第1話 猫猫
※アニメで見る方をおすすめ致します
「ルォメン」猫猫 緑青館に薬を届けてくれないか
「猫猫」うん分かったおやじ
「ルォメン」最近女狩りが多いから気をつけていくんだよ
「猫猫」大丈夫だって 帰りに畑寄ってくるよ
「ルォメン」ああ よろしく
「猫猫」行ってきまーす
「やり手婆」ふーん…これっぽっちかい
「客」全財産だ 頼むよ
「客」ふぉ〜!「やり手婆」これじゃ お話にならないね
「白鈴」フフっ
あれが緑青館の誇る 三姫の1人
売れっ子の白鈴か
「やり手婆」ただでみんじゃないよ!
「猫猫」んー治りが悪いな
配合を変えてみよう
「白鈴」あら 猫猫
「猫猫」ん、 白鈴姐ちゃん。
「白鈴」…って、
また傷増えてるじゃないの
「猫猫」ああ…いつもの薬の実験だよ
わっ
「白鈴」ちゃんと ごはん食べてる?
「猫猫」姐ちゃんは
相変わらずご立派なことで
「やり手婆」猫猫
また実験とか言って
部屋を爆発させたりしちゃ 承知しないよ
「やり手婆」それともうちの妓女として
働くかい?
「猫猫」げっ
ばあちゃん 薬 置いとくよ
「やり手婆」爺に よろしくな
…ったく
「女華」猫猫の声がしたけど 「梅梅」あれ? 猫猫は?
「白鈴」行っちゃったー
「猫猫」やり手婆め…
隙あらば 妓女になれって言ってくる
( きらきらきらきら ( 薬草 )
「猫猫」おぉ〜!
フフフッ おお〜! フフフフ…
「3人組」へへへへへッ…
「猫猫」まさか 人さらい?
うわっ!
あ〜あ… おやじ 心配するだろうな
( 梨花妃のいきむ声 )
「やぶ医者」東宮《赤ちゃん》のご誕生です
梨花様おめでとうございます
「紅娘」無事に お生まれになったそうです
「玉葉妃」そう よかった
三ヶ月後
( おなかが鳴る音 )
「猫猫」露店の串焼きが食べたいなあ
おやじ ちゃんと 飯食ってんだろうか
「 はた迷惑にも 売り飛ばされたか
身代わりにされたのか 知らないが」
「猫猫」あれからもう三ヶ月
( 下級妃・中級妃の笑い声 )
「猫猫」御殿も花街も 大して変わらないな
できれば 後宮なんて一生 関わりたくなかったが…
「猫猫」はぁ まあ来てしまったものは
しかたない せっかく 薬師としてそれなりの生活をしてたのに
*「後宮は 帝の子を成すための* 女の園だ
男子の立ち入りは一切禁止
入れるのは国で最も高貴な方と その血縁
あとは大切なものを失った 戻男性である宦官だけ
*妃 女官 合わせて2000人* 宦官1000人の大所帯だ
上級妃や 中級妃 下級妃と違って私たちのような
使いっ走りの下女は いつ 命をなくしてもおかしくない
次はひきこもりの下級妃様か…
まあ お給金が出てるだけまだマシか 」
「小蘭」ねえ 猫猫!
この札 どこの部屋か分かる?
「猫猫」ああ… これは藤の九だから あそこだよ
「小蘭」ありがとうー!
「猫猫」女官の中には 字が読めない物も多い
後宮に勤める以上さいていげんの礼儀は たたき込まれるが
文字の読み書きになれば 話は別だ
文字が読めて お給金が上がったとしても 結局人さらいに
間引かれる金額が増えるだけ そんな下女でも ごくまれに 下級妃になる事がある
「猫猫」要は…
見た目だ
ソバカス 絶壁 肉なし体型
私には関係ない話だな けっ
「猫猫」悪目立ちして 命の危険が増えるくらいなら
今のままがいい 大人しく働いていれば2年で出れる
酒飲みてえ
「小蘭」ねえねえ聞いた?
「猫猫」え?
「小蘭」中央に ものすご〜くきれいな宦官がいるんだって
ここんとこ みんなその話で持ち切りなんだよ
「猫猫」へえ…
「小蘭」そんなに美形なら 一度は見てみたいよね
そう思わない?
「猫猫」宦官ねえ…
「東宮」ハァ ハァ…
「高順」ずいぶんとお痩せになって…
「壬氏」ああ…
「2人」ん?
「鈴麗」ハァ ハァ…
「玉葉妃」小鈴…
「壬氏」申し訳ないのですが
医官は今 東宮の処置に かかりきりでして
「玉葉妃」そうですか
「下女」まだ3ヶ月と半年だっけ?
「下女」そうそう 東宮と鈴麗公主の お二人ともよ
「小蘭」や…やっぱり呪いなのかな?
「猫猫」何の話?
「小蘭」猫猫知らないの?
今後宮内は このウワサで持ちきりなんだよ
後宮で生まれるお世継ぎの連続死 今までの帝の御子が3人とも
生まれてから だんだん弱って亡くなったんだって
おかしいと思わない?
「猫猫」3人とも?
「小蘭」今回も 似たような感じみたい
「猫猫」具合が悪いってこと?
「小蘭」そう! そして今度は
玉葉様のところにも梨花様のところに
もお医者様が入っていたんだって
「猫猫」ふーん…
「小蘭」今の帝には皇后がいないから
東宮が生まれた梨花様が皇后になるんだよね
「猫猫」まあ 当然だろう 帝に皇后がいない 今
東宮を持つ妃 梨花妃は後宮のトップと言えるだろう
「小蘭」だけど 帝の寵愛は
玉葉様に傾いているって ウワサなの
そのへんのことも呪いと関係あるかもしれないって
「猫猫」権力争いか…
「小蘭」梨花様の方が容体が重いのかな
お医者様が つきっきりらしいよ
「猫猫」梨花様ご自身も
「小蘭」うん 母子共に頭痛とか 腹痛とか
吐き気もあるって聞いたなあ
「猫猫」頭痛 腹痛 吐き気…
「小蘭」やっぱり 絶対呪いだよ〜!
「猫猫」呪いだなんて くだらない
「小蘭」え〜っ
「梨花妃」ハァ ハァ…
「猫猫」頭痛に腹痛に吐き気…
考えられるのは毒殺か…
いや皇位争いなら公主が狙われる 理由は無い
毒を盛られた可能性は少ないだろう 疑うとすれば病気か…
もしかして 血筋だろうか
たかがウワサ話に 何を真剣になってるんだ
こんなのはただの憶測にすぎない すぎないが…
「猫猫」ちいとばかし行ってみるか
そそそそそ…
「猫猫」さすが 上級妃の宮が
集まっているだけあって 柱ひとつとっても
私たちのいる建物より よっぽど洗練されてるな…
( たたく音 )
「梨花妃」お前が悪いんだ!
「桜花」玉葉様
「梨花妃」自分の子が娘だからと
男子の吾子を呪い殺す気だろう!
「玉葉妃」そんなわけないと
あなたも分かっているでしょ 小鈴も同じように
苦しんでいるのですから
「宦官」梨花様は相当お怒りだな
「宦官」玉葉様もお気の毒に
「高順」壬氏様…
「壬氏」はぁ…
「玉葉妃」ですので 娘の容体も
診て いただきたいのです
「やぶ医者」ええ でも… あの…
「猫猫」あの真ん中の オロオロしてる宦官が医官か?
バカだろ あのヤブ あれだけ 妃2人のそばにいて 本当に気づいてないのか
いや…それ以前に知らないのか
「猫猫」幼児の死亡 頭痛と腹痛と吐き気
そして 何より梨花様のげっそりとした様子やはり これは
呪いでも何でもない問題は どう伝えるかだ
何か書けるものさえあれば…
( 梨花妃の泣きわめく声 )
「猫猫」東宮が亡くなられたという
話が回ってきたのは それからひと月もしない頃だった
「玉葉妃」何か聞きたいことでもあるようですね
「壬氏」それは…
「玉葉妃」私が水晶宮を訪ねて
娘を診てもらいたいと言った日です
あのあと窓辺に置いてありました この枝に結んで
「壬氏」石楠花ですか
「玉葉妃」”おしろいは どく赤子にふれさすな”
無知は罪ですね
「壬氏」宮中の医官は このような当回しなことを
しないでしょう
「玉葉妃」ええ 最後まで 東宮の処置が分からないようでしたから
「壬氏」この文 いったい誰が…
「玉葉妃」それを探していただきたいのです
「壬氏」そういえば あの時…
「何か書けるものさえあれば…」
「壬氏」フッ
「玉葉妃」ん?
「壬氏」承知しましたこれは しばらく
預かってよろしいですか?
「小蘭」帝は 生き残った公主様を慈しんで
玉葉様のもとに通ってるんだって
「猫猫」梨花様のところへは?
「小蘭」全然 ウワサ聞かないね
「猫猫」ああ…都合のいいことで
「宦官」ああ こんなところにいた
「2人」ん?
「宦官」今すぐ宮官長の部屋に来るように とのことだ
「猫猫」へ?
「小蘭」呼び出し?
「猫猫」何の用だろう…
「宦官」よしでは ここに集まった全員
中に入るように
「猫猫」下女が偉い人に呼び出されるなんて…
嫌な予感しかしない ただの人手不足か?
「壬氏」わざわざ集まってもらって
申し訳ない
( 歓声 )
「下女」ステキだわ…
「猫猫」何だ この偉そうな女官は…
「壬氏」私は後宮管理者の壬氏だ
( 歓声 )
「猫猫」男なのか さては小蘭が言っていた
ものすごく美しい宦官というのはこいつのことか
「猫猫」もったいないな
この美貌があるのに子供が成せないなんて
ん?ソバカスお… んな…ヤバい
「下女たち」ん?
「壬氏」今日は これで解散だ 部屋に戻っていいぞ
「下女」え?
「下女」どういうこと?
「猫猫」何か目をつけられるような
ヘマをしたか?まさか 先日の文が…そうか!
この中で文字を読める下女は私だけ それをあぶり出すために
あの書き物を… ヤバい 早く逃げよ…
「壬氏」ダメじゃないか 君は 居残りだよね?
黙って着いてこい
「猫猫」ハメられた
「壬氏」不思議だ調べたところ
君は文字が読めないことになっているんだが…
「猫猫」はい…卑賤の生まれでして
何かの間違いでしょう
「誰が教えるか世の中は 無知なふりをしていたほうが
立ち回りやすい大体 この男に なんで文のことが
バレてるんだ?十分 周りに気をつけていたのに」
「猫猫」ぐぬぬぬぬぬ…
なんて うたがり深いんだてか 暇人すぎるだろ
「紅娘」どうぞ
「壬氏」失礼します
「猫猫」何を とがめられるのやら…
生きて帰ってこれると いいけど
( ノック )
「壬氏」かの者を連れてまいりました
「玉葉妃」どうぞ
手数をかけました
「猫猫」あ…
( はしゃぎ声 )
「猫猫」よかった…
「玉葉妃」あなたが…鈴麗の命を助けていただき
感謝しています
「猫猫」そ…そのようなことをされる身分ではございません
「玉葉妃」いいえ どれほど感謝してもしきれません
あなたはやや子の恩人ですもの
「猫猫」人違いではありませんか?
何か勘違いをされているのです
「壬氏」実は 玉葉妃からあるものをお預かりしている
「猫猫」うう…
「壬氏」これは 下女の仕事着に使われる布だと
知っているか?
「猫猫」そういえば 似てますね
「壬氏」ああ 尚服に関わる下女用のものらしいな
例えば君のような洗濯係とか…
もしかして スカートの裾でも裂いたのだろうか?
「猫猫」あっ…くっ…そこまで バレていたのか
「壬氏」説明してもらおうか
なぜ 石楠花の枝を窓辺に置いたのだ?
「猫猫」 ハァ… あの日 事件の真相に気づいたからです
原因はおしろいだと 私の育った花街でも高級おしろいを使っている
妓女は多くいました そしてほとんどがおしろいに含まれる
毒に体をむしばまれ命を落としました
命と美貌を てんびんにかけ結局どちらも失ってしまった
私は 薬屋でしたので毒には詳しいのです
「壬氏」そのおしろいは…
「玉葉妃」子供の乳母が使っていたものです
他のおしろいに比べて白さが目立つと 好んで使っていました
乳母も体調が悪かったようなので 暇を出しました
金子も十分 与えて
「壬氏」そうですか
「玉葉妃」無知は罪ですね 子供の口に入るものを
もっと気にかけるべきでした
「壬氏」私も同様ですもっと 早くに気づいていれば
多くの命が救えたかもしれない東宮も…
「玉葉妃」文を見つけて 梨花妃にも
おしろいのことを伝えましたが…
私が何を言っても 逆効果だったみたいです
「猫猫」それで…
「玉葉妃」あ…
「猫猫」私は何をすればよろしいのでしょうか
「玉葉妃・壬氏」フッ
「玉葉妃」フフッ それでは 今日から私の侍女になってもらいます
「猫猫」は?
「ナレーション」猫猫が抑えられないものそれは 好奇心と知識欲
そして ほんの少しの正義感
「玉葉妃・壬氏」フフッ
「猫猫」ヤバい ヤバい…
ヤバい ヤバい ヤバい ヤバい ヤバい ヤバい…
いや おとなしく働いていればどこにいたって…
「小蘭」あっ猫猫 おかえり猫猫どうだった?
「ナレーション」こうして 猫猫は帝の寵愛を受ける
玉葉妃の侍女となったのだったまあ いわゆる 出世である
( 兵士たちの話し声 )
「兵士」ああ…
( 倒れる音 )
「兵士」おい!
「村人」ああっ…
( 倒れる音 )
「毒だ!」
次回予告
第2話 無愛想な薬師
次回♡50