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今週は珍しく学校に行くことの無い週末。
田中先生の家に泊まる事になった。
(一緒に住んだら楽しそうなんだけどな)
色々と考えながら田中先生の家の前に着いた。
「一緒に住みませんか?」突然目の前のドアが開いたと思えばそこには田中先生がいた。
そして何かを問いかけられた。
「ん?…は?」インターホンも鳴らしていないのにドアが開いて、心を見透かされたような問いに頭がこんがらがる。
(田中先生ってこんなに行動が急な人だった?)
「とりあえず入ってください!」
(なんか元気そう)色々と気になる所はあるが、とにかく家の中には入った。
田中先生の家は5階建てマンションの2階の一室にある。家の中は家具が綺麗に並び、窓際には観葉植物まである。
ついさっきまで仕事をしていたのか、リビングの机には書類と開かれたパソコンが置かれていた。
「色々と散らかってますけど昨日結構片付けたのでソファとかでゆっくりしてて下さい」(これのどこが散らかってるんだよ)ドラマで見るようなモデルハウスかと思うほど整理整頓されている。
「充分過ぎるくらい綺麗なんだけど」完璧な田中先生への嫉妬を込めて少し愚痴を漏らす。もちろん冗談。
「そうですかね?でも祥平先生がそう言ってくれるなら安心しました」暖かい笑顔で少し照れられるとこっちはその倍照れる事を田中先生は知らない。
(いつもはクールなくせになんでプライベートはこんなに可愛いんだか)
「ほんと…罪でしかない」つい思っていた事が口に出てしまった。
「誰がですか?」きちんと聞こえていたのか微妙な距離から問いかけてきた。
まじまじと見つめてくる田中先生の目からは逃げられない。すぐに言い訳を考えた。
「えーっと…高校の頃の同級生…?」軽く疑問形になったしまったが不安故の気にしすぎだ。なるべく真っ直ぐに田中先生の目を見る。
「そう…なんですね」言葉と言葉の間に少しの間があった。何か気にかかったのだろう。
(さすがに他の人を出すのは不味かったか)
自分の気の使えなさに少し反省した。
先程より少しうなだれて見える田中先生にかける言葉を探した。
「でも……田中先生を超えるような罪な男には一生出会えないだろうなー」
「え…… 」田中先生は驚いたような顔で数秒間、祥平の顔を見つめた。
「俺ってそんなにダメダメでしたか?」予想外の返答だった。
「結構頑張ってかっこいいと思われるように行動してたんですけど…」感情が読み取れない。表面上では悲しそうな顔をしているのに、どこか違う。
「田中先生は読めないイケメン」自分で何だそれと思うほど意味不明な事を言った気がする。
「さっきのも…言い訳。1番は田中先生」変なところで誤魔化そうとするのが自分の駄目なところ。本心を伝えた。
「……良かった〜」何か呟いていた気がするが、良かったしか聞こえなかった。
しかしその事を問おうとせず、お茶の入ったマグカップに口をつけた。
つづく