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「なんで標識のスペルが全部間違ってんだよ!っておい地図に触んな!!間違ってんだよそれ!!」
「道路に集中しろソクラテス!あと私、地図触ってないよ!勝手に動いてんの!」
「だから俺ら共同で歴史なんか作れねーんだよ!」
「んなことどうでもいいからさ!その借金取りに追われてんのかってレベルの無茶な運転やめてくれる!?」
密閉された車内に怒鳴り声が響きあう。
先ほどから前列シートでは、
ハンドルを切りながらギリシャがぐちぐちと文句を垂れ流し、ブルガリアが半ギレしつつ集中を促す光景が広がっていた。
地図に触れていないことを証明するかのように、ブルガリアが眉を顰め、腕をしっかりと組む。
そこは妙にユーモアのある罵倒が延々と続く地獄だった。
そして一方後方座席。
「お前の席は!歴史的に!俺の領土だった!!」
乾いた音が車内の籠った空気を裂き、セルビアが怒声とともにクロアチアを引っ叩いた。
「ってかいちいち肘が当たるんだよ鬱陶しい!!」
「は?僕肘なんて当ててねえから間抜け!」
クロアチアも負けじと叩き返す。
べしっ、ぱちんっ。
面白いくらいに、小気味良いリズムでお互いに、頬や額に赤い跡を作りあっていた。
「いい加減に叩くのやめろよクロアチアてめえ…っ!」
「こんなんだから僕ら分離したんだよ!」
やっぱり後部座席も地獄なのであった。
さすがヨーロッパの火薬庫。物理的にも精神的にも、爆薬を抱えている奴が多いのだろう。
「俺のもんほぼ全部盗んでいきやがってこの野郎…」
「僕ずっと西向いてたわこの野郎!」
ここまでピリ、どころかビリついた空気が流れていれば、居眠りどころか
車酔いすることすら出来ないだろう。
先ほどから全く飽きることなく罵り合いは続いていた。
肘が当たったことから、過去の歴史の因縁。
彼らが和解する日は、きっと、まだまだ遠い…
「ねえちょっと、まだ着かないの!?!?」
延々と続く怒りのやり取りにうんざりしたのか、助手席のブルガリアがギリシャに声をかけた。
「まだだ!」
「全く動いて無い気がすんだけど。」
それは確かにそうだった。渋滞、などでは無いのに、周囲の景色が全くと言っていいほど変わらない。
陰鬱などろりとした曇り空。
道に植えっ放しにされたたまま、カピカピに干からびている木。
見ているだけで嫌になるような景色は、先ほどからびくとも動かなかった。
八つ当たりでもするように、勢いよくギリシャが答えた。
「なぜなら動いて無いからだ!!」
ブルガリアは窓にぴたりと手をつけて、車輪の方を見やった。
そこには、コンクリートのブロックが、申し訳程度、とでも言うみたいに、タイヤがわりに置かれているだけだった。
どうやらルーマニアが今度は、タイヤ泥棒に力を入れ始めていたようだ。
無限のロードトリップ/完
polandball.jp/blog-entry-16603.html
↑マジのガチで信じられないほど面白い原作コミック様
#日本愛され
さくら餅の葉っぱ
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