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「……ッ!!」
青木はソレと視覚的にそぐわない桃瀬の美しい顔を交互に睨んだ。
「どうした。咥え方忘れちゃった?黄河にならってただろ?」
桃瀬が再び青木の髪を鷲掴みにすると、抜けるほど強く引っ張り上げた。
「――こんなことして……ただで済むと思ってるのかよ……?」
「ええ?」
「囚人同士のつぶし合いは……だめ……だろ!」
青木は必死に桃瀬を睨んだ。
「ふふ」
桃瀬は一旦青木の髪の毛を離すと、そばにあった机に座った。
「僕たちがこの数日間、何もしないでボーっと過ごしてたと思う?」
「……は?」
「いろいろ試してたんだよね。どこまでがBL実験的にセーフなのか」
桃瀬は下半身を露出したまま足を組んだ。
「ひとつ目。白鳥以外との性行為。これはご存知の通りOK。二つ目。囚人への直接的な攻撃。これも、階段を突き飛ばしてもおとがめなし。さらには殴る蹴るも問題なし」
「……じゃああのとき階段から突き飛ばしたのも、夜中に襲いに来たのも――」
「そう。僕たち」
桃瀬はニヤリと笑った。
(――こいつら……!)
頭は怒りで煮えたぎるように悔しいのに、視線は桃瀬が露出したソレに釘付けになってしまう。
目を反らそうとしても瞑ろうとしても、眼球がソレに引き付けられるかのように目が離せない。
「はは……コレがほしい?」
桃瀬がソレを軽く上下に刺激すると、たちまち暴力的な大きさに肥大した。
「咥えたかったらいいよ?咥えても」
「……ふざけるなッ!」
頭の片隅に残っている理性をかき集める。
「階段の件も、夜這いの件も、俺の命や体に支障がなかったらお咎めナシだっただけだ!もし俺が実験が続けられなくなるほどのケガや障害を負ったら、お前たちもただじゃ済まないぞ……!クリアして生き返りたいんだろ?」
「――――」
桃瀬はじっと青木を見下ろした。
「そうだろ!?」
青木は後ろに突っ立っている黒崎を振り替えった。
「……お前は本当に馬鹿なんだねぇ」
桃瀬がため息をつく。
「この実験で死刑を免れるのは一人だけ。そのクソなルールの時点で俺と黒崎はすでに実験を放棄してるんだよ」
「放棄……だと?」
「僕と黒崎は、ガキの頃から一緒でさ」
「……ッ!」
桃瀬足を開いて高さを調整し、青木の唇にソレを押し当てながら言った。
「クラスも一緒。子供会も一緒。いつでもどこでもツルんでたわけよ」
ぐいと口に指が突っ込まれる。
謎の薬のせいか、それとも自分の身体が本能的に桃瀬のソレを望んでいるのか、口はあっけなく開いてしまった。
「中学校にあがるとさ、ビッチたちが黒崎に寄ってきて、好きですだの付き合ってくださいだの言うようになって――おい。歯を立てんなよ」
「ングッ……」
桃瀬のソレが躊躇なく、青木の口の中に入ってくる。
「ああーここが引き時かなって思ったの。僕はもともとゲイだけど、黒崎はノンケだからさ。解放してやろーかなーって思ってたところで……」
「俺が桃瀬に告白した」
「ぐッ……!」
後ろから黒崎が青木のベルトを掴み上に引き上げた。
四つん這いの体勢にされた青木に合わせて桃瀬が片膝をつき、もっと奥までソレを挿入してきた。
「嬉しかったなぁ。黒崎のことは初めから諦めてたからさ」
桃瀬が高揚した顔で腰を前後に動かしソレを喉まで挿入してくる。
「……なんで諦めるの。俺はずっと桃瀬が好きだったのに」
黒崎はふてくされるように言いながら、青木のベルトを緩め、ズボンをパンツごと膝まで下ろした。
「なんでって。ずっと一緒にいたのに一度も言ってくれなかったじゃん。好きだって」
「好きじゃなかったら、ずっと一緒にいたりしない」
「……うッ……!」
黒崎の手が、剥き出しになった青木のすでに腫れあがったソレを強めに握る。
「そんなの言葉で言わねえとわかんないだろ。だってお前女の子好きだったこともあったし」
「まあ元々はそうだけど。でも桃瀬は特別っていうか。桃瀬だけっていうか」
「……んっ。……ぐッ……」
黒崎の大きな手が、限界直前のそれを容赦なく刺激する。
「そんなの僕もだよ。黒崎以外にこんなことしたいと思わない」
「桃瀬……!」
(こいつら……!言葉と行動があってないだろうが……!)
青木は息ができないほど口の中を犯す桃瀬のソレと、自分のアレを扱く黒崎の大きい手に悶絶しながら、涙で滲む生物室の床を睨んだ。
「でもある日……」
桃瀬の声が曇る。
「クソみたいな事件が起きた」
「高校に上がった途端、黒崎が頭の悪い上級生に目をつけられてさ」
桃瀬は青木の髪の毛を掴んで、ソレを喉奥に挿し入れながら話を続けた。
「というのも黒崎が背が高くてイケメンでカッコよすぎたのが悪かったんだけどさ」
「……桃瀬……!」
桃瀬が発した言葉に、黒崎の手が止まる。
(いやだから!イチャつくのか襲うのかどっちかにしろっつのっ!!」
脈打つ体の熱と、乱暴に突っ込まれた桃瀬のソレのせいで言葉が発せない青木は、せり上がってくる吐き気をこらえながら目を見開いた。
「黒崎は喧嘩も強かったから、顔も頭も喧嘩でさえ勝ち目がないと判断した頭の悪い上級生は、隣にいる僕に目をつけた」
「………ッ!!」
何かを思い出したらしい黒崎が青木のソレを力いっぱい握る。
(痛い痛い痛い痛いッ!!痛いってこのクソ力!!)
振り返って抗議しようとする青木の顔を桃瀬が掴み、
「ほら。こっちに集中!」
一気に喉奥までソレを突っ込んだ。
「んぐッ……!!」
「あのクソ野郎ども……」
黒崎が桃瀬の話を引き継いで話し始めた。
「俺の目を盗んで桃瀬を攫って、校舎裏の小屋の中で……レイプしたんだ……!」
「ぷはッ……!!」
青木はやっとのことで桃瀬の太ももに手をつくと、一気に顔を引いた。
「ゲホッ……!それと俺と何の関係がある!……オエッ……!ノロケも昔話も他所でやれよっ!!」
えずきながらも抗議する青木を桃瀬は見下ろしながら、今度は両手で髪の毛を掴んだ。
「関係あるから話してるんだろうがボケ!他人の話は最後まで聞けって死んだママに習わなかったのか?クソ野郎が!」
「母さんを勝手に殺――ふグッ……!」
桃瀬が再び青木の口にソレを押し込んだのと、黒崎が青木の後ろに指を突き刺したのはほぼ同時だった。
「じっとしてたほうがいい。ローションなんか使ってないから、動くと裂けるよ」
黒崎の少し間延びした声が響く。
(……くっそ……!!)
青木は、黄河のそれとは違い、桃瀬の形の良い臍を睨んだ。
「4人に代わる代わる凌辱され、気づけば朝になってた。一晩中探し回ってくれた黒瀬が、笑いながら帰っていく4人を見つけ、まさかと思って男たちが歩いてきた方向にあった小屋を見つけてくれた」
「警察に行こうって言ったけど、桃瀬は凌辱されたことにショックを受け、そのことを誰にも知られたくないと泣いた。俺は後にも先にも、桃瀬が泣いてるのを始めてみたんだ」
――ひどい目にあったと思う。
美しすぎる2人への汚い嫉妬が生んだ、許しがたい事件だとは思う。
(でもお前らが今やってることは何なんだよ……!)
青木は繰り返される桃瀬のソレと黒崎の指の抽送に耐えながら、床の上についた両手を握りしめた。
「だから――次の週の放課後、人目のつかない路地に4人が入った瞬間に襲い掛かって、2人で殺した。4人を」
「どっちが何人殺したのかはわからなかった。でも気づいたら4人は血だらけで、もう動かなくなっていた」
(そうか……こいつら。その4人を殺した罪で、死刑判決を――)
青木の口内と、後ろと前を犯しながら、2人の昔話は続く。
「でも過去に後悔はない」
「こんな世に未練もない」
もはやどちらが何を言っているのかもわからない。
「だから俺たちは、一人だけの無罪放免は興味ないんだよ」
黒崎の声がボヤけて聞こえる。
「一人だけの死刑免除もね」
桃瀬の上履きも滲んで見える。
苦しさと痛みと、燃え上がる身体の熱で、意識が遠くなっていく。
「俺たちははなからBL実験なんてどうでもいい」
「興味あるのは、僕たちを死刑という永遠の別れに導いたお前の死顔だけだ」
桃瀬は青木の頭を鷲掴みにすると、根元までソレを押し込んだ。
「男と恋愛はおろか、目を合わせるのさえ苦痛にしてやる……!」
黒崎の長く太い指が奥まで突き刺さってくる。
「お前は桃瀬があの最低野郎たちに犯られたように、苦しんで死ぬんだ」
「……ああ゛!!」
喉の奥の壁を、桃瀬の先端がゴリゴリと擦る。
未だかつて誰も触れたことのない体の内側を、黒崎の指先が引っ掻く。
「―――ッ!!――――ッ!」
苦しい……。
痛い……。
苦しい……!
地獄を見ているようだ。
こんな地獄なら、もういっそのこと――――。
「……え。桃瀬君?黒崎君?」
その時、背後から聞き慣れない声が聞こえた。
「これは一体どういう……?」
3人そろって振り返ると、
「死刑って……?BL実験って……?」
先程赤羽が確かに閉めた扉が開いていて、
顔しか知らない2組の生徒が立っていた。