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◇◇◇◇◇
マリス:「やっぱり、聖なる樹海沿いってハンターがいないのね。」
レキ:「確かに。誤算だったな。
ちょっとルートを変えるか?」
マリス:「ちょっと待って!レキ。何か来てるわよ。」
レキ:「そうなのか?何人だ?」
マリス:「1人ね。だいぶ強いと思うわ。
私たちに向かってものすごいスピードで接近して来ているみたいよ。
もしかしたら、ターゲットにされてるかもね。」
レキ:「なら、ハンターズか……。
だとすれば、Sランクの可能性が高い。
まだ、俺には手に負えないかもな。
ただ、探す手間が省けたよ。」
マリス:「それはどういうこと?」
レキ:「ヘルサイズ幹部になる条件だ。
通常なら実績を徐々に上げて、位を順に上げていくんだが、一発で上がれる方法がある。
それがSランクハンターの首だ。」
マリス:「へえ。そのチャンスが向こうからやって来たってことかしら?」
レキ:「まだ、相手が分からないがたぶんそうだ。
ただ、Sランクもピンキリだからな。
油断するなよ。」
マリス:「わかったわ。
そのハンターがものすごいスピードで迫って来てるから、もう来るんじゃない?」
レキ:「そうか。じゃあ、ここで待ち伏せしよう。」
◇◇◇◇◇
ハデルは、ヨルンの街から北へのルートを予測して、2人組の気配を探っていたが、ついに見つけた。
その辺りは人の行き来はほぼないルートなので、あたりをつけることは容易だった。
ハデル:「禍々しい気配だな。
あれが対象で間違い無いだろうよ。
久しぶりの本部からの指示が生死問わずの賞金首討伐だからな。
しかも合計で3億とはついてるぜ!」
少し前にSランクハンターに昇格したハデル・ミゼールは、少々血の気の多い戦闘狂で、本部からの指示が調査ばかりなことに不満を持っていた。
今回は久しぶりに戦闘が思う存分できるとあって、かなり昂っていた。
ちなみに彼は闇懸賞金は2億ペロの強者だ。
ハデルはものすごいスピードでレキたち2人組に追いつく。
ハデル:「おい!出てこいや!」
物陰から2人が現れる。
ハデル:「ほう。ビンゴだ。
レキ・グランベル、1億。
マリス・オズボーン、2億。
占めて3億だな。」
レキ:「そういうお前は誰だ。」
マリス:「人をお金で数えるなんて失礼なやつね。」
ハデル:「ははは、気にするな。
俺はハデル・ミゼール、2億だ!」
マリス:「自分もお金で紹介するなんて面白いわね。」
レキ:「そうだな。やはり、Sランクか。」
ハデル:「じゃあ、早速喧嘩するか!
2人同時でいいぞ!」
マリス:「あらそう?じゃあ。
暗黒の闇に飲まれなさい。
マカイブラック!」
ハデルの視界が一瞬で消え去る。
マリス:「どうかしら?ハデルさん。」
ハデル:「なるほどね。闇の中か。
これが本部が言ってたやつだな。
覇っ!」
マリス:「あら、あなた解除ができるのね。」
今回、本部はリオたちから聞いた情報から、状態異常の基本耐性が強いハデルを選んで派遣していた。
そのハデルでも魔界の術には一度は落ちてしまったが、ハデルはそれを気合いで解除できた。やはり、掛かりが浅くなっていたようだ。
ハデル:「そんなくだらない技で勝とうと思ってないよな?マリス!」
マリス:「そうね。じゃあ、同じ2億同士で殺し合ってみる?」
ハデル:「いいねえ。嫌いじゃない。
じゃあ、行くぜ。」
ハデルは自身に身体強化をかける。
そして、一瞬でマリスに近づき、顔面に拳をたたみ込む。
ハデルはバリバリの武闘派拳闘士。
體術で闘うタイプで武器はミスリルナックルである。彼の拳はあらゆる金属を粉砕する。
マリスは拳を当てられた瞬間に、同じ方向に飛んでダメージを軽減していた。
それからも、ハデルの怒涛の攻撃にマリスは避けるのが精一杯の様子だった。
一方、レキはその攻防を目で追うのがやっとの状態で、焦りを覚えていた。
これ、やばくないか?
ハデルってやつとんでもないぞ。
俺じゃ一発でやられる。
マリスもどうなるか分からない。
その間も、ハデルとマリスの戦闘は続き、マリスの切り裂き攻撃も当たっているが、どう見てもマリスのダメージの方が大きい。
ハデル:「いいねえ。
でも、俺の方が有利になって来たな!」
(確かに。このままじゃレキがまずいわね。
せめて相打ちに持っていかないと。)
マリス:「焼き尽くしなさい!マカイダークレッド!」
マリスの両手から、マグマのような赤黒い塊がハデルに向かって放たれた。
近距離での不意打ちにも関わらず、ハデルは間一髪のところでその攻撃も避けた。
そして、そのマグマの塊は地面に叩きつけられたと同時に爆発し、大きなクレーターを作り出していた。
ハデル:「今のは危なかったぜ。
そんな奥の手があるなんてな。やばいな。
だが、もうずいぶん楽しませてもらった。
そろそろ決着つけさせてもらうぜ!
フィジカルアップダブル!」
ハデルは身体強化の重ねがけをして、さらにパワーとスピードを上げた。
こうなるとマリスは防戦一方で、芯は外してはいるものの、ダメージは蓄積されていく。
すでに隠し球の尽きた状態では、勝負はついたも同然であった。
レキは焦っていた。
このままではマリスは殺られる。
次は俺だ。なぜこうなった……。
◇◇◇◇◇
聖なる樹海の中、リオたちは中央の世界樹を目指してゆっくり歩いていた。
リオ:「この辺りは魔物はいないのかなあ?」
リンドウ:「そうね。まったく遭遇しないわね。」
カゲロウ:「まあ、それの方がいいんとちゃう?」
リオ:「そうだね。レベルアップのためには良く無いけど、仕方ないよね。いないんだから。」
実は、この辺りに魔物がいないのではなく、リオたちが魔物を寄せ付けなくしているだけだった。
以前のレキたちとの戦闘の後、リオたちは話し合って、サンクチュアリが今後重要になるという見解の元、聖なる森の移動中は常にサンクチュアリを発動させて、スキルのレベルアップをさせようとしていた。
なお、サンクチュアリの内部は、リオ以外の仲間の方向感覚麻痺の緩和がされるという副産物もあって、みんなを聖域に包んで移動しているのだ。
さらに、ピュリフィケーションなどの光魔法も同様の理由でたまに無意味に発動させている。
これによって、リオたちの周囲には魔物が寄ってこなくなっているのであった。
こうして、リオたちはゆっくりではあるが、順調に世界樹に向かって歩を進めて行った。
まだまだ先は長く、当分時間はかかるのではあるのだが……。
◇◇◇◇◇