テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「そういえば、そあちゃんって女子なんだよね」
「はい、そうですよ」
「この界隈、女子まったくいないから嬉しい!」
「そういえば私とさくまゆさん以外、さくえむって男性ですもんね」
「そうなんだよ、女子少ないんだよ、なんで?」
「私に聞かれてもわからないんですけど」
と他愛ない雑談をしている5月の夕方。
さくえむに入った私は、視聴者への説明の動画や配信などで忙しかった。
それが、ちょうど終わったこの頃である。
「どうも。」
「おとしゃん!」
おとしゃんとはおとのさんのことだ。おとのさんは技術力がとてもたかくてすごい。さくえむのオリジナルゲームのコマンドも一人でつくったそうだ。
ただ、動画の定期投稿だけはできないけど。
「二人でなんの話してたんですか」
「この界隈で女の子少ないよね、って話」
「まぁ、ほとんど男性ですからね」
わたしたちは基本生声を出さない。機械音声に喋らせるのだ。
だから、わたしたちの性別はわからない。中身は男性でも女性の機械音声や立ち絵を使っている人もたくさんいる。
だけど、さくえむに入っている人は全員生声を出している実況者だ。
私は前まで生声を出していなかった。
だが、さくえむは生声で動画を出すことがあるから、私も出すことになった。
「なんで、今までそあちゃん、生声出さなかったの」
「まぁ、出す必要がなかったからですかね、出してみようかなとは思ったことはあったんですけど私生声だとガチオタなのでうるさいかなと思って」
「さくまゆも結構うるさいと思うけどね、あと先輩も」
さくまゆさんが言う先輩とは鳥もちさんだ。さくえむの既婚者メンバーだ。二人子供がいるらしい。
「鳥さんよりもオタクになると声がでかくなっちゃうと思う、多分」
「えー、それはだいぶ大きいね」
「鳥さんよりも声が大きいのはだいぶだと思う。」
「だから、やってなかったんですよね、いい機会だし自分のチャンネルでもやってみようかな」
「それがいいと思う!」
「あ、そろそろ時間なので落ちますね」
「オッケー、またね!そあちゃん」
「またね。 」
そう言ってわたしはチャットからぬけた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!