テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
気持ち悪い。嫌な音をたてる口の中。
口は穴。顔にあるただの穴。
他者の命を取り入れるための穴じゃない。
いや、違う違う。口は食べ物を食べるため。
栄養をとるため。食べなきゃ死ぬ。
最後の1つの茶色い塊の唐揚げ。
この肉は家族と離されて悲しく殺された肉。
他者の命を取り入れるのは気持ち悪い。
穴に茶色い塊を入れる。何度か噛むが気持ち悪い。 吐きそう。
急いで手元にある花柄の水筒を手に取る。
ごくごくと何度も喉をならす。
口の違和感 が消えるまで。飲んでも飲んでも消えない違和感を消すため。
口の中から違和感が消えると騒がしい教室の音が戻ってきた。
教室の中では食べ物や色んな人の匂いが混ざった匂いがする。あまりこの匂いは得意ではない。
愛彩「みんな、これ作ったから食べてっ」
千萌「すごっ!これタルトじゃん。」
月那「いっただきます〜! 愛彩の作ったのっていつ食べても美味しいね。」
愛彩「嬉しいっ!もし良ければ優麗ちゃんも食べて〜」
きっと愛彩の作ったお菓子はとても美味しいと思う。だけれど食べると気持ち悪い。食べても食べても吐きそうになる。
けれど、断ると悲しいだろう。
優麗「今お腹いっぱいなんだよねぇ…家でゆっくり食べるね!」
愛彩「そっか、家でゆっくり食べてね!」
月那「最近太ったんだよね…見てよ、このお腹…スカートキツくなって焦ってる…」
千萌「女子校だからって腹をだすなぁ」
愛彩「そーいえばさ、愛彩の妹小学生じゃん。」
月那「知ってるよ〜」
愛彩「小学校の噂なんだけど…」
その噂の内容は𓏸×森に洋館があり、その洋館には吸血鬼が住んでいるというもの。実際に目撃した人もいるらしい。
優麗「へぇ〜そうなんだ!もっと詳しく知りたいかも。」
気になる、気になる。どうして血だけで生きていけるのか教えてほしい。
なにか知ってるかもしれない。 そう思って口走ってしまった。
みんなは案の定
千萌「珍しいねぇ。」
月那「いっつも恋バナとか噂とかに興味なさそうなのに。」
愛彩「もしかして吸血鬼好きなの?かっこいいよね!」
そうなんだって言う自分が馬鹿らしく見えてくる。