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「じゃあね、ずんだ。」ほんのちょびっと涙声で鈴はずんだを撫でた。「鈴。これを忘れているよ」お琴が小さな紙を持ってきた。『犬名 ずんだ 飼い主 若葉屋鈴 家 若葉屋』と書いてあった。「なにこれ?」「ずんだの情報よ。」お琴はそう言ってずんだの首にかけてある黄金色の袋に折って入れた。「鈴。あんたは部屋で寝ていなさい」「そうだよ。鈴ねえさん。」妹のおひわも言う。「わかりました…」渋った声で言い、鈴は部屋へ戻った。「さあ、頑張ってずんだ。大好きなお鈴のためだよ。」お琴はそう言ってそばにいたたくましい男の人に預けた。「ずんだをよろしく頼みますよ」「はい。絶対この子には苦しい思いはさせませんから」そう笑ってずんだの首に縄をかけて歩き出した。ずんだが見えなくなるまで心配だったのはずんだのことと病の鈴のことだった。
数ヶ月後、旅人は尾張の宿屋でずんだと泊まっていた。「ではよろしくお願いします」旅人の人の声がした。そして旅人が戻ってきたときには知らない夫婦と一緒だった。「ずんだ。翌日からこの人たちが伊勢神宮まで付き添ってくれるぞ。夫君は栄福さんで、妻君はやよいさんだ。」そう言って旅人は部屋から出ていったそれっきり部屋には帰ってこなかった。「わん!」ずんだは一声鳴いた。「この子、声もかわええの」やよいがにっこりと笑った。栄福もにこにこしている。
翌日、ずんだたちは宿を出た。それから伊勢神宮までの道のりをたどった。
同じ頃、鈴はあくび一つして目覚めた。「母様…いる?」鈴が大きめに言うと、「なに?どうしたの?鈴?」と奥の部屋から声がした。鈴は重い体を頑張って起こして襖を開け、お琴のとこまで行った。「おはようございます。ねえ、ずんだは今頃どこに?」「ん〜?ずんだはねえもうちょいで伊勢神宮について数ヶ月後に返ってくるよ。だから安心して病を治して。ね、鈴」お琴は梅粥を作りながら答えた。そして鈴は着替えに取り掛かった。
さて、数日後、ずんだは伊勢神宮に到着していました。「やっぱ伊勢神宮ってすごいわねえ」やよいが言えば栄福も「すごいなあ。さすが伊勢神宮」と言っていました。ずんだは少し怖がりながら鳥居をくぐり、参拝してきました。「ずんだ。あんたは飼い主さんの病を治すためにきたんよね。んじゃ、お守りを買いにいきましょう」やよいはずんだを連れてお守りを買いに行った。「あら?もしかしてこの子はおかげ犬かしら?」お守りを売っている巫女装束の美人な女の人が言った。「おかげ犬?それはなんでございまして?巫女殿?」「巫女殿なんて、ふふっ。おかげ犬は、主に代わり、神社や寺を参拝したりする犬なんですよ。とってもかわいいおかげ犬ね。こんなにかわいいの初めてよ。」そう言って優しく微笑むとやよいたちに言った。「さて、お二人はお守りをお買いに?」「あ、はい。そうです。」そして栄福たちは何を欲しいのかを話した。「わかりました。あ、そのおかげ犬さんにもお守りを渡さないとね。」
そう言って巫女は夫婦円満と肌守りのお守りと、病気の完治のお守りを用意し、ずんだの袋からお金を少し取ってずんだに言った。「こんなにかわいいおかげ犬初めてだから半値にするわね」ずんだは尻尾を振って嬉しそうにしていた。「こちらがお二方のお守りになります」「まあ。ありがとうございます」夫婦は笑って礼を言った。巫女は紙に筆で何かを書き留めていた『おかげ犬ずんだの主人様へ こんなにかわいい犬は初めて見ました。とても行儀もよいのでお守りは半値の値段でお売りしました。元気でいらしてください 伊勢神宮巫女』と書いてあった。それを巫女は黄金色の袋に入れ、にっこりと笑った。
数ヶ月後、閉まった若葉屋に嬉しげな大きな声が聞こえた。「母様!ずんだが帰ってきた!わあ!嬉しい!おかえりなさい、ずんだ!」鈴が両手を大きく広げそれから抱きしめた。
(上の水色の着物を着ている人がお鈴です)「く〜ん」ずんだも鼻を鳴らす。「よかったあ。」本当に安堵した声だった。
お琴も嬉しそうだ。「あ、袋!」お琴はずんだの黄金色の袋を取り、中身を確認した。「お守りがある!あと、文?」お琴は袋の中身を取り出した。そこには朱い巾着のお守りとあの巫女が書いた文が入っていた。文を読み終わった二人は嬉しくって顔を見合わせて笑った。ずんだも笑っていた。
そのお守りを身に着けて鈴は生活を始めた。するとみる間に鈴の病状は良くなっていった。そして完全に完治し、店を開き、手伝えるようにまでなった。治った今でも鈴はお守りを懐にしまい、ずんだと一緒に生活し、店を手伝っている。