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15 - 変わらない想い(nrrd微学パロ)

♥

1,041

2025年06月25日

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※注意※


この小説は、純度100%の私の妄想で出来たnmmnです。ご本人様には一切関係ありません。

ご本人様はもちろん、その周辺の方々やnmmnが苦手な方の目にも入らないよう、配慮をお願いします。

私の癖を詰め込んだので、誰かの地雷の上で踊り狂っているかもしれません。それぞれで自衛をするようにしてくだ さい。

読後の誹謗中傷等は受け付けておりません。チクチク言葉が届くと泣きます。


その他、BL要素(🍥×🟦🧣)、学パロ要素、年齢改変あります。加えかなーりポエムってます、共感性羞恥に注意⚠️




『好きだよ、らっだぁ』


ふわり、夏風が頬を撫でる。

真っ青な空、真っ白な雲。磨り硝子の嵌った窓は半分開いていて、風に煽られカーテンが唸り声を上げていて。茂る草むらと黄土色の校庭、ポツポツと黒く跡を残す人の影。不穏な音を立てて、古びた扇風機がゆっくり首を回していた。

もう、長いことここにいる気がする。赤くなった指で、今だ彼はペンを握っていた。広げられた教科書と問題集には、軽い落書きが。俺はそれを眺めて、セミの鳴き声に耳を傾けるのだ。教室には俺ともう1人の姿しかなく、下校時刻はとっくの昔。

机の向こう側で、深い青色がパラパラ靡いた。汗が一雫、輪郭をなぞる。第一ボタンの開いたワイシャツから、少し日に焼けた肌が見えた。

忘れもしない。8月の中旬、夏の終わりかけのあの日のことだ。


『す、き?』

『うん。友達としてじゃない、ちゃんと、恋愛的な……ほう、で』


澄み切った目尻の垂れた瞳が、呆然と丸くなる。その後すぐに、ゆるりと細められた。


『あは、そうなんだ……へぇー、お前が、俺に?』

『キモい?』

『んーん。んなわけないでしょ。ただ……』


心なしか赤く染まった顔で、彼は柔らかく微笑んで言った。



『ちょっと、考えさせてほしいかも』




***




───ピピッ、ピピッ、



甲高い機械音が耳に入り、ゆっくり意識が覚醒する。先程まで残暑の暑さを感じていたはずが、今は少し肌寒い。なんとも季節外れな夢を見たものだ。

閉じたカーテンの隙間から、眩しいぐらいに光が漏れている。6月下旬、雨が続いているとはいえ、今日みたいに晴れた日の日差しは強く、気温も上がってきている。


「ふぁ〜あぁ……」


もう朝か。なんて呟いて、緩慢な動きで体を起こした。その拍子に、毛布がパサリとベッドからずり落ちる。


「……考えさせてほしい、なぁ」


そんなこと言っておいて、あれからすぐアイツは遠くに引っ越し、今の今まで連絡の1つも出来ずじまいだ。今ほど便利な世の中では無かった学生時代、連絡手段も少なくて。こんな大人になってまで仲のいいヤツなんて、ほとんどいない。

そもそも、子供の頃の関係性なんて、案外儚いものなのだ。お互い、新生活に心躍らされ、過去のことなんてさっぱり忘れ合う。


だから、きっとアイツだって。俺のことも、俺が伝えたあの思いだって、全部全部忘れてるに決まってるんだ。


なんで好きになっちゃったんだろうなぁ。アイツのためにも、俺のためにも、けして惹かれるべきでは無かったのに。

そんなことも分からない年齢だった、ということか。幼さゆえのなんとやら、か。

答えは、今だ分からない。


やるせなさに再び寝転がって、目元を腕で覆った。もう一度寝れば、学生時代の幸せな夢が見られたり……なんか、しないかな。

そう思って目を閉じると、ゆるりと睡魔が浮上する。このまま眠ってしまえば、この小恥ずかしい気持ちからも解放されるだろうか。

いくらでも眠れそうだ……いくらでも眠るから、また、アイツとの毎日を思い出させてくれないか。


……

………


再び目覚めた時には、外は日盛りに差し掛かっている頃だった。

また生活リズムが崩れる……と落胆しながら、控えめに空腹を主張する胃袋のためにも遅れた朝食の準備を始めた。立派なご飯なんて作れないから、冷蔵庫にあったものを適当に胃に収めた。

その間もずーっと、あの笑顔が頭を支配していた。可愛い、カッコいい、そんな言葉は似合わない。ただ、理由もなく夢中になれる、真っ直ぐな彼の瞳が恋しい。


「……は、ぁ」


ダメだ、何も手につかない。

これからやろうと思っていたこと全部気が向かない。何もしたくないが、全て忘れるほどに何かに夢中になっていたい。

首をもたげて、天井とにらめっこを繰り返す。長いこと悩んだ末に、俺は重い腰を上げた。

クローゼットを開いて、適当な服を手に取った。今、1番手軽に出来るおしゃれをした。つま先で玄関を叩いて、小振りなキーホルダーで飾られた鍵を引っ掴んだ。

無謀に、無計画に。俺は、自分の身1つで太陽の光の中に飛び出した。


……

………


久しぶりに外にでてきたはいいものの、何をしようかなんて決めていないものだから、かなり暇を持て余してしまった。

人混みの多い場所にでも行けば気も紛れるかと思っていたのだが……外出に慣れていない体は、その騒がしさに早々に根を上げてしまって。結局、人通りの少ない場所へと足を運んだ。

静けさを破るように、靴が小石を擦る音が響く。この時代、街中にこんな静かなところがあるものなのか、と妙に感心する。すれ違う人も少なくて、まるで現実から離れた場所に飛んできてしまったみたいだ。

冷たい空気がどこからか流れ込み、長くなった前髪を揺らした。初夏であることが信じられないぐらい、ここだけ涼しくてウソみたいに過ごしやすい。

鼻歌なんて口ずさみながら、1人きりの道をゆっくり歩く。散歩するのも中々いいもんだ、たまにはこうして理由もなく外出するのもいいかもしれない。

かつかつ足を進める内に、だんだん胸のざわつきが落ち着いてきた。冷えた空気は熱を持っていた頭をじゅうぶんに冷やし、冷静になってからはどうでもいい事を考える余裕も増えた。やっぱり、急な温度変化にあてられて、調子が悪くなっていたのだろう。すっきりした頭だと、さっきまで悶々と悩んでいたことがとてもちっぽけなものに思えた。

少し足を止めて、空を見上げる。綺麗な青空だ、こうして外に出てこないと見られないであろう景色に、不思議と目を奪われた。


「んん゙……、ふぅ」


大きく伸びをして、俺は再び歩き出した。

今日はもう、帰ろう。スッキリしたことだし、ゆっくりして早くベットに入って、今日こそいい夢をたくさん見るのだ。

踵を返し、帰路につく。その内、置いてけぼりだった喧騒がぽつぽつ聞こえだし、遠くに佇む人影が見えてきた。やっと現実に戻ってきたのか、と思い、小さく息を吐いた。少し足を速めると、だんだんその姿が鮮明になってくる。

思ったより、デカい。身長は平均より少し高いぐらいだろうか。半袖から覗く腕は真っ白で、とても筋肉があるようには見えない。肩で乱雑に汗を拭う姿は、夏の暑さに負けて、今にも崩れそうに思えた。

というか、なんだか見覚えがある。なんというか、面影を感じるというか……不思議と、懐かしいような。

近付くほどに、その疑惑は確証に変わっていく。絶対人違いだ、と言い聞かせても、 それでもその後ろ姿を目で追ってしまう。我慢できずに、すれ違う瞬間こっそり顔を覗き込んだ。

惚れ惚れするほど美しい青色と、バッチリ目が合う。


「……らっだぁ?」

「え、」



「「あーーーッ!!!」」



俺達は、お互いを指さし合ってそう叫んだ。


「なっ、なるせ?うわ、老けたなぁ……今いくつ?って、同い年か」

「えええ、俺達もう三十路よ」

「やべー、ガチジジィやんけ!」


きゃはきゃは笑う懐かしい声。そこにいたのは、俺の初恋の相手、らっだぁだった。

短髪だった髪は少し長くなり、丸くて大きかった目は、ゆるく弧を描くようにすうっと伸びていた。学生時代ぶりに見る顔は明らかに老けていたが、それでも同年代とは思えないほど若く見える。その姿に、なんだか悔しくなっている自分がいた。

こうして顔を合わせる前は、お互いのためにもう二度と会うべきじゃないと考えていたのだが……いざ会ってみると、えも言われぬ高揚にそんな思い全て吹き飛んだ。


「元気してた?」

「元気も元気よ!お前こそガリッガリじゃんか」

「いやぁ、あんまり外には出ないからなぁ。もう前みたいに運動はしてないんよ」

「出来ない、の間違いだろクソジジィ」

「はぁー??同い年なんだから、俺がジジィならお前もジジィだろ年寄りが」


シワの増えた顔をクシャリと歪めて、らっだぁは懐かしむように目を細めた。これだけ大きくなっても、考え事するときに目を細めるクセは変わってねぇんだな。

らっだぁを見ていると、学生時代の思い出がまるで昨日のことのように頭に浮かんだ。2人で学校をサボってバカみたいに怒られた日とか、授業中のコソコソ話とか……溢れた思い出は全てくだらないものだったけど、そんな日々が何よりも大切な宝物なのだ。


「ねぇ、このあと予定ある?」

「なーんにも。遊ぶ?」

「遊ぶ!」


ぱあっ、と表情が明るくなる。無邪気で幼い、純粋な笑顔だ。

心臓が、ドクリとうるさく鳴った。

まだ、好きだとでも言いたいのだろうか。ただの友人として近くにいて、コイツが普通の幸せを手に入れるまでを見届けたい……なんてただのうわ言で、本当は一際特別な存在でありたいと、言いたいのだろうか。


「今は門限もないから、好きなだけ遊べるね」

「……そうだな」


そろそろ、折り合いをつけないといけない時なのかもな。

この気持ちに気付かれませんように。そう祈りながら、慎重に、上っ面だけの笑顔を浮かべた。


……

………


気付けば、空高く登った太陽がゆっくりと地面に腰を下ろし始めていた。最近は日が落ちるのが遅い、もう7時はゆうに超えているだろう。驚くほど早く、時間が過ぎてしまった。

こんなに歩いたのは久しぶりだ。汗で張り付いた前髪を拭って、ぬるくなったペットボトルを傾ける。あっちはあっちで服の襟をパタパタ扇いで、まるで子猫みたいな小さなあくびをした。

らっだぁは、スマホを見て眉をひそめた。


「うわ、もうこんな時間?」

「そろそろ日も沈みそうだな」

「そーだな」

「飯でも食いに行くか?せっかく会ったんだし、今日はいっぱい話そうぜ」

「うーん……」


少し目を細め、らっだぁは顎に手を添えた。すぐに、ぱっと目線を俺に戻し、またくるりと回す。


「ン、待って」


らっだぁは、骨張った指に飾られていた金属製のアクセサリーを外して、粗雑にポケットに仕舞い込む。そのまま、流れるような動きで俺の手が掬われる。


「もちろん、ご飯も食べに行きたいんだけどさぁ、」


緩く握り込んだ手を、くいと引く。


「その前に、ちょっと歩こっか?」


突然伝わった温もりに、思わず生唾を飲み込んだ。らっだぁを見上げて、すぐにアスファルトに落ちる影に目線を落とした。

落ち着いて、落ち着いて。こんなの、友達同士じゃよくやることだろう?

ただ手を握られただけでこのザマなんて情けなくて、少し落ち着きたくて、こっそりゆっくり深い呼吸を繰り返す。だが、それも全て水の泡と化すほどに頭が混乱していた。

そんな俺に気付いたのか、気付いていないのか。らっだぁは、クスリと笑って話し出した。


「覚えてる?俺が、転校する前のこと。ほら、2人で居残りしてた時あったじゃん?」

「……覚えてるに決まってんだろ、バカ。お前こそ、もうぜぇーんぶ忘れて彼女とか作ってるもんだと思ってたよ」

「ふ、やっぱそうだよね」


らっだぁは、夕陽に目を細めた。真っ青な髪が紅く照らされて、混ざり合って不思議な色合いになっていた。

こっちは過去の黒歴史を掘り返されて恥ずかしくて恥ずかしくて堪らないってのに……それでもコイツはからりと笑って、いたずらっぽく口角を上げる。


「なに、俺が変って思ってるとでも?この心配性め、あん時もわざわざ聞いてきたよね」

「そりゃあ……気持ち悪いって思われるだろうし」

「なぁにが気持ち悪いだよ。友達だろ?気にしないでいいって」


変に気を使われているような気がして、どうしようもなく情けない。

火照る顔を気にしないようにして、早くこの話終わんねぇかな、とぼんやり考えた。そんな矢先に、らっだぁが思い出したように「あ、」と呟く。


「そーいや、あれ。考えるって言ってそのままだったな」


しみじみと、軽く目を伏せる。繋いでいた手が離れ、代わりに冷たい空気が滑り込む。それに少し、胸が痛んだ。


「ねぇ、なるせ」

「どうした、っわ」


襟元を掴まれ、ぐいっと引き寄せられる。

昔と比べ、端正になった顔が急接近して、なにがなんだか分からない中、優しく後頭部を撫でる手の感覚だけが分かった。



と、思えば、次の瞬間には唇が触れ合っていて。



「は、?」


思わず漏れ出た声は、薄っぺらい情けないものだった。少し恥ずかしくなったが、俺を見つめるらっだぁの瞳は、全て忘れさせてくれるほど美しい。

その優美な輝きが、すぅっ、と細くなる。


「ねぇ、答えはこれでいい?」


無邪気に、らっだぁはそう言って笑った。その笑顔、その笑い方、全てが昔のままで。時が巻き戻されたような、不思議な感覚に襲われた。

無難な上着は真っ白なポロシャツに、綺麗なズボンは使い古されて汚れた制服に。草木を揺らして駆ける風に、あの夏が運ばれてくる。燦々と輝く太陽が俺達を照らして、青い空を入道雲が彩っていた。

遠く遠くに、煩わしいほど大きな蝉の鳴き声が聞こえた気がした。



「好きだよ、なるせ」



あぁ、その言葉をどれだけ待ち侘びたことか。


言葉を返す代わりに、と、次は俺から顔を寄せて、なりふり構わずキスをした。閉じた瞼が震える度、睫毛が揺れる。頬は柔く温かく、その上をひやりと冷たい風が踊るように過ぎていった。

満足するまで喰らい尽くして、可愛いリップ音と共に唇が離れる。数十秒ほどの時間が、何時間にも長く感じられるようだった。

ハッ、と短く息を吸って、らっだぁはバツが悪そうに濡れた瞳を逸らす。それがなんだか気に食わなくて、少々乱暴に両頬を掴んで無理やり顔を覗き込んだ。

呆然とした、どこか固い表情が和らぐ。俺の髪を弄ぶ手から、溶けそうなほど甘い温もりが伝わった。


「なるせはどう?まだ俺のこと好き?」

「当たり前だろ。あれからずっと、ずーっとお前の答えを待ってたんだから」

「そーだろうなぁ、お前は昔っからそういうやつだもんな。ロマンチストなくせに変に現実主義で、それでも夢見がちで、ひたすら真っ直ぐで」

「褒め言葉?」

「んふ、もちろん。なるせのそういうところが好きなの」


そう言ってらっだぁは自信の頬に添えられていた俺の手を取った。そして、手の甲に唇を落とす。


「……ふ、王子様みたい」

「カッコいいでしょ?いやー、いつかやってみたかったんだよね」


そのまま指を絡ませ合って、ぴったりくっつく。一気に近づいた距離が心地よくて、じゃれ合うように肩を寄せた。

夢みたいだ。何年も何年も引きずってきた想いがやっと報われるなんて……あぁ、嬉しすぎて泣いてしまいそうだ。潤む視界を振り払うようにかぶりを振って、あたたかい手を握り直した。

並んだ影は長く伸びて、アスファルトを黒く染めた。真っ白な頬が、夕陽に照らされて赤く輝く。


「もう離れないって、約束出来る?」

「うん、もちろん」


もう二度と、離れないように。夏の暑さに汗ばんだ手を、固く固く握りあった。





めっちゃ遅れましたが、リクエストありがとうございました。同士の皆様から可愛いnrrdのアイデアを貰えて、本当に嬉しいです!

フォロワーさん200人突破ありがとうございます🥳本当に嬉しい限りです。前より格段に更新頻度は落ちると思いますが、今貰っているリクエストは必ず書き出しますので!!!

この作品はいかがでしたか?

1,041

コメント

7

ユーザー

ひとつひとつの表現の仕方が本当に儚くて綺麗で、それなのにスっと理解できる文なのがすごく好きです…😭😭😭‼️‼️素敵すぎる…❤️‍🔥

ユーザー

めっちゃよかったです、!! 文章の書き方やどうやったら直接的にではなく遠回りに書くことができながら情景がわかるのか、 個人的質問なので特に理由はないのですがらだおが着けていた指輪、?はどういう意図だったんですか?

ユーザー
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