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頂上戦争後、クロコダイルはダズと行動を共にしていた。
しかし今日の買い出しはクロコダイル1人でダズは留守番らしい。
食料品を買いに店に足を運んだクロコダイルは、何mか先に見覚えのある後ろ姿を見つけた。
「(ん、あれは…スモーカーくん?)」
そう、今じゃ誰もが知っている海軍中将、”白猟のスモーカー”だった。
七武海制度が撤廃された今、クロコダイルが彼に会うのは危険極まりないだろう。
だが、七武海時代にクロコダイルはスモーカーのことを散々いじっていたのだ。
その癖が身に染み付いているのか、接触の危険性云々を考える前にクロコダイルは
スモーカーに近づいていってしまった。
ダズも居ない中、クロコダイルを行進を止める者は誰一人居ないのだ。
「やあ、スモーカーくん」
「!?クロコダイル…!!」
スモーカーは肝を抜かれたように驚いた。
今じゃ完全に敵となった正真正銘海賊のクロコダイルが海軍である自分にわざわざ
近づいてきたのだ。
「あ」
スモーカーが驚いてから、自分が何をしてしまったのか理解したクロコダイルは
少々焦った。
自分ならここを切り抜けられるだろうが、スモーカーが相手だと遊んでしまう可能性
を捨てきれなかった。
「クロコダイル…」
「あぁ?」
スモーカーは少し溜めて言い放った。
「逮捕だ」
その瞬間クロコダイルは下半身を砂にして超スピードで店の外に出た。
スモーカーも煙になってクロコダイルの後を追った。
「クハッ!捕まえてみたまえ!追いつけるものならね!」
クロコダイルは悪い癖が出てしまったと自分の性格を軽く批難した。
「待ちやがれ!クソっ!」
弄ばれていると思ったスモーカーは負けじとクロコダイルに追いつこうと頑張る。
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「ハァ、ハァ…あー、疲れたァ」
「フー、フー、クロコダイルゥ…やっと捕まえたぞ…」
どうやらクロコダイルは捕まってしまったらしい。
「ハァー…ハハ、君と”鬼ごっこ”をしてもう歳なんだと実感できたよ」
「あ”ァ?今のが鬼ごっこだと?!」
「ああ、もしかして本気だったかね?私としては遊びでしかなったということだよ」
「チッ、一々ムカつく野郎だぜ、これだから海賊は…」
スモーカーはまた弄ばれたとご立腹だ。
クロコダイルはそんなスモーカーにクハハハと笑いを飛ばした。
しかしクロコダイルは相当疲れた様子。「遊び」と言ったのは相手より上に立ちたいという
感情から来たモノだった。
しばらくしてそれは鈍感なスモーカーにも伝わったみたいだった。
でもスモーカーはそれを指摘しなかった。
クロコダイルがプライド高い人間だということを知っていたからだ。
海賊とはいえプライドを傷つけるのは可哀想だと思ったのだろう。
「ああ、そうだ」
「?」
「今回の鬼ごっこは私の負けだね」
「…あー、俺は本気でやったがな」
「クハハッ、まぁでも私が遊びと言ったら遊びなんだよ」
「遊び…つまりゲーム、ゲームに負けたら何があると思う?」
「タイホ」
「罰ゲームだ」
「はぁ…」
スモーカーはそんなものに拘るのかと呆れた溜息を吐いた。
「まぁそんな嫌な反応をするな」
「とっておきの罰ゲームを考えたんだ」
「何だ?」
気になった訳じゃないが反射的に聞いてしまった。
「フフ…私が君に何でもしてあげるというのはどうかね?」
「タイホ」
「それ以外で」
流石にそんなつまらないことはしないと、「逮捕」という願いは即座に否定した。
「何でもっていったじゃねぇか」
当然スモーカーは怒った。
「まぁまぁ、それ以外なら本当に何でもすると約束するよ」
それをなだめるようにクロコダイルは言う。
「ホントに何でもするのか?」
「ああ、私がしてあげられる範囲なら」
スモーカーは迷った。
これを打ち明けるべきなのか。
スモーカーは、クロコダイルにひっそりと思いを寄せていたのだ。
いつも誰かを怖がらせたりしてしまう自分に対等に接してくれていたのは
クロコダイルだけだったのだ。
傍から見たら下に見られているように見えるし、スモーカーもそう感じることもある。
でも、それは、本当に下に見ている者のそれではなかった。
スモーカーはそれを感じ取っていた。
普段は疎いスモーカーだが、そういうのにはたまに鋭い時があるのだ。
クロコダイルは考え込むスモーカーを静かに見つめていた。
スモーカーは打ち明けてどうするのか、もしかしたらこの感覚が勘違いだったらどうするのか、
男が男を好きというのが気持ちが悪いと思われたらどうするのか考えていた。
それで離れていってしまったってはどうするのかと、悩んでいた。
…クロコダイルは心を読むかのようにスモーカーのその感情を感じ取っていた。
ずっと前から分かっていたのだ。自分に思いを寄せているのことを。
また、自分もそうであることを。
だからこそ、クロコダイルはスモーカーの回答を待っていた。
不安を越えて発する言葉が何なのかを。
スモーカーは何十分と考えた。
その間クロコダイルはスモーカーから目を離さなかった。
期待していたのだ。
スモーカーは悩み考えた末口を開いた。
「俺と…そ、の…し、シてくれないか」
クロコダイルはぎこちなく台詞を言うスモーカーに笑いそうになった。
それは馬鹿にした笑いではなく普段からのギャップから来ていた。
「んふ…えっと『シてくれ』と言うのは具体的ナニかな?」
分かってる癖にと涙目になりながらもスモーカーはしっかり答えた。
「うぅ、あー、せ、せ、せっ…せっく、す…」
クロコダイルは満足気に心の中で「よく出来ました」と笑顔で言った。
「…分かった。じゃあ、そこのホテルにでも入ろうか」
演技派のクロコダイルは冷静を装いそう言った。