「…!」
玄関のすぐ近くで待っていたので足音で分かった。来たんだ。
僕を呼ぶ声に答え、扉を開けた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「…お邪魔します」
上着を掛け、ティナリの隣の椅子に座らせてもらった。
少し沈黙が続いた。言葉が出てこない。
「お、お茶でも淹れるよ。」
「ありがとう…」
まずい、話題を…
「…セノ」
唐突に名前を呼ばれ、唖然とした表情で見つめてしまう。だがすぐ返事を返した。
「…ぁ、なっ何でも、ない…!」
「何でもない」…そんな訳が無い。目を逸らし、泳がせ、少し俯いている。何かあるはずだ…
「…俺が、何かしてしまったか…?」
つい考えていた事を口にしてしまった。
「は、はぁ!?何をもってそう思ったんだよ…!でも …なんだか、慣れないなって。」
「慣れない?」
ティナリは頷いて話を続けた。
「ほら、僕達って学生時代からのつきあいだろ?今まで何年も関わってきたのに、家には呼んでなかったんだなーって思ったんだ。」
「…今日、僕たちが話す内容はそんなに変わらないはずなのに、『家』って付くだけで…一気に緊張感というか。」
結局いつもとちょっと違うけれど、と付け足して、微笑んで。ティナリはこちらを向いた。
「……セノは、好きな人…いる?」
コメント
4件
天才すぎて最高ですすすす
長くてごめんなさいな
あ、最高です...