テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
373
247
ぽんぱ
31
今度は腐向けです
蘭菊
国名注意
ディープキスしてます
「阿蘭陀さんは、おいくつなのですか」
沈黙が部屋に響く。まっすぐ何も映さぬ大きな黒の瞳が、こちらを見つめてくる。
そんな視線に蘭は目線を外してしまうが、問いかけられたことに対しての答えを考えていた。色々なことがありすぎてか、ぐるぐると昔のことを思い出していくと無意識に眉間に皺を軽く寄せていたほど、怒涛のこれまでだったのかもしれない。
「……さぁ、どうやろ。独立宣言を出したんが、ほんまに近くやからの」
比較にもならないほど、彼との差は膨大だが。目の前の爺が本当に言葉通り爺なことを認識できないほど、彼の顔は良い意味でおかしい。その問いかけに対しての返事に、菊は深く考えるように顎にその綺麗な細い指を置いた。少しの沈黙が走った後、彼の小さな綺麗な唇から言葉が発せられる。
「…ほんとうに、最近ですね。」
ふふ、と小さな息だけの優しい、そしてどこか甘さが混ざり合ったような笑いが耳を貫いた。彼の瞳の奥には愉快さと言った感情が混ざっており、思わずじとっと彼を見つめる。
「なんね」
「いえ…なんというか、私から見てみれば、貴方はまだまだ子供なんだな、と」
言葉の通りなはずなのに、自分の中で苛立ちが湧き出てくるのは気のせいだろうか。
否、気のせいではない。以前の彼を自分は知りもしないが、圧倒的に自分に対しての対応はまるで手の掛かる孫のようだと言葉の節々から感じられる。よく言えば可愛がられている、悪く言えば…舐められている。
ふうっと紫煙を燻らせると、紫煙が沈黙の走る静かな部屋の中へと溶けていく。
やっとこさ自分の前の煙が消えかけた時、彼は未だその綺麗な黒を細め、面白そうにこちらを見据えていた。はぁ、と小さな溜息を一つこぼすと、先程の煙の甘ったるい味が口に広がった。
「……おえ、なにが子供やざ」
「そーやってすぐにぶすくれるところも、実に子供ですね」
そろそろ、煽りに聞こえてくるが。…爺の考えとることはようわからない。
「……こっち来ねま」
「はい?」
こて、と首を傾げ真っ黒なサラサラとした髪の毛が形を崩す、が彼は正座を崩し、ゆっくりとその細く綺麗な体をこちらに向けて寄ってくる。
そうして、差が縮まった瞬間蘭はぐっと彼の細く白い手首を掴み、こちら側に強く引き寄せた。
「わ、」
思わず小さく目を丸くして、体勢を崩してしまった。体に感じる重みと温かさによって人間ではないはずの自分達に人間だ、と告げているようでなんだかとても気色が悪い。目の前の彼は、そんなの気にしていないようだが。
下からその大きな濁りのない黒曜石に見つめられ、自分で行った行動に少し後々後悔するほど彼の瞳は黒く何も映さなかった。
「…阿蘭陀、さん?」
不思議そうに目をぱちぱちとしていた。あまり日の光が入らないように設計されているこの部屋には互いの顔と、互いの息遣いだけが響き渡り、他には何も入ってこない。
「……ほやの、俺も頭おかしなってるさけ」
「勘弁、しての」
ゆっくりと小さな彼の薄い赤みの唇へと、自身の唇を近づける。右手では彼の手首を掴み、空いた片手では細い彼の腰を掴む。この時点で、逃げようと思えば逃れたはずだ。逃げない、ということは…まぁ、そういうことだ。
唇は思った以上に柔らかく、自身のカサついた唇には刺激が強い。唇からは暖かな体温がこちらに映ってきて、なんだか逆上せてしまいそうだった。
触れるだけのキスを一つ。そうして拒まれないことを確認し、もう一度合わせる。今度は、熱く深く。
「ん、…」
ぐぐもった小さな低い声が鼓膜を響かせる。未だ閉ざされている唇にぺろ、と開けろ、というように舌を這わせる。ぴくっ、と体を揺らした後おずおずと唇を開けた。そんな彼に先程の余裕はどこへいったのか、と問いかけたいが顔を真っ赤にして怒られるのがオチだろう。実に愛おしい。
小さな口に捩じ込むように舌を入れる。くちゅ、と小さな水音が部屋に鳴り響いた。まずは優しく、小さな菊の舌を絡めとる。口から漏れ出る吐息ごと貪る。ぎゅっと自分の服が皺になる程、この強すぎるキスに耐えようと服を掴んだ。
「っん、…ふっぅ…っ、ん、…」
自分と彼とでは口の大きさが違う。彼の小さな口では耐えきれなくなり、暖かな吐息とともに唇からは唾液が唇や口周りを汚していた。
蘭の口内に残っていた甘い味が菊の口内へ、やがて舌へ、味を感じるようになり脳へと広がっていった。
必死に自分のキスに耐えている様子に、蘭は今までに感じたことのない心の奥に加虐心が湧き出てくるのを感じる。
何も映さない瞳は今自分の手によって蕩けており、涙によって潤んでいた。
ようやく口を離すと、口と口で白い糸がつうっと繋がって、切れる。目の前の彼は顔を真っ赤にして荒い息で肩を揺らしていた。
「…どこが子供、やって?」
「っうるさい…っ」
鼻で軽く笑い、親指で彼の目尻にある涙を掬ってやる。そのときに触れた頬は見た通りとても熱く、ここにいると感じることができた。
「おめはそうやっとる方がええ。ようけ実感したわ」
「……っ私は、上に立ちたかったのに」
「無理やざ。あきらめ」
「うぅ…阿蘭陀さんのばか」
衣擦れの音がした後、体に感じていた重さや温度が消え、彼の目線が時計へとうつる、と小さく名残惜しそうに言葉を発した。
「あの…そろそろ、お帰りの時間ですよね」
「…ほやの、また来させてもらうわ」
畳から腰を上げ、立ち上がると彼も同じように立ち上がる。感じる身長差も、また愛おしく感じてしまうほど、自分はおかしくなっているのだろうか。
くるっと障子の方へと向かおうとすると、くいっと小さな優しい力で服を引っ張ってくるのを感じた。思わずそちらを向くと、彼は身長差で必然的にこちらを見上げる形で見つめていた。
「また、来てくださいね」
「……おう、ほんならの」
ぱたん、と襖の閉じた音だけが部屋に響いて消えていった。
コメント
1件
はわわっ、memeさん新作きちゃった!!😳💕 蘭菊、国名もの+年齢差+主従っぽい雰囲気でめっちゃ好みだ…! 「子供や」って煽られてムッとしてキスで黙らせるところ、阿蘭陀さん強引すぎて最高〜〜👏 逆に「上に立ちたかったのに…」って拗ねる菊ちゃんも可愛すぎん?w キスシーンの描写が生々しくて、吐息とか唾液の感じまで伝わってきてドキドキした…(照) 次回も気になる!続き待ってます!!🌸✨