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8月31日
夢を見た気がした。
いつもの風景に、1人の女の子。
遠くからでよく見えなかったけど、
長いオレンジ髪がよく映えていた_。
一瞬見えた朱色の目。
その子は何処か見覚えがあるように思えた。
黒「まぁ、そんな訳無いか…」
そう、俺は言い聞かせた。
でも、俺の胸の中にはその夢を見た日から
ぽっかり穴が空いたようだった。
まるで、何かを失ったような。
何かを忘れてしまったような
目が覚める最後彼女が発した言葉
すらもう何も覚えちゃいない。
あれから1年が経ち、
俺はあの事をすっかり忘れていた。
忘れても尚、胸にある穴が空いたような
違和感は無くならなかった。
でも、今は関係ない。
結局この1年何もなかったんだから。
そう思いながら、
俺は懐かしの神社にお参りに行った。
毎年ながらに同じ事をお願いし((
黒「…は、ッ」
その瞬間、俺の体は後ろと倒れていった。
黒「ん…っ」
うっすら目を開けると実家の屋根が 映ったことに違和感を覚える。
ここは神社ではないのか、?
黒「(起き上がる」
黒「…?」
俺の予想は的中し、ここは実家だった。
いつも俺が昼寝をする場所で、
あと、_____
何だっけ…?
?「あ、起きた?(笑」
後ろから女の子の声がした。
後ろを振り向くと、
そこには1年前の女の子が立っていた。
今回は近く、彼女の顔ははっきり見えた。
?「ぐっすり寝てたねぇ…(笑」
?「おはよう、黒」
そう彼女は笑いながら言った。
彼女の笑顔は今にも崩れてしまいそうな、
悲しそうな
でもそれを隠すような明るい笑顔だった。
彼女を名前は橙と言った。
橙「涼しいねぇ…」
黒「え、あぁ…そう、ですね」
橙「ぷっ…敬語…(笑」
橙「私たち同い年だったんだし
タメで良いよ(笑」
彼女と話すのは不思議と初めてとは
感じなかった。
1年前と同じ、あの感覚に包まれていた。
橙「…ねぇ、黒…」
橙「何で、戻ってきちゃったの…?」
黒「…え?」
俺は理解が出来なかった。
戻ってきた?俺がここに、来るのは初めてだ、
この場所も、この子にも見覚えなどない。
橙「まぁ…無理ないか…(笑」
橙「ねぇ、黒」
橙「ここはね、8月32日の世界なの」
8月32日
そんな日付は聞いたことなかった。
存在しないから、
黒「うそ((」
橙「嘘じゃないよ」
橙「ほんと…」
橙さんは悲しそうな顔をした。
橙「私たち、実は5年前にも来たこと
あったんだよ? 」
黒「ッッ…ぅ、 」
その瞬間、俺の頭に1つを記憶が流れてきた。
失っていた記憶__。
存在していたのに、
存在していなかった記憶。
すべて思い出した。
8月32日の世界のことも
橙さんのことも、
なぜ記憶がないことも、
俺と橙さんは毎年8月31日に
なると
神社でお祈りをしていた。
「夏休みがもっと続きますようにっ!!」
すると、神様がその願いを
叶えてしまったのだろう。
目が覚めたら、同じ8月32日の世界だった。
最初俺達は大喜びだった。
2人で出かけてずっと遊んでた。
でもこの世界はいくら経っても終わりはなく、
夜が来て朝になっても8月32日のままで
町の人も居ない生き物も居ない世界に
俺達は嫌気がさした。
そこからは2人でこの世界から
抜け出す方法を探していた。
8月32日の世界に迷い込んでかは数カ月ぐらい経った頃だろう、
神社に神と名乗る物が現れた。
神「元の世界に帰りたいのか?」
神「お主達が願ったことだろうに…」
神「まぁ…良かろう。」
神「ただし…帰れるものは“1人”じゃ」
神「元の世界に帰った後は記憶を失う。」
神「この世界も残ったものも忘れても
普通の生活を過ごすのだ。」
神「誰がどうするかはお主次第、」
神「2日までに決めるんだな。」
そこからは俺達は話し合った。
必死に必死に
2人で抜け出す方法を考えよう、
あれこれ試した、
でもダメだった。
そして2日経ち、
そこで事件が起こった。
橙さんは俺1人だけでも帰れるように、
1人で神のもとに行き、
「黒を元の世界に戻してください。」
そう願ってしまったのだ、
俺はその事を帰らされる前に
神に伝えられた。
元の世界戻った俺は、
そのことなど忘れても過ごしてしまったのだ。
だが、なぜだろうか。
俺はまた毎年神社に
「夏休みがもっと続きますように」
そう願っていた。
それで、神様がまた願いを叶えてくれたのだろう