【愛に埋もれる先】
ザッ…ザッ…
気づけば空は黒く、地面は白くなっていた。今は深夜の2時。誰もいないモノクロの雪道を二人手を繋いで歩いていく。熱いキスの余韻に浸りながら俺はふっと白い息を吐いた。
jp『………寒い?』
彼が俺の顔を覗き込む。耳と頬が赤くなっていて俺よりも寒そうだ。
tt『……んーん、全然』
会話は無く、ただ道を歩く。どこへ向かっているのかも分からない。ぽつぽつと二人の足跡を残していくだけ。
…言葉がほしい。先程のキスの言葉を。
意味を知りたい。
tt『…………jp…』
jp『………何?』
tt『……………聞かせて…』
tt『…jpの気持ち…///』
ザッ…ザッ……ザ……………
彼は立ち止まる。振り続ける雪は、俺達の肩をまた濡らそうとしていた。肩の冷たさを感じながら、手から伝う彼の体温が俺を先に期待させた。
jp『…………嫌にならない?』
tt『…………うん』
ギュウ…
jp『……ずっと好きだった』
jp『ずっと……ttの事見てた…///』
彼が頬をまた赤くさせる。今度は寒さだけじゃない。内側から込み上げる熱のせいだろう。俺もつられて熱くなる。
tt『…………ほんま…?//』
jp『…………ほんと////』
彼の顔を覗き込むとうっすらと涙が浮かんでいた。燃えるような赤毛が俺の頬をくすぐった。好きと伝わった感動で、自分も目頭が熱くなった。鼓動が速くなり、彼の胸板に好きだと感じさせる。
tt『……………好き……』
tt『…俺も好き…///…jp…//』
抱きしめ合う俺達の姿は、白い雪がまた白く染め上げていった。
濡れたサックスがうさぎの耳と重なった。
カランカラン…
tt『いらっしゃいませ~』
「tt君〜…今日は疲れたよ〜…」
tt『いつもお疲れ様です(笑)』
聞き慣れた扉の音で、聞き慣れた愚痴を耳にする。今日のお客様はどうやら酒に浸かりたいようだ。
「今日もtt君で癒されたいな〜…」
tt『ありがとうございます(笑)…でも』
tt『飼い慣らされたうさぎは』
tt『…気をつけないといけませんよ?』
サックスの音色が店内に響いた。
完
コメント
1件
い、いつの間に飼い慣らされたんでしょうか…!?いつも通り終わり方が自然で良い感じに余韻が残ります…!