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その日は雨が降っていた
コンビニ帰りの途中
ふと、耳に入る声
赭)…ん、ダンボール?、
電柱横、ポツンと置いてある
一つの箱
赭)…猫か、
捨て猫…
汚れもなく綺麗、ついさっき捨てられたのだろうか
…行く時は居なかったよな、
赭)ん、?どうした?
すり、と手に寄ってきた
ゆっくりとこちら向き、視線が交わる
赭)…綺麗な目、してんのにな…
透き通る水色
そのビー玉の様な瞳に見つめられてしまったら
ひとたまりもない
赭)…来るか、?
そう猫に話しかけると、
にゃー…と控えめに鳴いてみせた
、
赭)…まずは風呂か、
風呂…風呂、意外と最難関だよな…
赭)…じっとしてろよ…
意を決して目の前の猫に手を伸ばした…
、
赭)いッてぇ…
お見事、
左の手の甲には一本の大きな爪痕
まぁ…別にいいんだが
そーいえば、名前…
赭)何がいいんだ…?
と、聞くと
こてっ と首を傾げる
…可愛いやつ
赭)んー…じゃ、あん時小雨降ってたから
「こさめ」
…どうだ?
にゃぁ
赭)…よろしくな、こさめ
…これから、猫との癒しライフが始まると
思っていた…んだが、
、
ぴぴっと目覚ましが、ゆっくりと目を覚まさせる
赭)…朝、
ん…背中あったけぇ、
そーいや昨日、寝る前こさめ背中に居たっけ
眠気が取れないまま体の向きをこさめの方に向けて、腕で包み込んだ…
はずだった
赭)ん……はッ?
ぷにっとした感触に、
小さくない体
赭)はッ、はぁッ?
急激に目が覚める
…、人?
ッ、どっから…
赭)…ッ!
…起きた、
目の前のそいつはゆっくりと体を伸ばして、
こう言った
瑞)おはよぉ…なつくん、
赭)な、なんで俺の名前…
瑞)…だってなつくんでしょ?
赭)…?、
瑞)こさの新しい飼い主、
赭)…は、お前…こさめ?
瑞)そーだよっ!
猫が…人?、まだ夢でも見てんのか
瑞)も~昨日こさめの印つけたでしょ?
赭)こさめの印って…これの事?
瑞)そうっ!その引っ掻き傷!
赭)…猫の姿には戻れんの?
瑞)んー、契約したから無理!
赭)まじか…所で、何歳?
瑞)12歳!
赭)…まだまだチビだな、笑
瑞)…これからだもん、なつくんは何歳?
赭)…14、
瑞)変わんないじゃんっ!
赭)…先輩ですー
そんな会話を淡々としていった
…どうやら、夢じゃないらしい
これから騒がしくなるな
…
なつくんに拾われて…
あれから三年が経ちました
今…こさめはピンチかも知れません、
瑞)ゔぅ…
リビングに1人、クッションに顔を埋めながら唸る
…最近女の人の匂いがする、
なつくんも高校二年生だし?
恋くらいするよね、
…そしたらこさめ、要らなくなっちゃう?
また…
瑞)って、違う…そんなことないもん、
今日もなつくんは高校に行く、
…寂しいって思うのはわがままかな
、
瑞)あれ…雨降ってきた、
今日なつくん傘持ってなかったよね…
…お迎え行こう!
そんな軽い気持ちで外に飛び出した
瑞)確か…この道でなつくんと会ったんだっけ、
どこか、ノスタルジー…な雰囲気に包まれ、
ゆっくりと歩いて行く
瑞)…!
なつくんの声がする…!
耳がぴくっと動いたのは内緒にして、
少し足早に声のする方へ
瑞)なつ…くん?、
こさめのダンボールがあった道を少し進んだ所の雑貨店
なつくんの姿は見えた
女の人と一緒に
瑞)ッ…、
楽しそう、
…いいな
赭)…こさめ?
瑞)ぁッ…
やばっ…
赭)…ちょ、こさめっ!
…後ろから聞こえてくる声を無視して、
走り出してしまった
傘は手からすり抜けて、
水溜まりに落ちる音がした
、
走って着いたのは小さい公園
瑞)…、
雨の中、何も持たずにブランコに座った
…人は、恋人を作る
そしたら…ペットの事なんかどうでも良くなっちゃうんやもん、
また捨てられるんやったら…自分から居なくなった方が…、
「こさめッ!」
…
赭)…見つけた、
瑞)ぁ…
赭)ッ、
なんでそんな怖がった目してんの?、
赭)こさめ、
瑞)いやッ…
赭)…聞いて?
瑞)やだッ!、
がりっッッ
赭)ッ…
頬から、つぅっ と流れる赤い血
…今はそんなことどうでもいい
瑞)ぁぅ…ごめッ、
赭)こさめ…
…不安にかられてパニックになった飼い猫を優しく抱き締める
赭)…どうした、何があった?
そう、軽く聞き出そうとすると
泣き出してしまった
瑞)…だって、泣
、
赭)ぁ”~すまん、勘違いさせちまって…
瑞)…ぇ”っ?
赭)それってこの匂い?
手に持っている香水を少し手首に出して、こさめの鼻に近付けると
目を丸くして頷く
赭)これ…猫が好きな匂いらしいんだけど、嫌だったか?
瑞)…こさの、ため?
赭)…おん、
瑞)…いつものなつくんが良い、
赭)…りょーかい
そういうと、こさめは少し安心した様な顔をした
でも、すぐにまた涙ぐんだ
瑞)じゃぁ…さっきの人は、?
赭)、ほんとは家で渡したかったんだが…まぁいいか、
こさめに手を近付けると、少しびくっとしていた
でも、そのまま軽く触れていると
次第に
かちっ と音がなる
瑞)…これ、っ!
赭)そ…首輪、
瑞)…なんでッ?
赭)なんでって…お前は俺のだし、?
瑞)…!
赭)…首輪特注してくれる店があってさ、あの雑貨店はその知り合いの家
…少し戸惑った顔をして、控えめに首輪を触っている
どこか、嬉しそうに
すると…次第に顔を紅く染めていくこさめ
瑞)また…捨てられるかと思った、
赭)…不安にさせてごめんな、
ぺしょっと垂れてしまった耳
頭を撫でると少し恥ずかしそうに顔を背ける
瑞)びしょびしょ じゃん…
赭)お互いにな、
瑞)猫は雨が嫌いなんですけど…
赭)じゃぁ…帰るか、
瑞)ぅわっ!…ちょっと//
少し不安症の可愛い猫ちゃんを抱えて、
家まで一走り
…いつの間にか、
どしゃぶりの雨は小雨に変わっていた
瑞)…、
赭)ん、なに?笑
瑞)…なんでもないっ//
…そして、まだ暇なつは気付いていなかった
飼い猫の瞳にあるのはもう、
忠誠心だけでは無いという事に
コメント
1件
うわぁ…最後の一文、めっちゃ好きです。忠誠心だけじゃない瞳って…もう完全に執着じゃないですか(笑)こさめの「また捨てられる」って不安に駆られて走り出すシーン、読んでて切なかったけど、なつくんがちゃんと首輪用意してて「お前は俺のだし」って言い放つところで心臓が跳ねました…。雨の中の公園、びしょびしょになりながらも抱き締め合う2人、すごく良かったです🌙 八鮫さんの書く関係性、重すぎず軽すぎず、ちょうどいい温度で大好きです🥀