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「ハルリット、どこに行ったんだろう?」
プリンとの挨拶を済ませ、先日恋人になったばかりのハルリットを捜す。本当は連れて行きたかったけど、主との時間を過ごして欲しいとやんわり断られ、メロルド達と出かけてしまった。
「恋人ですって紹介したかったのにな〜」
プリンならきっと、喜んで祝福してくれる。”友達の恋人も僕の友達だね”って言いそう。今回は口頭での紹介になっちゃったけど、いつか正式に伝えたい。顔を真っ赤にさせるハルリットも見たいしね。
「あれ、ピアノの音だ」
暖かく照らされる木漏れ日のような音が聞こえる。そう遠くないみたいだから、少しだけ聞いてみよう。
「あ、ハルリット……!」
一歩、また一歩と近づいていくと、見覚えのある帽子が見える。雪のように白い髪がサラサラと揺れる。ポロンとピアノを弾く姿は、普段とはまた違った魅力があるのを感じる。どうやら聴こえた曲はもう終わってしまったみたいで、次の曲に入るらしい。
「わぁ……!」
耽美な横顔と、長く細い指が軽やかに鍵盤を叩く姿に目を奪われる。もう数曲弾き終わった後なのだろう。これが最後の曲だと言うように、音を立てずに立ち上がり、優雅に一礼する。まるでコンサートに参加したような気持ちにさせてくれるハルリットの演奏は、暖かい温もりをみんなに届けている。
「ハルリット、こんなところに居たんだね」
「プルース!素敵なピアノがあったから、つい弾いてみたくなったんだ」
周りにいた人々がハルリットに感想を伝えながら去っていくのを見届ける。ハルリットが褒められると、俺まで嬉しくなるから、こういう時間が好きだ。
「そのピアノも、ハルリットに弾いてもらえて嬉しいと思うよ」
「あはは、そうだと良いな」
照れたように笑うハルリットは、誰よりも綺麗で愛おしい。恋人になっても2人きりで過ごせる時間は取れなかったから、こうして時間が出来たのは嬉しい。メロルド達が気を利かせてくれたのだろう。自由行動だって言ってたっけ。
「プリン様の国って、本当に色んなところに楽器があるんだな」
「うん。サニーやリミチャも、色んな楽器に挑戦してたよ。メロルドは耳を塞いでたけどね」
他愛のない話をしていく。胸に暖かい気持ちが込み上げてくる。街を歩くハルリットをチラリとみる。いつも太陽みたいな存在でみんなを照らしてるけど、俺はそんなハルリットを照らしたい。意外と心が脆くて、成長途中な彼を支えたい。
「プルース、行こうか!」
「……うん」
ハルリットの笑顔は、俺の心を救ってくれるから。