君が大切だった
僕は、君だけでよかった
銃を持つ手は震えていて、 狙いが定まっていない。
僕はどうして、と泣く君が愛おしい。
ジョンハンは手を伸ばて、 涙を拭うように頬を撫でた。
「何かから解放された気がしたんだ、
きっと俺は自由になれた」
ジョンハンの言葉に彼は俯く。
「……理解が出来ない」
君の言葉に安堵する。
理解してくれないて良かった、と。
「理解しなくていい」
理解したら、きっと君は離れていく
「そしたらまた一人になる……それが怖い」
こんなことをしておいて、情けないだろ?
とジョンハンは、自分を卑下するように笑う。
「……一人に、なりたくない?」
震える手をジョンハンに重ねた。
眉をひそめながらも、彼に目を合わせようとしてくれる。
ジョンハンの表情が一瞬だけ崩れ、彼は視線を逸らす。
「誰もボクを受け入れてくれなかった、
僕を僕として見てくれない。」
「でも、君は違ったんだ……
君だけが僕をちゃんと見てくれた。」
「だから、君だけは殺せなかった」
「だから、俺は……生きて……」
閉じない口を手で隠して、 一歩一歩と後ろへ下がる。
「僕は、君に依存してる。
君なしでは、生きていけない……」
ジョンハンも一歩、一歩と 追いかけるように歩み出す。
「……来るな」
銃口を自分に向ける。
ジョンハンは彼が何をしようとしているのか、理解した。
顔から血の気が引いた。彼の手首を掴む
「なに考えてんだ、やめろ……」
「……ジョンハン、君は今まで大勢の命を奪った。
だから罰を受けないといけない、 でも……
俺にはお前を殺すことは出来ない」
「だから、こうするしかない……
これが、君への罰だよ。ジョンハン」
引き金に手をかける、汗が首筋を流れる。
死ぬのは怖い、 けど君がこれ以上人を傷つけるのは見たくない。
「……ちゃんと、生きて」
弾が心臓を貫く、血が溢れ出して 身体が床へと転がる。
一瞬の出来事にジョンハンは凍りついたように立ち尽くし 思考を停止する。
ただ転がった彼を見るしか出来ない。
「なんで……なんで、」
彼の血がついた手を見て、 全てが壊れたことを知った。