書きたくなったので初太中です!
最後まで読んでください!!作者が必死に出そうとした良さを味わって行ってやってほしいです!!
最後まで読んで、お話が完結します。よろしくお願いします。
最後にちゃんと解説があります!!!!
《注意事項》
・花吐き病パロです
・決して明るいとは言えません
・嘔吐表現(花弁)があります
以上が平気な方のみ、お進みください。
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「……っぅ”、げぇ……ッ」
白い花弁を吐き出した。
咽頭から口に流れ出す胃液が気持ち悪くて、その後も何度か嘔吐を繰り返して、漸くその花弁が目に入る。
「………は、はは」
未だ治らないこの病に、自分の体ごと根本を殴りたくなる衝動を抑えてぐっと花弁を握り潰す。
私を皮肉るかのように吐き出された白い花弁は、今日も太陽に照らされて洗面台の中で煌々と輝いていた。
花吐き病―――正式名称、嘔吐中枢花被性疾患。
片想いを拗らせ過ぎると口から花を吐き出す病の総称。
昔は侮蔑されていたこの病だが、今ではもうすっかり日常と化している。
流行病と同じだ。厄災だの理に適わぬだの何だの言われようが、人々が慣れてしまえばそれはもう“当たり前”へと変化する。
花吐き病は、それの良い例だろう。
―――まあ、私は全くの例外であったが。
花吐き病、なんて病を私は心底嫌っていた。
花弁を吐くだなんて非現実的にも程がある。
体内でどう発生しているかも判らなければ、完治する―――即ち、両想いになるという不明瞭な定義を達成することで白銀の百合を吐き出すなんて、本当に非論理的で嫌いだった。
きっとここまで論理を追い求める癖は森さんのが移っている。なんと忌々しいことか。
然し、今回の件で初めて私は花吐き病に対して前向きにな考え方に変更せざるを得なくなった。
初めて吐いた時はあまりの気持ち悪さに首を掻っ切ろうとした。
“花吐き病”という病に対する嫌悪感と、自身の内側が露見してしまうという恐怖から迷わず死を選んだ。今思うと我ながら愚かであったし、柄にもなかったなと思う。それ程までに気が動転していた。
だが、そこから紆余曲折あって、私は好きな人と両想いになることが出来たのだ。
相手は、元相棒の中原中也。
最初、そんな自覚なんか全く以て無かった為、乱歩さんに指摘されて吐くほど驚いた。実際花を吐いた。
でも、人間の脳の作りというものは至って単純で。
1度意識してしまえばもうおしまいで、何をするにも脳内にちらついて離れず、頭の中はピンク色の薔薇と甘言を囁く自分で溢れかえって、異常に中也が可愛く見えて、……目を潰そうとしたら与謝野女医に怒られた。
だからそれが如何〜〜しても嫌で鬱陶しかったから!!仕方なく!!!!中也に告白をしたのだ。花吐き病を治すために!!私の平穏な自殺ライフのために!!!!
決して下心など無く!!!!!!
結果。―――少し間が空いてから、いつものように砕けた声で「いいぜ」だなんて中也は言った。
心が躍るような心地だった。
心臓がどくんどくんと音を立てて、思わず胸元を強く握ってしまうくらいに強い正体不明の激情が体を駆け巡り、急に体温が上がって暑くなって。
その身体異常を、“嬉しい”であると認識したと同時に、ちゃんと自分が中也のことを好きであると認めざるを得ず。
矜持に邪魔をされながらも、私たちは無事付き合った。
それが1週間前の話だ。
だからもう花吐き病も完治していて、あの変な花弁を吐き出す事態に頭を悩まされることもなく。好きな人と2人、幸せに過ごす。
―――筈だった。
それが如何いう訳か、私は今も花を吐いている。
花びらを見た瞬間、頭の中で告白した時のことやそれに至るまでに行ったこと全てが駆け巡って。
―――乱歩さんや森さん、色んな人に頼り切ってきたいたな
―――絶対に成功する、だなんて声をかけてくれて
―――緊張していた私とは裏腹に、あの時の中也は妙に落ち着いていて
―――そういえば、あの日の中也の目が嫌に優しかった気がする
―――あの日、あの時、私が好きだと伝えた時。彼は、中也は……
「………どんな顔を、していたのかな」
どんな顔で、どんな態度で、どんな思いで、「いいぜ」だなんて答えたんだろう。
どれだけ求めても思案しても、正解は誰も答えてくれない。
この問いに答えてられる唯一の人は、絶対に嬉しかったって言うんだ。
それを聞いた私がどう思うかだなんて考えずに、ただひたすらに「私が喜ぶだろうから」その回答をするんだ。
なんて皮肉。
なんて愚直。
なんて拙くて、幼く、愚かなことだろう。
この事実に気付いて、ぐちゃぐちゃで汚い心持ちの私をせりあげる吐き気が襲う。
衝動に抗わずそのまま食道を通る汚物を吐き出す。
白い、どこまでも白い、純白の花弁。
私の記憶が正しければ、これは。
「………しろい、ゼラニウム、か……」
花言葉も覚えている自身の優秀な脳を恨めしく思いつつ、今この花弁を吐き出すという自分自身に吐き気がした。
気持ちが悪くて仕方がなかった。
そんな私とは裏腹に、携帯からは軽快な通知音が鳴る。
胡乱な目で画面を見ると、そこには「中也」の二文字。
それを見て私は、祈るように携帯を両手で持って。
その上に、紫色の花弁を吐いて。
被さるように倒れ込んで、静かに嗚咽を零した。
白いゼラニウムの花言葉『貴方の愛は信じられない』
紫色の風信子の花言葉『悲哀』『ごめんなさい』
***
解説。
自分で考えたい、自分の解釈で楽しみたい というひとはスキップしてください。
付き合ったのに花弁を吐く=まだ花吐き病が完治していない。
太宰は中也が好きであると自覚したので、ちゃんと太宰は中也を好き。
つまり、中也が太宰を好きではないことが確定する。
過去を振り返ると、明らかに周囲が何かして恋が実るようになっている、というのが感じ取れる。
それに気付かずに無邪気に喜んでいた自分への後ろめたさや恥ずかしさと、中也に強要紛いのことをしてしまったという酷い後悔から、最後の紫色のヒヤシンスと涙です。
誰も悪くない。恋を叶えようとした周りも、傷つけないように応えた中也も、喜んだ太宰も悪くない。
けれど、その根底にあるのは『太宰のため』というこころ。
それが、結果的に太宰を苦しめるという形になってしまった。
ということでした。
今回の小説を書く上でのコンセプトは、『地獄への道は善意で舗装されている』です。
誰も悪くない、悪なんて存在しないからこその行き場のない感情を示せたらいいなと思いました。
以上です!!!
花吐き病はやっぱりシリアスが似合いますね。
読んでくださり、有難う御座いました。
もしよろしければ感想お願い致します。
コメント
1件
誤字りました…すみませんッッ とにかく文章が素敵過ぎて感動しました!!🥲︎🥲︎ これは2度読み案件ですね、、((