
その言い方は、
責めているみたいで、
でもどこか嬉しそうで。
つい、俺も頬が緩んでしまったんだ。
まろは、
しばらく経っても、
もたれかかったまま起き上がらなかった。
もしかして、寝た?
そう思って、
「まろ〜?起きて〜?」
ぺしぺし叩きながら言うと、
まろは、むくりと起き上がった。
そしてそのまま
距離を詰めてきたかと思うと
頬に、額に、まぶたに
リップ音を鳴らしてキスを落としていく。
「ちょ、まろ。くすぐったいってば」
そう言っても
止まる気配はまるでなくて。
結局
俺はしばらくのあいだ
されるがままになっていた。
ようやく解放された頃には、
体も気持ちも、すっかりあたたまっていて。
「……満足した?」
「うん。した」
何事もなかったかのように言うから、
思わず苦笑いが漏れる。
少し間を置いてから、
まろは、こたつの布団を指先でつまんで、
ぽつりと言った。
「来年もさ」
「うん?」
「こたつ、出したいな」
それは、
特別な約束でも、
大げさな未来の話でもない。
「いいね。
でも、それ、去年も言ってた」
「あれ、そうやっけ?」
気の抜けた返事に小さく笑うと
こたつの中で、
肩がそっと触れた。
「んー…
あんま覚えてへんけどさ」
幸せそうに笑って、まろは続ける。
「来年も、
こうして一緒におれたらえぇな」
「だね」
あたたかさに包まれながら、
俺たちは、
特別じゃないけれど大切な
そんな当たり前みたいな未来を
思い描いていくんだ。
「あ、そうだ。ないこ」
「ん?」
「明日、配信だから、今日はしないけど」
「うん」
「配信終わったら、〝姫はじめ〟しようや。
新しい年の始まりだから、
いっぱい愛してあげるな」
「……」
「ないこ?どうし、……あ、やべ」
「……さっきまでのいい雰囲気を返せ!!
ばかまろ!!このエロオヤジ!!」
「えぇ、これも俺との未来の話やろ〜?」
「ふんっ」
「ちょ、痛い痛い、ないこ殴らんといてや〜」
コメント
3件
本垢の方を持っていないのでサブから失礼します!! 今日💬するべきな作品だと思って飛びついてきました…✨✨ 青さんがそばに居ることを前提に話している桃さんにきゅんとしてしまいました…! 2人の温かい雰囲気や1年の振り返りが年の瀬をものすごく感じます😖😖💞 書き始めて1ヶ月なんて思えないくらい文才で本当に大尊敬です…😭😭来年もずっと読みます!!✨✨
書き始めて約1ヶ月! いつも読んでくださり、 ありがとうございます! 文章力や語彙力など、 至らぬところもありますが、 これからも読んでくださると 嬉しいです(*˘︶˘*).。.:*♡ また、いいね・コメント・フォローも来年してくださると幸いです💕