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両性類

4 - 第4話 久々に

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2022年07月07日

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両性類

Yoongiside

的外れなことを言いながらも、俺のことを心配してくれたヒョンと中央階段で別れる。

そろそろ鳴ってもいいはずなのに、黙ったままのリマインダーを確認する。おい、今日の1時限目は何か教えろ。




あーあ…やってしまった。そうだ、昨日1時限目休むことにしたんだ。こんなに意味もなく早起きして…

2時限目まではだいぶ時間が余る。

さて、このロスタイムをどうしてくれるか。









_____

余った時間を潰そうと思った俺の足は、何故か迷うことなく、使われていない第一音楽室へ向かっていた。

なんとなくここに来たくなったのだ。


この辺の教室を使っていた部は皆、最近できた棟の真新しい教室へ移ってしまった。

閑散とした廊下を進む。薄暗いけれど、掃除が行き届いていてまだ綺麗だ。

4階の東階段から続く廊下を歩く。突き当たりを曲がり、右手の2つ目の部屋が第一音楽室だ。


懐かしい景色。誰も使っていなかったのだろう、何も変わっていない。

1年の時は、サークルに所属していなかったから、よくここに遊びに来たものだ。

つかつかと静か教室内を歩き、入口から見て左側に置いてある立派なグランドピアノに近づく。

少しホコリを被っているが、艶やかで威厳を感じる。しばらくピアノを見つめていると、無性に弾きたくなってきて、用意を始めた。


ホコリを拭いて、真の姿を改めて見る。

美しい。俺と多くの時間を過ごしたこのピアノに、学校の物なのに勝手に愛着が湧く。弦を見て、音が鳴るか確認してから、椅子に座った。


ゾクゾクと鳥肌がたち、音を奏でることの感動を思い出した。





_____

ふーっと息を吐き、鍵盤から手を離した。

気持ちが良かった。自分の気持ちを全て音にぶつけて表すのが。作曲は続けていたが、楽器に触れるのは久しぶりだった。

少し荒々しがったが、まぁいい演奏だっただろう、と満足気に立ち上がる。

ふと、窓から向かいの棟の教室で講義が行われているのが見えた。



…あれ、ヒョンじゃないか…?

視力には自信がある。もう一度目を凝らしてよーく見てみる。黒板を見つめ、顔を下ろしてなにか書く。忙しなくそれを続ける美しい横顔は、やはりヒョンだった。

何故か朝のあの考えが思い起こされた。この人に言ったら…ってやつ。今の俺が女になったらどんな感じなのだろうか。



あ、


久々に女になってみるか。

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