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「よう、アリス!あのさベビーベッドなんだけどさ、お福さんも同じ意見なんだけど、お前達の家と母屋にも、一個あったほうがいいんじゃないかな?リビングだとみんなで交代で子守り出来るだろ?それともバウンザーの方がいいのかな?電動で揺れるヤツとか・・・ 」
直哉が母屋の隅っこで頭に縦線を付け、しゃがんでソファーのカーペットの、汚れをゴシゴシ落としているアリスに話しかけた
「・・・アリス? 」
直哉がその陰気な背中に呼びかけると、くるっと振り向いたアリスが、だぁ~~~~っと滝のように涙を流していた、直哉がビクッと飛び上がった
ヒック・・・「ナオく・・・ん・・・・」
「・・・どうした? 」
「ここのカーペットの汚れが落ちないのよぉ~~」
アリスはただカーペットをゴシゴシ擦りながら、大声で泣き続けた
うわぁ~~ん「汚れがぁ~~~」
完全に正気を失っている、アリスの顔を見てすべてを悟った直哉が、腕を組んで戸口にもたれた
首を傾げて大きくため息をつく
ハァ~・・・「妊娠してるの・・・嘘なのか? 」
うわぁ~~~~ん「ごめんなさぁ~~~いぃぃぃ」
アリスはもうワンワン泣き続けて、あまりの罪悪感に正気を失っている
直哉は目を細め、アリスの肩を抱いて、とりあえずソファーに座らせた
アリスは両手で目を覆い、悲痛な泣き声をあげている
「おーけー!わかったから、とりあえず落ち着け! 」
直哉が冷蔵庫から麦茶を出し、コップに注いでアリスに渡す
うっうっうっ・・・・「ボ・・・ボグドざんがぁ~~・・」
「あ~あ~わかったよ、あの時はああでも言わなきゃ、伊藤家のラスボスを撃退できなかったもんなぁ・・しかしお前の母ちゃん気合い入ってんな」
エぐエぐエぐ・・・「ボグドざんに何て言えばいいがあ~~」
アリスはそう叫んで髪を掻きむしった
「まぁ・・・兄貴浮かれまくってるからなぁ~ありゃ宙に5センチほど浮いてるぞ、ドラえもんだよ 」
うわ~~~ん!(泣)「◎△$♪×¥●&%#◎△$♪×¥●&%#◎△$♪×¥●&%#◎△$♪×¥●&%#◎△$♪×¥●&%#◎△$♪×¥♪×¥●&%#◎△$♪×¥●&%#◎」
アリスが直哉の言葉を聞いてさらに大泣きする
「あー!あー!もうわかった!わかったから!、あまりの罪悪感で日本語しゃべれてねーじゃねーかよ」
アリスは自分の前を歩き回って、今は自分を見下げている、気心の知れた義弟のハンサムな顔を藁にも、すがる思いで見上げた
とてもではないが今夜自分が真実を、告げた時の彼のガッカリする顔を直視できない
「兄貴には俺から言っておくよ」
あまりにも憐れなアリスに同情して、直哉はそう言った
..:。:.::.*゜:.
北斗は午後は事務所で、精力的に書類仕事をこなした、夕方に町内会の寄り合いに顔を出さないと行けない、牧場主として大事な仕事だし、今後の鬼龍院の行動も気になる
しかし仕事をかたずけていても、ふとした時に、アリスの子供の事を思うと心が温かくなる
ハァ~・・・「無事に産まれて欲しいなぁ~・・・」
北斗は事務所のノートパソコンの前で大きく伸びをした
周りをキョロキョロして、誰もこの事務所に尋ねてこないことを確認する
北斗は昨日から気になって仕方がなかった事を調べることにした
検索バーにキーワードを打ち込む
パチパチ・・・
『妊娠中のセックス』
するとピンクの画面のマタニティサイトにヒットした。北斗は隅から隅まで読んで行く、サイトにはこう書かれていた
『妊娠中の性行為は基本的には避けて下さい、妊娠中のお母さんの身体は妊娠前と大きく異なっており、性行為によって流産や早産など、さまざまな危険を起こす可能性があります 』
..:。:.::.*゜:.
北斗はガックリと肩を落とした
「そ・・・そうだよな・・・産まれるまで出来ないよな・・・うん・・・我慢しよう 」
肩を落としながらもチラリと読み進めて行く
『しかし夫婦のコミュニケーションにおいて性行為(セックス)は大切なスキンシップの1つです。行為をするなら6か月以降の安定期に入るとある程度可能です』
..:。:.::.*゜:.
ガバッ!
「でっ・・・出来るのか? 」
北斗はノートパソコンにかぶりついた
ドキドキ・・・
「ろ・・・六か月・・・ 」
画面をスクロールすると妊娠中のいろんな体位が、イラストで詳しく説明されていた。念入りに一つ一つ真剣に見て行く
ドキドキ・・・
「な・・・なるほど・・・・お腹を圧迫しないで・・・浅く・・・優しく・・・ア・・アリスが嫌がらないのなら・・・俺はいつでも・・・ 」
じわりと額に汗をかく、手のひらにも汗をかいてマウスを握る手に力が入る、喉が渇いてカラカラになる
おおっ「こ・・・こういう体位も・・・」
ドキドキドキ・・・・
..:。:.::.*゜:.
バター――ン
「北斗ぉ~~~~~!!レオ君来たよぉ~~~~~!」
「こんちゃっス!これ母ちゃんからっス! 」
大砲のような音でドアが開き、突然明とレオが事務所に飛び込んで来た、レオが大きな菓子折りの紙袋を北斗に見せる
ガシャー―ン「わぁーーーー!」
北斗がびっくりして飛び上がった拍子に、膝が当たってノートパソコンが床に落ちた
「あっ!いらっしゃい・・ってわー!液晶がぁ~~~!20万がぁ~~~! 」
床に落ちた北斗のノートパソコンの画面にヒビが入り、中の液晶が広がっている。パソコンがフリーズし、画面が「妊娠中のSEX]のイラスト画面で固まっている。これじゃ恥ずかしくて修理に出せない
「あっ!レオ君お福さんだ!来て!」
「おう!」
北斗のパニクリなどまったく気にせず、二人はまた弾丸のように飛び出して行った
「おふくさ~~~~ん!レオ君来たよぉ~~~~」
「こんちゃっス!これ母ちゃんからっス!」
「あら~~~~いらっしゃ~~い♪」
北斗の嘆きと外のアキレオの騒がしさに包まれた事務所に、次に入って来たのは直哉だった
「兄貴」
くすん・・「あ~~・・俺のパソコンがぁ~~」
「兄貴」
「なんだ?今忙しい、ああ・・・それと昨日言ってたチャイルドシートの件な・・」
北斗が何度もパソコンに電源を入れたり、消したりして再起動を試みるが、画面は液晶が半分染み渡って、「妊娠中のセックス」のイラストのままだ
直哉が真面目な顔で言った
「話がある」
北斗は不思議そうに弟の顔を見た