宇佐美と佐伯が次に目を覚ました時、2人は宇佐美の自宅にいた。
2人の記憶は事後直後で途切れており、そこから宇佐美宅で目が覚めるまで全く覚えがない。
2人とも全身清潔な状態で部屋着姿でベットの上にいた。
「え、あの…ヤったよね俺ら」
「………もっとさぁ…言い方ってもんがあるでしょ」
夢かと疑う宇佐美が聞けば目を逸らしながら佐伯が肘で小突いた。
見れば佐伯の瞼が腫れている。
今度は宇佐美が口元を隠しながら目をそらした。
「……うわぁ」
その瞼から鮮明に蘇る佐伯の扇情的な姿。その瞼を腫らした原因が自分……。にやけながら顔が熱くなるのがわかった。
「ごめんね。無理させて」
「……俺がリト君の言うこと断れないの知ってて言ってたでしょ」
「え……あ、マジじゃん。全然嫌って言わなかったな」
「嫌だったら嫌って言うけど最後のはやり過ぎじゃない?」
「本当にごめんなさい」
佐伯が珍しくピシャリと言うと宇佐美はしゅんと眉尻を下げた。
そういう顔されるとなんだかんだ許したくなってしまう。惚れた弱みとかいう奴か、と自分の単純さに思わず佐伯は苦笑した。
「マジでエロくて、テツが」
「ちょっ、いらないからその感想」
「顔から体から全部さ」
「わーー!!!!わーー!!!!聞こえない!!!!わーーーーーー!!!!」
話を押し進めようとすると赤面して耳を両手で塞いで喚く佐伯。動物の威嚇じゃないんだから、とそれを見た宇佐美が腹を抱えて笑った。
その後、もう一度あの時の話をしようとすると、佐伯は羞恥心で死にたくなるからその話しないで、と顔を真っ赤にしながら宇佐美に大声で抗議した。
その後の2人に何か大きく変化が起きたりはしなかった。
日頃からセックスするようになったりとかはない。
佐伯はあの1回で十分だと思ったのと恥ずかしいから無理。
宇佐美はあの1回があまりにも強烈過ぎたから暫くは要らない。
という理由。
些細な点としては2人とも唇にキスする回数が増えたことくらい。
といってもそこまで頻繁じゃない。
お互い2人だけで過ごしているタイミングで愛おしいとか可愛いとかいう感情が溢れた時にする程度。
本人達はそういう認識だった。
「じゃあお疲れ」
「うん、また明日ね」
ヒーローの仕事終わり。先に仕事を終えた佐伯と宇佐美を見送った赤城と緋八。
2人は佐伯と宇佐美が付き合った報告を第一に受けた、良き同僚であり友人。
「仲良しー。2人とも絶対一緒に帰るもんね」
「ほんまにな」
赤城が窓から並んで帰路につく2人を微笑ましく思いながら見送っていると緋八が呟く。
「なんかさ、距離近くなった感じせん?」
「え?」
「あいつら周りに配慮してさ、2人だけの時以外は割と距離とってるやんか。今もそうやけど。上手く言えんけど雰囲気がさ」
「近いかー?」
赤城の目に映る2人の距離はそこまで近くないように見える。
知らない人から見ればただの仲の良い友人同士だろう。
「なんか、なんかさ、分からん?心の距離的なのが縮んだ感っていうか」
「えー?ある?」
緋八がいうその感覚は赤城には分からない。ちょっとだけ雰囲気が変わったような、と言われてみればそうかもしれない。
冗談めかして赤城が言う。
「えっちでもしたんじゃない?」
「はははッ、そういうね。そうかもしらんわ」
コメント
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ほんま…大好きです!!!