「デートって言ってもどこに行くんだ?」街並みを見ながらノンが言った。「そうだなあ。あ!今日お祭りがあるんだってよ!!行こうよ!」多分食べ物目当てだろうとも思ったが、正直デートと言うことではしゃいでいる。 「早く行くぞ」
「結構人多いね。」「そりゃそうだ。一年に一回だけらしいしな。」ノンが俺の左手をもの欲しそうに見つめている。「……手、繋ぐか?」「!うん!」祭りの明かりと、夕日の光によってだろうか、いつもより何倍も可愛く見えた。いや、事実今日のノンはいつもに比べて可愛い。いや待てよ「ノン、化粧してるのか。」図星のようだ。「やっぱバレちゃった?」頬が赤い、これはチークによるものと言ううわけでもなさそうだ。「当たり前だ、何年一生だと思ってんだ。似合ってるよ。」「へへ、ありがと」「でもなんでいきなり?」「エレが、今日は二人でデートに行きなさいって。この化粧もエレにしてもらったんだ。」だからか、あの二人は朝から妙にニヤニヤしていた。今だけは二人を褒め讃えたい気分だ。「ノン、花火が上がるってよ、行こう」とりあえず会話をしなければと咄嗟に出た。
「綺麗だね!!」「ああ、本当に綺麗だ」「それって私が?それとも花火が?」ノンがからかいながら言ってきた。「ノンが綺麗だ」思わぬ返事にノンは目を丸くしていた。「それは..どうも。」ああ、今しかないのだ。本当は、もっと前でも良かったし、ゾルドを倒してからの方が締まりも良い、だが今伝えないと今夜のうちに後悔して寝れなくなるだろう。
付き合ってほしい、でもない、ずっと一緒にいて欲しい、でもない、
「僕と、結婚してください。」
「え?」やはり戸惑っている。当然だ。本来こんなところでするなんてあまり聞かない。だが、相手はとっくに返事を決めていたかのように、
「喜んで」とだけ言った。ギュ今までにないくらい強いハグだった。
ピョンピョン飛び跳ねそうな笑顔をしながら彼女は言った「ねえ。なんで泣いてるの」嬉し涙なんて初めてだ。
「これからも末永くよろしく。」「もちろん!」
以上、「人魚と僕が結婚するまで」でした。いやー本当はゾルドを倒してからが良かったんですけど、自分でも「今しかないな」と思ってしまいましてね。
どうしても自分が作ったキャラには感情移入してしまうものです。
また要望が多かったら、これから先のお話も書かせてもらいます。最後まで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。
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