ギィィィィン!!!!
鋭い斬撃音が夜の甲板に響き渡る。
バルドの巨体が、まるで時間が止まったかのように静止した。
「……ッ!?」
葵を狙って飛びかかろうとしたバルドの動きが、突然止まった。
まるで見えない壁にぶつかったかのように。
そして――
バルドの両腕が宙を舞った。
「……っ、が、あ……?」
ドサッ!ドサッ!
地面に転がる巨大な腕。
バルドは信じられないという顔で、残った腕の付け根を見つめた。
そこには血の噴水のように吹き出す断面があるだけ。
その目の前に――
少女が立っていた。
細身の身体、無駄のない動き、そして純白の日本刀。
「――遅れてごめんねぇ。世界No.2の殺し屋、リリーちゃん参上♪」
彼女は微笑みながら、刀を軽く振り、血を払った。
バルドは震えながら後退る。
「……ふ、ふざけるな……こんな……こんなガキに……!!」
バルドの目が血走る。
自分より遥かに小さい相手に、一瞬で両腕を奪われたという現実を、脳が受け入れられない。
リリーはクスクス笑った。
「ねえバルドさん……あなた、どこで生まれたんだっけ?」
「……何だと?」
「船の上でしょ?」
リリーはニヤリと笑い、刀を構え直した。
「じゃあさ――沈めちゃってもいいよね?」
シュンッ!!!!
――その瞬間。
バルドの首が飛んだ。
「……え?」
葵は一瞬、何が起こったか分からなかった。
バルドの巨体が、ゆっくりと膝をつき――
そして、ドサリと甲板に沈んだ。
リリーは刀をしまい、優雅に髪をかき上げた。
「世界No.2に、盾なんか通じないのよ?」
その瞳には、一切の情がなかった。
コメント
2件
うちの子来たぁぁぁぁ!!!()続き楽しみすぎる!!
バルドさぁぁぁん!!!(泣)((え首はやばくね?(えぇどうなるんだろ…続き楽しみです、、!