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amekaze
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突然ジナンの家に呼ばれた。
大体は自分が誘うのに、どうも珍しいな、と思いながら家に行ったんだけど…
家についてドアを開けたらジナンが「いらっしゃい」と言わずに俺の手を勢いよく引っ張ってきた。
いつもはニコニコで「上がって」とか言うのに。なにか様子がおかしいのは鈍感な俺でも気が付く。
「ちょ、おいっ、どうしたんだよっ」
そう問うも、返事は帰ってこない。
連れられた先は空き部屋みたいなところだった。いつもこの部屋は入るなと言われていた。
部屋にあったのは人二人ほど一緒に寝れそうなベット、とは言えないが、敷布団でもない、どう言えば良いのだろうか。簡易的なベットと俺の好きなふわふわの布団。
俺はそこに投げられるように置かれてビックリして見上げると、
室内は明るいのに目に光が入ってない目でこっちを見ているヒョンがいた。
怖くて少し後退りしてしまったそのすぐ、また手を引っ張られ、思わずヒョン呼びになってしまう。
「ぇっ、ひ、ひょ、?!」
そしたら突然ポケットから手錠のようなものを俺につけて、こう言った。
「これからは僕と一緒だよ」
優しい声かけなはずなのに、怖く感じてしまった。
「な、なんで急に…怖いんだけど、ヒョン、」
「…怖いんだ、僕のこと。ふーん。」
その声を聞いたとき、言葉を間違えた。と酷く痛感した。
「こうされる方が、もっともっと怖いでしょ?」
ヒョンはどこから出したのかもわからない鋏を持って、先端を首の上の方に当てながらそう言った。
言葉も出なかった。
なん、なんでこんなこと、されてるんだよ俺は…
温かいはずなのに、空気が冷たく感じる。
「今、なんでこんなことされてるかって、思ったでしょ?」
全てを感じとったようにそう言うと、鋏を当てながら続けてヒョンは話した。
「最近さ、僕のことまともに目にもくれてないでしょ?僕がいるのにさんざん友達と遊んで飲んで、挙げ句の果てにはVCR撮影で声かけたのに無視?無視してユニョアと遊んで?悪意としか思えないんだけど、ねぇ。僕のこと嫌いなの?忙しくないとき僕も連絡してるよね?なんで返事すらもしてくれないの?冷めた?僕のこと冷めたの?僕はこんなにも好きで愛してるのに、ジュネもそれ相応の愛を僕に返してよ。」
怒りからなのだろうか、鋏を持っている腕に力が入ってきているのが分かった。
グッと、力が入った瞬間、生温かい感覚が少しした。
なにも考えなくても、それが血ということは肌で感じた。
ヒョンは焦りもせず鋏を離し、俺の耳元で囁くようにこう言った。
「もう、逃げないでね。これからは本当に僕のものだから。」
Tシャツに血が染みるのを感じながらその言葉を耳に吹き込まれる。
恐怖を感じているはずなのに、体は拒否をしているはずなのに、ここで拒否をしたら殺されてしまうのではないかと思って、頷いてしまった。
「偉いね、そうやって僕の支配下にいれば良いんだよ」
きっとさっきの鋏は脅迫だったんだろう。なぜならあれを食らわなかったら俺は逃げれていたはずだ。たとえ手錠がかかっても。
だが今は、動かない。震えて動ける気にもならない。だからそういうことなんだろう、と体で悟る。
きっと今日から自由のない生活になる、そう考えるとやはり嫌。
その思いを思わず口にしてしまったのだろうか、無意識にぽつりと「いや、だ…」と呟いた。
「今、嫌って言った?どこまで生意気なの…僕の愛が伝わってないのかな、お仕置きしてあげないとダメ?」
“お仕置き”
その言葉を耳にした瞬間、一気に恐くなり、恐怖が押し寄せる。
きっといままでとは比にならないぐらいの酷いお仕置きをされる。
恐怖心で言葉が先走った。
「ごめんなさ、ごめんなさいっ、!!お仕置きだけ、は…」
初めてこんなにプライドを捨てる勢いで謝ったと思う。それほど心は怖かったんだろう。
「僕の愛をまた知らしめてあげるだけだよ?もしかして愛も受け取りたくないの?」
どんどんとヒョンが俺に近づいてくる。
「ちが、ちがうからっ、!!」
「でもさ、愛が伝わってなかったからあんなことしたんでしょ?もうお仕置きするしかないから。ね?」
無意識に体が震える。
お仕置きから逃げれる方法はないのか、あわよくば、ここから逃げれる方法はないのか。
ヒョンのことは好きなのに、逃げようとしてしまっている俺も大概なのは分かっている、分かっているが、それよりも怖さが勝ってしまったんだ。
「嫌だ、嫌だっ、!!」
本心で嫌だと叫ぶ。
それがヒョンにとっては地雷なのは分かってたなのにも関わらず俺はそう言った。
頭を横に振って、抵抗しようと手を伸ばして拒否ろうとするが、手は手錠にかけられていてなにもすることができなかった。
「好きなら、黙って僕の愛を受けてよ。嫌なの?」
なにも光が入っていない目で見つめられ、そう問いかけてくる。
「怖い…」
考える前に本心がまた先走ってそう言った。
「怖くないから、これが僕の想い、この血だって、僕の辛さを表してるんだよ」
首から少しだけ出ている血を拭き取るように指で掬いとって、俺の唇に指を置き、こう告げる。
「ねぇ、好きだから、好きだから僕のこの気持ち受け止めてよ、酷いことさせちゃうかもだけど、それも僕の愛だから拒否せずに体で感じて。」
そう言われ、押し倒された後、キスをされた。
少し血の味のするキスをし、俺はいつの間にか流していた涙を拭いながら口を離し、ぐずってる声になっているのにも関わらず言ってやった。
「分かってっから、酷いことはすんな」
それは久しぶりにぶっきらぼうな口調で言った気がした。
「本当に?ならもう、怖くないよね?」
首に手を置かれ、ゆっくり閉められていく。
だが、自然と怖くなかった気がした。
まるでさっき暗かった空が明るくなるみたいに。
きっと、ヒョンも俺も、歪んでいる愛をしているのかもしれない。
そう思った瞬間だった。
手を一気に離されると、生理的に咳き込んでしまったが、嫌じゃない。
「…嫌では、無さそうだね。」
「ヒョンだから」
最初は嫌だったけど、今は、ヒョンだからという理由で、あまり嫌ではなくなった。
「いい子。」
優しく微笑んだあと、頭を撫でてくる。
目を見ると少しだけ光が入っている気がして、安堵のため息を少しばかりつく。
「好きだよ。ジュネ」
「…俺も」
ヒョンはただ寂しかっただけなのかもしれない。
でも、そんなヒョンも俺は大好きだって、今分かった。
まだ、重い愛を受け止めれていない気もするが、好きという気持ちは変わりない。
ここで捕まえられても、逃げたいとは思うが、逃げない。
ヒョンの悲しむ顔も、こんなことにもさせなくないから。
室内には重い血の空気が漂っているが、そんなことも関わらず俺はヒョンを抱き締めてやった。
そしてゆっくりと目を閉じて、その感覚に浸り、深い海の底に落ちていく───。
コメント
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第1話、読了しました。うわあ、すごい重くて濃密な空気…。ヒョンの「愛」が執着と支配に塗れてて、ジュネが恐怖と混乱の中でそれを受け入れていく心理描写が生々しかった。手錠や鋏のシーンは息が詰まるし、最後に「ヒョンだから」って受け入れるところで関係性の歪さと深さが同時に来た。まだ1話だけど、この歪な共依存の先がどうなるのか気になる…!