テラーノベル
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私は少し興奮気味に瞳を輝かせて自分のちっぽけな武勇伝を語ると、
「それは凄いね、日織。父さんも母さんも、日織には手をかけすぎてしまったから……何も出来ない子にしてしまったんじゃないかと心配していたんだよ。だから、今日お前が自分一人で何から何まで初めてのことを成し遂げられたというのを聞いて、少し安心した。――それで、番号は何になったんだい?」
私はさっき、お母様に説明した通りのことをお父様にお話して、
「私が着信を残した後で、お父様の画面を見せていただいても構いませんか?」
恐る恐る聞いてみた。
「もちろんだよ」
お父様がにっこり笑ってくださるから、私は心底ホッとした。
お父様へ番号をお教えして、お母様へお渡しするメモもしたためてから……私は一度深呼吸をする。
「お父様、実は……お伺いしたいことがあります」
そうして気持ちを落ち着けてそう切り出すと、お父様も気持ち背筋を伸ばされた。
「なんだい?」
穏やかに聞いていらっしゃるお父様に
「お父様は健二さんへはいつも何時ごろに連絡をなさっておられましたか?」
聞きながらスマートフォンを持つ手に思わず力が入ってしまう。
ギュッと指先が白くなるぐらい強く握り締めていたら、お父様がそっとその手に触れていらした。
「そんなに構えることはないんじゃないかな? 日織がかけたいときにかけたんで大丈夫だと思うよ? 都合が悪ければその折には応答なさらないだけだよ。ほら、携帯には着信履歴が残るだろう? お手隙になられたらそれを見て折り返してくださるんじゃないか?」
そこまでおっしゃってから、「不在着信になった場合はショートメッセージでこの番号は日織だよ、と送っておけば必ず掛け直してくださると思うし。ショートメッセージの送り方はわかるね?」と頭を撫でてくださる。
「多分……大丈夫です」
私はお父様の言葉に、肩の力をふっと抜くことが出来た。
(緊張はするけれど、よく考えてみたら健二さんと私、対等の立場のはずだもの。何をそんなに萎縮する必要があるのでしょう!)
そう思い直す。
「お父様、ありがとうございます。早速おかけしてみようと思うのです!」
私はお父様に会釈をすると、
「失礼します!」
そう笑顔で言って、書斎を後にした。
お風呂まではまだ時間がある。
今から健二さんに電話をしてみよう、と思った。
***
電話をかけるという行為はどうしてこんなにも緊張するのでしょう。
自室に戻って、健二さんの連絡先をスマートフォン内の電話帳から呼び出すと、ベッドに腰掛けて深呼吸をする。
「健二さんのご都合の宜しい日に、一度お会い出来ませんか?」
馬鹿のひとつ覚えみたいにさっきから何度も何度も同じ言葉を繰り返している。
通話ボタンを押して、相手に通じてからでないと何度重ねたって意味のない行為なのに。
心臓がバクバク言って、スマートフォンを持つ手が小刻みに震えている。
何度目になるかわからないけれど、私はもう一度深呼吸をした。
……と、手の中のスマートフォンがいきなりブルッと震えて、思わず飛び上がってしまう。着信音はシャラーン!と一瞬だけで。
驚きの余り着信と同時にベッド上へ放り投げてしまったスマートフォンを恐る恐る取り上げると、画面に新着メッセージの到着を知らせる通知と一緒に、『修太郎さん』と出ていた。
「修太郎さんっ!」
はからず笑顔になって、急いで通知をタップすると、ショートメッセージの画面が開いた。
画面上に、吹き出しマークが出ていて、そのなかに
『いま、無事家に帰り着きました。
日織さん、色々大変だとは思いますが、頑張ってふたりで乗り越えて行きましょうね。
さっきお別れしたばかりだというのに、可愛い貴女のお顔が見たくてたまりません』
絵文字も何もない、文字だけのシンプルなメッセージ。それなのに、ちゃんと私をとろけさせる甘い言葉も書かれていた。全てが、修太郎さんらしく思えて、嬉しくて照れてしまう。
コメント
2件
修太郎さんのメッセージあまーい!
鷹槻れんさん、第38話を読ませていただきました!📚 日織さんが健二さんに電話をかける前の、あの緊張感がすごく伝わってきました。お父様の優しい対応が本当に温かくて、手に触れて「そんなに構えることはない」と諭すシーン、とても好きです。それでも震える手…すごくリアルでした。 そして修太郎さんからのメッセージ!「さっきお別れしたばかりだというのに、可愛い貴女のお顔が見たくてたまりません」って、絵文字ひとつないのに、こんなに甘く心に響くものなんですね。日織さんの照れている様子が目に浮かびました。 次は電話がつながるのか、ドキドキしながら続きを待っています!📱💕
#極道
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