注意事項は1話をご覧下さい。
〘 🍵seed 〙
*ガコンッ*
廊下側の方から何かが何かにぶつかる音がした。
その音が気になった俺は、態度悪く座っていた机から腰を上げ、教室のドアを開けて顔を覗かせる。
そこには_____
そんな出来事が起こる数十分前に遡る。
放課後、いつも通りに陽キャ五人組 を虐めて、この教室に来ていた。
今いる教室はどっかの空き教室。
ただ、ここの空き教室から見える景色が最高に綺麗で、見惚れるのだ。
だから大体俺は放課後。ここで過ごす。
🍵「……、なんで俺があの人達を…ッ」
虐めている最中も今も、罪悪感に覆われて重だるく呟いた一言。
息が詰まるように呼吸が段々としづらくなってくる。
引き受けたのは俺だ。だから責任は俺にある。今更、許してもらおうなんてとっくのとうに諦めている。
自分が選択した行動を、今。何より悔やんだ時間だった。
そんな気持ちを抱えながら、校門を向くように、1番後ろの机の上に座り、呆然と変わらないあの景色を見つめる。
青い色をした校門が夕日に照らされて、昼間。見ることが出来ない色へと、変化している。
校門の前に敷かれてる砂だって、黄土色じゃない。赤を交えた黄土色。
そんな風景を見ていると、何かをすべて……吐き出してしまいたくなる。
俺の体を支えていた手を前に持ってきて、胸に手を当ててみる。
1秒に15回程度の正しい心拍を同じように刻んでいる俺の心臓。
その心臓が、縮んだり……伸びたり。と同様の動きをする故に、俺は今、生きている。
だから、。なのか、、今の俺からしたら、その正常に刻んでいる鼓動が、どうしようもなく、嫌だった。嫌いだった。
この鼓動のせいで生きている。そんな暗い事を自分の頭の中でよぎらせながら、口を開いた。
🍵「………〜♪」
自分の好きな歌を自分の歌声で好きなように歌う。
誰にも束縛されずに、ただのありのままの自分を、さらけ出す。
窓にうっすらと反射される俺が今は、憎らしくもないし、綺麗だとは思わない。
けど………
🍵(楽しいっ!♪)
夕日に照らされ続けていた背中が、少し暑く感じ始める。
そんな事を俺は、何も気にしない。
一刻とすぎる時間。
しんと静まり返っている教室に響く俺の声。
そんな時に___
*ガコンッ*
そんな感じで音が聞こえ、教室のドアから顔を覗かせる。
そこには、あの5人の陽キャ達。
5人とも目に涙を浮かべ、小刻みに震えているのが、ここから見ても分かる。
🎼-🍵「ッ………」(睨
🍵「………」
睨みをきかせながら、こちらを厳重警戒している様子。
ただ涙を浮かべているような顔で睨まれても、あまり恐怖もない。
けど、殴るのも俺の精神が削られるだけ。
🍵「……さっさと帰れ。鬱陶しい」
📢「はッ、、!?」
🍵「なに、」
🎮「、……てっきり、、殴るかと……」
🍵「きょーは疲れてんの」
🍵「なに、それとも殴られたいわけ?w」
👑「そ、そんな事ないやんッ……!」
🍵「ならさっさと帰れ。」
🌸「…………帰ろみんな……。」
☂️「う、うん……、。」
後ろを振り返ると、速足でこの場を去った。そして、一度もこちらを向くことはなかった。
🍵「ぁ……やべっ、」
少し暑かったが為に、まくっていた袖。
そのまくった下にある腕にあるのは、傷や痣。
🍵「ぁ゙~……最悪、バレたかも……」
いつも計算高くて、失敗なんてろくにしない俺が、こんな失敗なんて慣れない。
何より、あいつらにこの傷がバレる方が厄介だ。
でもまぁ、廊下側には日が当たっていなくて、多少暗かったし………大丈夫だろう。
あいつらから見て、俺の傷が見えていないで欲しい。
そうであって欲しいし、そうでなければ本当にやばい、。
🍵(バレたら何されっかなぁ……(笑))
少し強ばる体。苦笑しながらも、確かに怖いと主張をする俺自身。
暖かな風が、慰めるようにふんわりと優しくすぎる。
さっきの思考がよぎれば、体がぶるっ、と震えては揺れ、冷たさが体の中に引っかかるように残る。
🍵「………もう帰ろう。」
早く帰って寝たかった。帰って寝てしまえば、少しでもこんな冷たさが減ると思ったから。
布団って暖かいし。
その時、彼らの間で何が行われているか。
俺は……知る余地もなかった___
玄関前に到着すると、家の鍵を取り出し、鍵口にその鍵をさす。
それを右に回すと、ガチャッ、と音を立てて鍵がロックされていたのが解除されるのが分かる。
ドアを押し開けて、家の中に入る。
ドアを閉めると、もう一度扉に鍵をかける。
靴を脱いで、その靴もちゃんと整頓してからリビングに繋がる廊下に足を踏み入れる。
いつも多少ぐらいある食欲も。今日は一切湧かない。
ただ何も食べないのはダメだろう。
だから、今日は飲用ゼリーだけにしよう。
そう思い冷蔵庫を開けて飲用ゼリーを手に取る。キャップをあけて口をくわえるところに唇を添え、1口食べる。
しかし、1口食べただけで、次が進まない。
もう満腹になったような感覚で、次食べてしまえば、戻してしまいそうな。そんな気持ち悪さがあった。
これ以上入らなさそうだし、近くにおいてある飲用ゼリーのキャップを取って、閉める。
しっかりと閉めると、冷蔵庫に戻してお風呂に入る準備をした。
お風呂に入る前、自分が学校から帰ってきて着替えていないのにようやく気づく。
と言っても、まだ10分経ってるか経っていないかぐらいだし、大丈夫だろう。そんな気持ちのまま、風呂に入り始めた。
暖かい風呂から出ると、冷たい空気が漂っているリビングはちょっと寒い。
寒い、と言ってもどうにもならないのだけどね。
学校の課題を済ませ、歯磨きもしてから寝室へと向かった。
寝室のドアを開け、中にあるスイッチを押すと電気がつく。何回か繰り返し、淡く小さいオレンジ色の光を放つ電気になる。
それをつけたまま、布団に入りこみ掛け布団を肩までかけて目を瞑った。
瞑っていれば段々と眠気が襲ってきて、夢の中へと俺は意識を手放した。
窓から自然の目覚まし時計が鳴ってくる。
綺麗な鳥の唄声が俺の耳に響いている。
俺は重くて、開けたくもない瞼を嫌々しながらもあげる。
眠たいようで眠たくない。そんな気持ちが頭の隅にほわほわと存在する。
🍵「………起きよ。」
そんなに乗り気でもないが、起きなければいけないので、無理矢理に体を起こして下へと向かった。
洗面台に立って顔を洗って少しでもある眠気を覚まそうとする。
半目ぐらいしか開いていなかった瞼が、いつも通りぐらいまでには開くようになっているのが、鏡に映っている。
洗面台からリビングに移動する。そこには、ソファーやテレビ諸々あり、台所も目に映る。
昔は、よく使っていた台所ではあったが、今では殆ど使っていない。
それが原因なのか、朝は本当に食欲が湧かない。
結局、何も口に入れずに俺は、机の傍に置いてあったスクールカバンだけ手に取ってそのまま学校へと向かった。
勿論。陰キャな俺にはマスクと眼鏡は大必須。
忘れないようにその2つをかけて、玄関の扉を引いて外へ出た。
うっすらと雲に隠されて輝く太陽が照らすが、今日はいつもより暑くはなかった。
そっちの方が有り難さも感じるけどね。
誰にも合わないように、よく周りを見渡しながら慎重にその歩みを進めていた。
🍵(今日も虐めないとなのかなぁ…、)
もういっその事話してしまおうか。
そんな考えが俺の思考をよぎって邪魔してくる。それがどうもうざったい。
自分一人で解決すればいい話だけど。そんな事、今の俺には到底無理。
だって陰キャだし。独りだし。協力してくれる友達なんて誰一人として居ないからね。
そんなこんな、学校の教室につくと、そこには誰も居らず今日は久しぶりに一番乗りだった。
ただ、すぐ後ろにも人が迫っていた。それが、あの5人組だった───
2話 バレた…?_𝐟𝐢𝐧𝐢𝐬𝐡
コメント
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見るの遅れた、 🍵 彡 なにか裏 がありそう… 💭 めっちゃ 好み 過ぎ ました 、 🫠🫠 楽しみ に 続き 待っときます 🙃
楽しそう!! 🍵くんはやりたくないけど なんでやってるのかな? 書いてあったらすみません💦 5人は何とかして気づいてくれ〜!
すち🍵推しです。続き楽しみです😆