─海上戦艦 「アトラス号」、その甲板にて。
水の大波が襲いかかる。
主とともに、筆先から放たれる水流が葵を包み込む。だが──
「あらやだ♡」
葵はクルリと一回転し、双剣を交差させた。
「幻覚に溺れなさい♡」
刹那、主の視界が歪む。
「!? ……な、なんだこれ……」
目の前に広がるのは、かつての学校の風景。廊下の奥から、かつてのいじめっ子たちがにじり寄ってくる。
「お前、また来てんの?」
「キモいんだよ、不登校のくせに」
「おい、何か言えよ!」
──ズキッ。胸の奥が痛む。
「くっ……これは幻覚……!」
主は震える手で筆を握りしめるが、心臓がバクバクと脈打ち、足がすくむ。
「ふふ♡ 甘いわねぇ」
幻の向こうで、葵が軽やかに微笑む。
「私はね、ただのショタコンじゃないの♡ 世界一の殺し屋なのよ?」
幻覚がさらに強まる。もう、自分が戦場にいるのか、学校にいるのか、わからなくなってきた。
(まずい……!)
だが、次の瞬間──
ズシャッ!
主の背後で甲板の一部が吹き飛ぶ。
「!?」
幻覚が一瞬にして解除された。
「ちょっと、邪魔しないでくれる?」
甲板の上に立っていたのは、見知らぬ屈強な戦士だった。
「チッ……お邪魔虫が入ってきちゃったわね♡」
葵は肩をすくめ、双剣をクルクルと回す。
「ま、いいわ。今日はこの辺で退散しようかしら♡」
そう言うや否や、葵の姿がスッと消える。
「!! 逃がすか!!」
主は絵筆を振るうが、葵はすでに姿をくらましていた。
──ショタコン、撤退。
「……ふぅ」
主は崩れるように膝をつく。
「アイツ……次は逃がさねぇぞ……!」
海風が、甲板を吹き抜ける。
コメント
3件
とりあえずトラちゃんと仲間に入れて
(っ'ヮ'c)ファァァァァァァァァァァ!!最高ですよぉおおお!!!!((((((…葵ちゃん居なくなっちゃった…🥺(続き楽しみです!!
毎度最高だよ(? とりあえずうちの子の登場が楽しみ((((うるさ(