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※不眠症桃さんと添い寝する攻めさん。
見慣れた扉を開き、まず目に入ってきたのはもう外は真っ暗だというのに開いたままのカーテン。
作業部屋の扉の下から溢れている光。
この様子だと彼はまた夢中で仕事をしているのだろう。
荷物を適当に置き、勝手にキッチンを借りてホットミルクを用意する。
台所には、いつくかの薬と、エナドリの空き缶。
呆れと心配でため息を吐く。
また彼は無理をして……、本人には自覚ないんだと思うけど。
なんて思いながら、彼の居るであろう作業部屋の扉を数回ノックして開いた。
案の定、彼はブルーライトを浴び黙々と作業をしていた。
普段はしていないメガネをして、こちらには気付いていない様子。
どちらも集中しているときの彼の癖だ。
彼の視界に入るところにホットミルクを置き、彼の名前を呼ぶ。
すると、彼は、ぉわ。と小さく零し、こちらに気が付いた。
「ぁ、そっか今日か、……」
どうやらこっちの顔を見て今日の用件を思い出したらしい彼。
ごめんごめん、と言ってパソコンを閉じた。
そして、メガネを外し、ホットミルクが入ったカップを持ってベッドに腰を掛ける。
「ん、」
微笑しながら、そう言ってベッドをぽんぽんと叩いた彼。
彼の隣に座れば、ギシッとベッドが音を立てた。
「薬は?飲んだ?」
ちびちびとホットミルクを飲み進める彼に訊くと、
「んー、今日は良いかな。添い寝してくれるんでしょ?」
悪戯っぽく笑い、そう返してきた。
添い寝。それが今日、彼の家に来た理由。
彼は数ヶ月前から不眠症らしく、病院からは睡眠薬が処方されているされている。
しかし、薬だけでは心配だというメンバー総意の考えから数日間隔で彼の添い寝をすることになった。
最初こそ、彼は遠慮していたが想像以上に寝付きが良かったのか、添い寝することに抵抗が無くなっていた。
そんなに無防備で大丈夫か、と心配になるが、まぁ彼が元気そうならいいか。
彼がサイドテーブルにカップを置いたところで、一緒になってベッドに寝転ぶ。
暫く、彼の瞳を見つめていると、突然彼が抱き着いてきた。
「こっちのが寝付きいいから。たまにはいいでしょ?」
再び悪戯っぽく笑った彼。
抱きまくら状態となったが、まぁ悪くはないし。
電気を消して、部屋を完全に暗くした。
目を閉じても中々寝付けないのか、時偶、裾を小さく引っ張ってくる彼。
安心させるように頭を軽く撫でると、くすぐったそうに身を捩った。
数分経った頃、可愛らしい寝息が聞こえてきた。
最短記録。日に日に寝付きが良くなっている彼に嬉しさと、もう添い寝できなくなるのかなと寂しさが少し。
不眠症は治って欲しいとは思うけど。
もうちょっとだけ夢の世界に居させて。
そんな小さな期待を込めて、額にキスを落とした。
「おやすみ、__」