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ど新規JAM’sです。
YOUTUBEとか見れていないのでイメージです。
1人の妄想だと思ってください。
🎹さん語り。
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バンドを組んで十数年…
メンバーの脱退や活動休止などもあったが、とくに近年は多くの方に曲を耳にしていただける機会も増え、今年無事にデビュー10周年を迎えることができた。
デビュー日の今日、僕は朝から各局でアルバムの宣伝活動。
2時起きっていう、最早朝なのか夜なのか分からないけど(笑)、行くところ行くところで沢山の方に祝福をしていただけて、本当に嬉しい。
移動のタイミングで少しウトウトしながらも無事に回ることができた。
朝のジャックが終わった後には、着替えて看板を持ち歩き街中で宣伝。自分たちの色に染められた多くの場所をまわってJAM’sのみんなにも会うことができた。こんな暑い中来てくれていたなんて本当にありがたい。
僕より一回りも二回りも大きいSPさん達が、見た目からギャップのある可愛い笑顔で「りょうちゃんは人気者だね」って言ってくれて嬉しかった。
寝不足気味にとっては、灼熱の太陽はキツくもあったけど、僕を見て笑顔になる人たちを見たら、そんな思いも弾け飛び、自然と笑顔になれた。
無事に宣伝も終わり、サイン会のためメンバーと合流。先に楽屋入りしていた2人が僕を見るとすぐに駆け寄ってきてくれた。
大「涼ちゃんお疲れさま!朝から本当にありがとう!」
若「お疲れさま!暑い中宣伝ありがとうね。体調大丈夫?」
『お疲れさま。うん、大丈夫だよ。すぐに着替えるね』
若「まだ時間あるしゆっくりでいいよ。できる限り休んできて」
大「何か食べたいものとか欲しいものあったら言って。収録のことも打ち合わせしておくし、決まったらちゃんと教えるからそれまで体力温存していてね」
『ありがとう』
その後、いつものスタイリストさんたちに朝のTVジャックを褒めてもらいながら、着替えてメイク直し。少しうとうとしたけど、寝てしまったらもう起きれないと思って頑張って起きていた。ボーッとしている間にいつもの
“涼ちゃん”にしてもらえて大満足。
その後サイン会をして収録スタジオに移動。
僕がいなかった間の話し合いで、動画をニュース番組形式となることに決まったらしい。
天気予報のコーナーもあって、僕が外に中継に行くことになっていた。
元貴も若井も僕に行かせることに申し訳なさがあるみたいだったけど、今日は朝から何回もお天気コーナーをみたから大丈夫!って言って押し切った。
実際収録が始まってからは生放送らしくグダグダした場面もあったけどそれも僕ららしく、とても楽しかった。
天気予報のときにはまた少し暑さにやられそうになったけど、朝沢山の番組でみた天気予報と自分がイメージするものを合わせてなんとかやり切った。
スタジオの雰囲気は分からなかったけど、戻ってからの2人の様子やスタッフの顔を見る限り間違っていなかったと信じたい。
東京タワーの特別なライトアップも見て
収録は無事終了。
その後次は3人で移動して自分たちの
歩んだ軌跡を噛み締めた。
全ての予定が終わった時点で
結構限界だったみたい。
事務所に戻り、ソファに座ってぼーっとしている間にいつのまにか元貴と若井は着替えてメイクを落としていた。
それを見ながらも動かないでいる僕を見て、
大「涼ちゃん?起きてる?」
若「眠そうだね。笑」
『うん、起きてるよ…』
大「サクッと着替えちゃいな」
『うん…』
若「ふふ、頭働いてないでしょ?」
『うん…ん?』
大「スタッフさーん!涼ちゃん動けなさそうだからここでメイク落としてあげて!笑」
ス「はーい!…あらあら、大丈夫ですか?笑」
『だいじょうぶです』
若「もうひらがな言葉になってんじゃん笑」
大「向こうで待ってるから、ゆっくりおいでね」
『ありがと』
その後なんとか着替えてメイクを落としてもらい、部屋を移動したら2人でインスタライブをしていた。
ほとんどオフモードだったしメイクも落としたからあまりカメラ前に行きたくなくて、それを察知した元貴にソファ後ろに誘導されての参加。沢山のJAM’sから労いの言葉をかけてもらえた。感謝の言葉を伝えつつ、頭の回転が働いていない僕を感じ取ってくれた2人が僕をいじってくれたから、たまにつっこんだり、笑っているのでよくて安心した。
その後ファンクラブ用のライブをして終了。
帰るため、3人で歩いて車に向かう。
明日も早起きだから何時間寝れるのかなって計算しようと思ったけど、頭が何にも働かなくて考えるのはやめた。
気づいたら2人は少し前の方を仲良く話しながら歩いていて、僕はこの2人の背中に追いつくために頑張ってきたんだなって改めて思った。
誰しもが認める、音楽を愛し音楽に愛された才能に満ち溢れた天才ボーカル。その天才の大切な幼馴染であり相棒にして、実力がありながら弛まぬ努力で向上し続けるギターリスト。自分より年下の2人だけど、自分よりしっかりしていて、それに見合った器用さと才能もあって、周りからキーボードは要らないんじゃないかって言われる以上に何度も自分は彼らに相応しくないと思ってきた。不意に浮かぶその言葉に、彼らは時には笑い、時には泣いて、怒って、自責にかられる僕を繋ぎ止めてきてくれた。
「涼ちゃんだからいい」
「涼ちゃんじゃなきゃ嫌だ」
その言葉を胸に、10数年少しでも2人に追いつくように、追いかけ続けてきた。
そして今日、沢山の場で笑顔でお祝いの言葉をかけられて、ファンの笑顔をみて、この場に立っている自分を少し誇らしく思えた気がする。
気づいたら立ち止まっていたらしく、遅れた僕に気づいた2人が同じタイミングで振り返る。
僕の顔をみた瞬間、一瞬目を丸くした2人は揃って破顔して、僕の方にやってきた。
先に着いた元貴は僕に抱きついてきて、いきなりの行動に目が丸くなる。
『え、どうしたの?』
大「どうしたのじゃないよ。涼ちゃん気づいてないの?」
『?何が?』
若「ふふ、涼ちゃん。泣いてるよ?」
後からゆっくりやってきた若井がそのまま僕の目元に手をやった。その指は濡れていて、自分で頬に手をやって濡れていたことに気づく。
自覚してしまえば、涙は止まらなかった。
元貴は抱きついたまま上目遣いで、若井は優しく頭を撫でてくれる。
大「疲れちゃった?」
『ううん、そうじゃない』
若「じゃあこの涙はなに?」
優しく聞いてくる2人をみて、
『今日沢山の人にお祝いしてもらえて、よかったなって。ミセスの曲をミセスのことを愛してもらえてよかったなって。実力は勿論まだまだ2人には追いついていないけど、少しは2人の背中が近くなった気がして。近くに立ってていいって言ってもらえた気がして、嬉しくなったの』
大「…近くに立つ?そんなん困るんだけど」
『え…?』
元貴はさらに僕のことをギュッと抱きしめながら、
「涼ちゃんともちろん若井にも、僕のすぐ横に立っててもらわないと。 手の届く距離にいてもらわないと。誰が僕の描く音楽を奏でてくれるの?2人が演奏してくれるから僕の作る曲はミセスの色になって、皆に愛される曲になるんだよ。2人が演奏してくれないと、それは僕が描くミセスの色じゃないよ。それに横にいなかったら僕は誰に甘えればいいの?誰が僕を普通の大森元貴でいさせてくれるの?ていうか、涼ちゃんを見つけたのは僕なんだから。あのとき、涼ちゃんの人生は僕のものになったんだから、例え涼ちゃんでも僕から離れていたら許さない。手を伸ばしたら必ず掴める位置にいてくれないと。勿論僕から離れることも、それを考えることなんて絶対許さないからね。」
『元貴…』
若「愛が激重じゃん。笑
まぁ、元貴が元貴らしく過ごせるのは涼ちゃんのおかげな部分も多いと思うよ。こんな無茶苦茶なことばっか言う甘えん坊のこと、支えるのは俺以外だと包容力の塊な涼ちゃんじゃなきゃ無理だね」
大「このやろ…」
若「勿論、実力だって涼ちゃんは俺たちをすごいって思ってくれてるのは知ってるしそれは嬉しいよ。でも、それと同じくらい涼ちゃんだってすごいのを俺たちは知ってる。元貴の無理難題に対してすぐに答えるし、何個の楽器も奏でているのも本当に凄いと思う。ミセスの楽曲の多様性は涼ちゃんの存在がでかいよ。何より涼ちゃんが隣に居てくれたから俺も諦めずにここまでこれたんだよ。ていうか、俺は隣に並んでいたと思ってたのに後ろにいた、なんて寂しいこと言わないでよ。これからも一緒に肩組んで元貴とミセスを作っていこうよ」
『若井…』
2人からの言葉に、より一層涙が溢れ止まらなくなる。そんな僕を見て2人は顔を見合わせて笑っていて、その笑顔の温かさに更に涙が止まらなくなった。
なんとか僕の涙が止まったのを見計らって、ゆっくり離れた元貴が僕の右手を握り、先導するように歩き出す。
それを見た若井は僕の隣に並び、腰に軽く手を回して導くように一緒に歩き出した。
遠くから見ていたのだろう、 付き合いの長いマネージャーと目が合うと優しく笑いかけられ、少し恥ずかしくなった。
待機していた車に乗り込むと、
自然と3人で僕を真ん中にして並んで座った。
夜特有の都会の灯りを見ながら、今日の疲れと左右2人からの体温にうつらうつらしてるとゆっくり両手が握られたのを感じた。
その手の温かさに安心しつつ、 僕はゆっくり目を閉じた。
眠る前に2人への感謝を忘れずに。
『ありがとう、
…大好き』
「「…僕(俺)たちも大好きだよ」」
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改めておめでとうございます。
これからも彼らが彼ららしく、音楽を奏でられますように。