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数十年が過ぎ、叶は不老不死の体で生き続けた。戦争は終わり、ヴァンパイアと人間の間に一時的な平和が訪れていたが、叶の心は癒えなかった。彼は葛葉を蘇らせる薬を完成させたが、葛葉の魂はすでにこの世を去っており、薬は無意味だった。 叶は葛葉との思い出が残る図書館に立ち、かつて二人が座った椅子を見つめた。そこには、葛葉が愛読していた吸血鬼の小説が置かれていた。ページをめくると、葛葉の筆跡で一言書かれていた。
「君が笑うなら、俺はどんな運命でも受け入れるよ。」
叶は本を胸に抱き、涙を流した。不老不死の体を手に入れた彼は、永遠に葛葉の影を追い続けるだろう。だが、その先に救いはないのかもしれない。