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こんばんは
クリスマス……夢がありますね
私には一切ありませんが。
今度はチャットノベルにも挑戦していきたいと考えてるので暖かく見守って頂けたら幸いです
何かありましたら削除させていただきます
キャラ崩壊口調が違う場合もあります
ただのほのぼのなので苦手な方はブラウザバックお願いします
雪降る夜、君といる幸せ
クリスマスイヴの夜、クロノアは馴染みのカフェで、湯気の立つコーヒーを手にしていた。粉雪が光り輝く街を白く染めるのを窓越しに眺めながら、ふと小さなため息をつく。
「…帰りにケーキ、買ってくるべきだったかな。」
そう呟きながら、指先でコーヒーカップをなぞる。外での打ち合わせを終え、今朝喧嘩したことを忘れ家で編集をしているであろうトラゾーの元に急いで家に帰ろうとしていたのに、良い香りのする珈琲豆の匂いに釣られてか喧嘩をしてしまった気まずさからか。足が勝手にここへ向かってしまった。
「トラゾー、もう編集終わったかな。怒ってないといいなぁ。」
しんしんと雪が降り積る中ぼそりと呟いた瞬間、カフェの扉が小さな店内にカランと音を立てて開いた。冷たい風が入り込み、ふと気配を感じ顔を上げたクロノアの目に、見慣れた顔が映る。
「やっぱりここだったか」
店内に入ってきたのは、トラゾーだった。コートに雪を纏いながら、少し息を切らせている。
「トラゾー、なんでここに?」
驚いたように眉を上げるクロノアに、トラゾーは優しく笑った。
「なんとなく、クロノアさんがここにいる気がして。」
「…俺の行動を見透かすなよ。」
クロノアは少し顔を赤らめながら視線をそらす。それを見て、トラゾーはくすっと笑いながらクロノアの向かいに座った。
「だって、クロノアさん、寒い日はいつもここに寄りたがるじゃないですか。」
「寄りたがるって…偶然だよ。」
ぶっきらぼうに言い返しながらも、クロノアはコートを脱いで椅子に座り直すトラゾーをちらりと見た。トラゾーの頬は雪の冷たさで赤く染まっていて、息もまだ白い。
「トラゾー、顔真っ赤じゃん。」
クロノアが小さな声で言うと、トラゾーは微笑んだまま首を横に振る。
「大丈夫です。でも、クロノアさんだって耳が真っ赤ですよ。」
「…そんなことない。」
クロノアはコーヒーカップを手に取りながら顔を逸らす。その仕草を見たトラゾーは楽しそうに笑った。
「クロノアさん、相変わらずですね。」
「うるさい……」
クロノアは少しぶっきらぼうに返すが、その口調にはどこか柔らかさが滲んでいる。
ふと、トラゾーがテーブルの上に手を置きながら言った。
「クロノアさん、今日はクリスマスイヴなんですよ。」
「…知ってるよ。」
クロノアは答えながら、少しだけ居心地悪そうに目を泳がせた。
「せっかくのクリスマスなのに、こんなところでコーヒー飲んでたら、俺が何もしてないみたいじゃないですか。」
トラゾーが少し冗談っぽく言うと、クロノアは目を細めて言い返す。
「何もしてないわけじゃないでしょ。トラゾーは家の掃除もしてくれたし、俺が打ち合わせでバタバタしてる間も色々やってくれてたし」
「…そういう話じゃないですよ。」
トラゾーは少し呆れたように笑いながら続けた。
「クロノアさんと一緒になのに特別なことできなかったから。」
その言葉に、クロノアは一瞬言葉を失う。視線をそらし、わざとぶっきらぼうに呟いた。
「別に特別なことなんか無くたって……」
トラゾーは微かに首をかしげて、クロノアをじっと見つめる。
「いらない…ですか?」
「確かにあったら嬉しいけど……別に、俺は、トラゾーが家にいてくれるだけで、十分……だよ。」
クロノアはそう言いながら、みるみる耳が赤くなる。
「クロノアさん…」
トラゾーはふわりと笑い、テーブルの向こうからそっと手を伸ばした。クロノアは驚いて目を見開くが、触れられた手の温かさに思わず頬を擦り寄せる。
「俺もクロノアさんと一緒にいられるだけで幸せですよ」
静かに紡がれた言葉が、胸の奥に響く。クロノアは恥ずかしさに顔を伏せながら、小さく呟いた。
「…そんな恥ずかしいこと今言わないでよ……」
「クロノアさんだって、さっき似たようなこと言ってたじゃないですか。」
トラゾーがクスクス笑いながら言うと、クロノアは不満そうに顔をそむけた。
「もう知らない。」
不機嫌そうにコーヒーを口にするクロノアを見てトラゾーはますます嬉しそうに笑う。
「じゃあ、そろそろ帰りましょうか。」
トラゾーが席を立ちながら言う。
「…やだ、帰らない」
駄々をこねるクロノアにトラゾーはふわりと微笑み、柔らかい声で答えた。
「ケーキ、冷蔵庫にありますよ。クロノアさんの好きなやつ。」
その言葉に、クロノアは少し驚いてこちらを向く。
「え、用意してたの?」
「はい、もちろん。クロノアさんの為ですから。」
「…じゃあ、俺もコーヒー淹れるから、一緒に食べよ。あと、その…今日はごめん。」
トラゾーは優しく頷き、静かに微笑んだ。その笑顔に胸の奥が少しだけ温かくなるのを感じながら、クロノアは外の粉雪に目をやった。
「さぁ、クロノアさん帰りましょ!」
クロノアの手を取りカフェを後にする。二人の背中に雪が静かに降り積もる中、カフェを出た二人は街のイルミネーションの中に消えていった。