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「あ、あの!!」
私は、
「貴方の思想に惹かれました!!ファンです!!」
この殺人鬼が好きだ。
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自然になんて感情はない。植物にだって、魚だって、生きているけど、死んでいる。期待していないから、人間らしい行動をされると興味を持ってしまう。亀は賢い生き物かもしれないが、結局は死んでいる。トカゲは可愛いかもしれないが、痛みを感じない。なんなら、ネズミは賢いらしいが痛みは感じにくいらしい。
自分基準で考えるなら、それを貫き通すべきだと思う。
変化し続けたいと思うなら全ての変化を受け入れるべきだと思う
皆一緒であり、皆違うのだ
人は、残酷である。
この世界は使い古されているため、バグが多い。
生きたい所には行けないし、物はすぐ吹っ飛ぶし、何より裏の世界は気味が悪い。
ここにいる善の人は、どうにかバグを直そうと知識や能力を使い、悪の人はそれらを使い街を破壊する。
私の能力について話そう
私の能力は、「ウミガメのスープ」
自由にメモを出ししまい出来る。そのメモに何かを質問し、合っていれば書いた質問が赤色に、間違っていれば青色になる。その他は色の変化が無しだ。
私は自己中な人間だ。私が生きたいように生きる。命が危うい時は、相手を殺すまで。
裏切られることが怖いのだ。助けたって、返されない。対価などはない。ならば盗むまでなのだ。
楽な考え方をしたい。ひたすら底に落ちていたい。本当にいい人生をしてる人ってのは、今を生きていて、こんな事を全く考えない。だから楽なのであり、だから私は苦しむのだ。人は、残酷だ。
たまに来るカフェに来た。
ここは好きだ。気持ち悪くて。
全く笑わない店主。薬のような味の紅茶。
角はホコリが溜まっている。
歪な形で、気持ち悪い。
「〜〜」
ラジオから知らない名前の楽器と音色が聞こえてくる。間間で緊急ニュースが流れていて、今日も日常だった。
カランカラン…
珍しい。定員のような事を言うが、見慣れないお客様が来た。
「はぇ〜、趣のあるお店ですねー…」
そう呟くと、彼女は私の隣に座り、パーソナルスペースを一気に破壊してきた。
「貴方は常連ですか?」
「あ、いや、そんな…たまにくらいです…」
常連だろう。褒められて否定してしまう、そんなバグだろうか。ついついほぼ嘘を咄嗟についてしまった。
「へ〜…マスター?笑っていうのかな、私分からないからオススメ出してよ」
「…………」
黙って店主は作り始めた。
相変わらず無愛想だ。飲み物に対する愛情を、人にも移せないものだろうか。カチャカチャとガラスの当たる音と、ダマがあるラジオの音。カラフルな景色、汚い土の上にある植物の緑は、目を癒やす効果があるらしい。
「あれっ」
紅茶を渡された彼女が驚いた声を出す。
「君と同じの紅茶じゃないかな?」
「そ、そうですね…まぁ一番おいしいですもん」
「分かってるね〜?」
私はこの店の一番美味しいものを知っているのではなく、この紅茶を一番美味しく作ってくれるところを知っているだけだ。
「んん、おいしい。」
ふと、彼女が安心したように体を伸ばす。今日は、少し変わった日になりそうだ。
「じゃ、」
今日は、
「マスター」
……今日は
「いい夢見てね♡」
いい日になりそうだ。
バチン!!!!!!!
「っは、えっ?あぁ、ぁ、、???」
女性が店主に指を鳴らすと、店主は倒れ込んだ。
私にはその手の音が、大きく、大きく、まるで音が実体になるような感覚がした。
「えっ、ぁえ、こ、こ、れ、生きて…、」
「ないよ、無くなるよ、」
「…ほら、見て、ちゃんと見て?」
ガッツリと大きな体に掴まれ、強制的に目を向けさせられる。
「………はっ、…………はっ、……………っ、………」
「ちゃんと見れたー?」
「な、なんで、こんなこと…っ!!!」
「ふふ、抵抗しちゃだめだよー?」
「あぇ、あ゛、ぁあ、…………」
彼女が右手を上げた途端、そこにしか目が行かなくなった。他にいく余裕がなくなった。そこにしか見る気が起きない。何も考えたくない、あぁ、これ、やばいかも、
パチンッ!!!
「じゃ、私本当に帰るから〜、君は皆に見つかるまで動いちゃだめだよ〜、あ。あと、この事は秘密ね!」
そのまま優雅に外に出てしまった。
見逃された、のか……。力が抜けた瞬間、汗が噴き出し、心臓がうるさく、力の出し方を忘れてしまった。震えが止まらない、誰か、誰か助けを呼ばないと。
一瞬の出来事だった。早い。私がこんなのに対局したら、瞬殺だ。
あぁクソ、
人通りが少ない事が裏目に出た。
ずりずりと重い足を引きずり、道を抜け、すぐに助けを呼んだ。
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私は悪の人間だ。なのに、いざ困ったら正義の人に助けを呼ぶなんて、臆病ではないだろうか。
……まぁ、これは助けを呼んだあとに考えたことなのだが。
アクタナティブ・リサーチ社。ここはバグの修正、問題解決、占い、お悩み相談…その他にもいろいろな事ができて、言うなれば何でも屋みたいなところだ。他のグループに比べて個性が強く、優秀な人が多いらしい。
「…へぇ、近所の店で店主が殺された、ねぇ…」
「わ、私は、いつもどうり紅茶を飲もうとして…それで、…あの、女性が……っ、殺して…!」
「…………一旦落ち着こうか。」
「……っは、……っは、………」
「深呼吸をして、水を持ってくるよ」
「……は、…ひゅ、っあ゛………はっ、……」
水を取りに行くために立ち上がった社員は、私の様子を少しの間上から見下ろし、呆れたように口を開いた。
「過呼吸になるぞ」
「っ、ごめんなさ、、はっ…、息が、…、出来なくて…、」
「息を吐くことだけ集中しろ」
「はっ、……っ゛……………っはぁっ、はあっ」
「……あぁ、なるほどね」
「ーもしかして君、催眠にかかってないか…?」
「…え、…?」
「恐らく興奮作用があるのだろう、…そうだな、少し待ってくれ」
「…は、い、…………っ、」
「これ飲んで」
「…………………………」
「…………っは、…………こ、れ、何ですか、……?なんか変な味が……、?」
渡された水のような液体。水らしいが少し青い。緊張しているからだろうか、正常な視界と判断が出来ない。あ、あれ?なんか、凄くまぶたが重い………ような、……これ、眠っちゃ……………………う
「………ん……」
「おはようございます!」
誰…?てか、ここは…
「ごめんなさい、今はいるかさんいなくて…」
「いるかさん……?」
「はい!帽子かぶっててゆるゆるのTシャツ着てる人です!」
そうだ…事件があって、ここに来て、…きっと何かの薬を飲まされたんだ。そして私は眠ってしまった…
「大体の話は聞きましたよ!いるかさんいわく、犯人はこの人なんじゃないかって…」
「っか、彼女の正体がもうわかるんですか?!」
「はい!結構有名、というか、裏では有名って感じです」
「……?これが名前ですか?その、苗字とか」
「偽名ではないでしょうか…?うーん、名前を名乗るのは何でも自由ですから…でも一般的にはルイイで名が通ってますよ!」
「…ルイイ……」
「はい!では、もっと情報提供お願いしてもいいですか?!」
「…わかりました…」
規模が小さいこともあって、2時間ほどで終わった。家に帰り、メモを出す。
ールイイ。
「彼女は過去にも人を殺した?」
とそうメモに書いた数秒後にメモに書いた文字が赤くなる。
やっぱり、殺人には慣れているのか…
・日常的な殺人
・殺人による達成感
・今回の犯行は気まぐれであり、お金を持っていなかった
・ここの地域に住んでいる
連続殺人者。独り身。180cmほどの高身長、美しい美貌、黒く長い髪、癖っ毛とストレートの髪が混ざっている。
「最高なもの」を壊していると思われ、今後規模が大きくなっていくだろうと想定されている。
その他にも、定期的に人を誘拐し殺害していると考えられており、物や死体を隠蔽することはほとんどなく、それら全てに証拠は見つかっていない。
この世界は善も悪も、どちらも尊重される。いや、正確には大きな指導者がいないのだ。だから何をしてもそれを処罰する人や権力、犯罪がない。ただ、悪は皆に迷惑をかけ、善はそれ以外。それだけなのだ。…
それだけなのに、何故だろう。彼女の事が気になって仕方がない。まだ心臓が浮く早い。
この連続殺人者を、私はとても魅力的に感じている。
もっと、もっと知りたい。彼女を、ルイイを、知り尽くしたい…そして、…、…そして彼女を、
この手で殺してやる
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「…馬鹿なのか?」
「はいぃぃ…ごめんなさいぃ…」
「そんな簡単に情報をスラスラと受け渡して…あの子に変な気を起こしたらどうなる」
「はいぃ……あの女の子と敵対してしまいますぅ……」
「ったく、なぜ君はたまに馬鹿なんだ」
「すいませんん………善処します…」
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能力を使い、地道に情報を手に入れついにルイイの住所を知るところまで来た。
・彼女、ルイイは一軒家に住んでおり、週1で外食に行っている。
・殺人は無計画であり、主観で素晴らしいと思ったものを破壊することが目的である
・ルイイの優しさは気まぐれであり、裏がない。逆に言えば思ったことをすぐに口に出す為、失礼な発言や不快にさせる発言も多く、関わる人はいない。
・アルコール中毒で、たまにタバコも吸っている。
・活動の他に、人を家に連れて監禁、殺害をしている。
私は感銘を受けた。人生というのは、世界というのは、私達が作り、築きあげたものなのだと。そうやって上に上に、積み重ねて、それが形になって今なのだと思っていた。それをルイイは全て崩し、全て混ざったものを人生だと言っているのだ。
彼女は芸術だ。人生をかけて芸術を見せている。
だがルイイの周りには誰もいない。だからこの無意味さすら芸術にしてしまう。
どうすればもっと彼女を知れる?
どうすれば彼女に触れられる?
…考える事が無くなったのなら行動だ。