閲覧ありがとうございます!
🌷ちゃんの小説、すごく良かったですね……………………
まだ読んでない方はぜひ読んで欲しいです!!!!!noteで読めます!!!!!
・
タイトル初期の【第1話】から変わっていませんが、続きはありません!!!思いつかなかっただけです!!!!!
・
⚔️→(→→→→)←(友情)🦊です
⚔️…「」
🦊…『』
※付き合ってないです
※あんまり幸せじゃないかも
「あ」口から飛び出すより先にiPhoneの充電が切れた。最近はライバー用スマホも充電が足りない状態の時が多くて、配信中に充電しながらや、それを気怠く感じてしまった時はそのまま充電せず使ってしまうことがよくあったし、他のスマホはないように、と気をつけていたつもりではあったが。
小さくため息をついて、目に見える範囲内で充電器を探す。___ない。
ベッドに沈み込んでいた体をゆっくりと起こして、今度は体で充電器を探した。
「え、ないじゃん」
この部屋は一体どうなってるんだ。人の家にお邪魔させてもらっている身ではあるが、部屋に充電器がないとは。しかも自室。
仕方なく扉を開けて、下にいるであろう家主に聞くことにした。
軽い足音が木材の階段に響く。
引き戸をすこしだけ乱暴にして開いた。
_鈍い音を立てて、明るい橙色の頭と僕の頭がぶつかった。
「いった〜〜〜……!!!」
『ご、ごめんな刀也さん…!!大丈夫か!?』
「あぁ、全然…大丈夫、です。まさか目の前にいるとは思ってなかったんで、ちょっと驚いただけ…それに、下向いてて見てなかった僕が悪いし」
これは嘘、普通に痛い。僕の頭は別に自慢できるほど石頭って訳じゃないから、頭痛とはまた違うズキズキとした痛みが僕を襲う。
『…うそ、痛いでしょ?…ほら、こっちこっち!』
自然に手を引いて、清潔そうな橙色のソファへと僕を誘う。きみだってぶつかったんだから痛いはずなのに、自分より他人を優先して_ダメだ、また好きになる。
ぽすん、と気の抜けるような優しい音を立てて、2人やわらかなそれに腰を落ち着けた。
きみの大きなあたたかい手が僕の頭に触れて、小さい子をあやす様にさらさらと撫でてくる。
なんだか気恥ずかしくて、これは何の羞恥プレイだ、その言葉の代わりにできる限り優しく手を除けた。
「〜〜っ…も、もう!…僕は幼稚園児じゃないんですから…これぐらい、全然平気ですし…」
『平気って!も〜!やっぱ痛いんじゃないか!』
「あ、いや、…それは…」
いつもは優しいきみの瞳に小さな怒りと心配が混じるのを見て、安心させるためにある程度用意していた言葉が詰まってしどろもどろになる。
不安そうに揺らぐこの穢れを知らないような瞳に、きっと勝てる人はいないだろう。
『…あのねえ、オレは心配なんすよ?刀也さんってすぐ体壊すし…風邪こじらせるし…今の一撃で頭蓋骨割れちゃうんじゃないかと…』
ぶつかっただけの衝撃で頭蓋骨が割れるなんて、骨が柔らかすぎるか相手の骨が硬すぎるかしないと起こるはずがない。ちょっとだけ的外れで、過保護な心配にお前は僕の母親か…と思わず苦笑をこぼした。彼のこの優しさは、純粋で一途で、甘ったるくて、僕を傷つける。
…そうだ、本来の目的を忘れていた。僕のミッションは、充電器を借りること。それだけである。
「大丈夫だから。…あのさ、充電器ってどこにあるかな?…借りたいんだけど…」
『充電器?いいぞ!えーっと〜…すまん探してくる!!』
「わかった、わざわざありがとう」
軽く礼を言って、手持ち無沙汰になってしまった僕はキョロキョロと見慣れたはずのリビングを見渡す。これじゃあまるで家を物色する泥棒のようだ。
ふと、机の上に無造作に置かれたピンク色の箱と目が合った。なんだろう。小さな好奇心はふわりと膨らんで、僕を離さない。
立ち上がろうかと思った瞬間、声が聞こえた。
『とやさーーん!!充電器あったぞ!はい、これ』
「…っあ、あぁ…はい、ありがとね」
『?どうした?』
「いや…あそこの机の上にあるピンクの箱って何かな〜って…」
『え?あ、これか?グミだぜ!美味しいよな〜〜!!』
拍子抜けすると同時になあんだ、と心の中でひとつ安堵のため息をついた。誰かの何かの忘れもの、もしくは誰かのために置いていた何か。そう思っていた僕が馬鹿らしい。
そうだ、ガクくんにはまだそんな影はない。おとなだけど、こどもらしくて、しあわせそうで、自分を生きていて…。
振り撒く聖人さながらの愛想も、優しさも、まだ特定の”誰か”だけに向けたものじゃない。
それだからこそ、苦しいことも、あるけれど。
「…そっか。ね、いっこ貰ってもいい?」
『全然いいぜ、はい』
パカリと開けたそこからこぼれ落ちたのは、幸か不幸か、ピンクの綺麗なハート。ちらりと見えたパッケージによると、これはレア型らしい。
「あ、ハート」
『え!?オレも見たい!!』
覗かれる前に、ぱくりと口に放り込んだ。
わざと力を込めて噛み潰す。
ラズベリーの酸っぱい味と、グミを覆う砂糖の甘みが口いっぱいに広がる。酸味の方が、ちょっと強い。
僕のこの気持ちも、グミと一緒に溶けてなくなっちゃえばいいのに、と願った。そうなれば、どんなに…
どろどろとした感情が身体中に巡っていくのを感じて、急いでこの場を後にした。
見たかったのにぃ、とわざとらしい悲しそうな声が背中越しに聞こえた。きっとグミの事だろうとは思うけれど、どうにもこの僕の胸の中にある純粋ではない好意のことに聞こえてならない。
それなら、一生、見ないままでいい。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!