「え、ええと……食えなくなる?」
「そう。簡単に言えば、そういうこと。食べ物が手に入られなくなったら、まず困るのは私たち消費者。お金があっても、物がなければ意味がないんだよ」
「マジかよ……」
悠斗は、さっきよりも真剣な表情になっていた。その変化を見逃さなかった私は、ほんの少しだけ胸の奥が温かくなるのを感じた。
「少しは事の重大さ、気付いてくれた?」
「うーん…まぁ、お前の話聞いたら、何か少し興味を持ったわ」
彼はそう言いながら、照れくさそうに私の鞄を手渡してきた。
「あと、鞄勝手に持って悪かったな。お前、ほんと真剣なんだな。なんか……ごめん」
私は受け取った鞄を胸に抱えながら、ふっと小さく笑った。
(この人は天然だけど、ちゃんと人の話を聞こうとしてくれる。だから嫌いになれないんだ)
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