注意事項
・この作品はwrwrd様の二次創作です。
・本人様とは関係ありません。
・検索避けに協力してください。
・流血、毒などの表現が含まれます。
・10,000文字の非常に長いストーリーとなっております。
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ふさり、と体温が戻る感覚がした。
瞼を開いてみれば、紫色と目が合った。
「あ、起きた。」
「…shp、」
「喋んな、ああほら…血が出た。」
口からどろりと血が流れ出る。
shpは白い布で、ciの口元を拭った。
「よぉ頑張ったやん。もう帰れるから。」
「…あれ、敵は、??」
「眠らせてあるだけやで。迎えはもうすぐらしいから、えと…立てる??」
足に力を入れると、どろりとふくらはぎの傷から血が流れた。
「ああ、ストップ。ほら、背ぇ低いから足ついてまうやろうけど。」
しゃがんで背中を向けたshpに身体を預ける。
ちらりと、先程までciをいたぶった男を見る。
騙されてくれただろうか。
にやりと口角を上げて、手を振る。
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「ci、よくやった。」
「いえいえ〜!!」
帰還し、怪我も治ってきてようやくの会議中。
grは満足そうに目を細めた。
「すまんかったなci…、僕の指示が悪かったわ。」
「いいんすよut兄さん!!」
ケラケラと笑いながら首を横に震る。
utは苦笑しながら、ciに頭を下げた。
「さて、入った情報は??」
「毒薬の研究が進んでますわ。精神崩壊剤、幻覚幻聴などの薬物、手足を痺れさせる薬…とか。」
「なるほどな、ciは投与されてないようだな??」
「はい!!」
元気です!と、マッチョポーズをして見せる。
rbよりも貧弱ではあるが、元気は人一倍ありそうだ。
ドンッ。
扉が思い切り開いた。
先程出した、rbがやってきた。
小さな紙を机にバンッと置く。
「ど、どうしたrb。」
「こ、これみろ!!」
ーW国幹部の皆様へ
この度は良いスパイをありがとうございました。彼のおかげで沢山の情報が手に入りました。
W国様がこんなにも抜けているだなんて、知りませんでしたよ。もしくは、彼のせいでしょう。
彼は、本当にそこにいるべきなのか、考えてはどうですか?
私は、W国様と良い関係を築きたいのですー
「…良いスパイ、情報??」
皆が困惑していると、rbがciの首を掴んだ。
「お前ッ…情報吐いたんやな、!!」
「…かはッ、、ぇ、??」
rbの手に力が篭もる。
雰囲気は徐々に変わっていった。
tnやzmが鬼のような顔をしていた。
shpやem、utが悲しそうな顔をしていた。
他の皆も、驚いた顔をしていた。
「…なんでそれを言わなかったci。」
grの静かな声が、しんっと響く。
「…ち、ちがくて、rbッ、ちょッ。」
「てめぇ…ッ、、」
rbの力に適うわけがなく、ciは咳き込みながらしゃがんだ。
「これ一般兵や国民に知られたら恥めう。」
「それでも、幹部なの??」
osとhtが冷たい目でciを見た。
「ま、まってや…話をッ、」
「ci。」
tnは、ciの胸に着いた橙色の幹部だけ配られるバッチを乱暴に取った。
「お前は幹部追放や。」
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「…は〜ぁ〜、最悪。」
ciは、買ってきた黒髪染料で水色髪を黒くした。
幹部から追放された身として、W国に居ることはできない。
が、行く宛てがないので変装をしてW国にいるしかないのだ。
衣服もいつものではなく、黒いパーカーと黒いズボンだ。
メガネも外しており、目はカラコンをつけている。
「…でも、案外気にならんねや。」
正直言って、ciは悲しんではいなかった。
詐欺師として生きてきたこともあり人を信用するのには時間がいるからだろうか。
裏切られるのを承知の上だったのだろうか。
ciは適当に買ったパンを食べながら街を歩いた。
「これからどーするかな。」
幹部だったのもあり、金は十分ある。
国を移動しようか。
でも、彼らの活躍は今後も見ていたい。
だって、ciは彼らを裏切ってないのだから。
先程の手紙は、本当であり嘘である。
ciは確かに情報を履いた。
だが、それはW国のものではない。
真反対のS国のものである。
その情報を手に入れたとて、有利になる訳でもなく、なんなら不利になるくらいだ。
こちらは本当の情報を手に入れているのだから。
恐らく近々戦争が起きるだろう。
彼らは勝つ。勝つと確信をしている。
ciは彼らを見るのが好きだった。
漫画でしかないようなヒーローばかりで、見ていてカッコよかった。
だから、彼らが見れるのならば自分が裏切り者になったのも気にならない。
ciは手に着いたパンのカスをぺろりと食べた。
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「…、」
ゴミ箱に捨てられた橙色のバッチを手に取る。
shpは珍しく早朝に目を覚ましていた。
書記長室からはペンと紙の擦れる音が聞こえる。
「…あいつ、」
shpは橙色のバッチを胸ポケットにいれた。
自室に戻り、棚からciとの写真を取り出す。
shpは写真を撮るような人間ではなかった。
ciが思い出を残したいと駄々を捏ねて一緒に買ったカメラで撮った、ciとの写真だ。
全部、彼が変えてくれた。
夜中、寝れなかった自分のために猫の抱き枕を買ってきてくれた。
それからは、今でもよく寝れていると思う。
自分に合ったペンも選んでくれた。
バイクだって選んでくれた。
彼が自分を動かしていた。
新人の癖して、少しの間でここまでもの関係が築いていた。
そう、今となって気がついた。
ciが誕生日にくれたボールペンはインクが切れて棚の奥に仕舞われていた。
shpはそれを取り出した。
最近買ってきたインクを詰め替える。
そのボールペンでやった書類は、いつもより出来が良いとtnに褒められた。
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「焼肉にしよかな…。」
今日の晩飯はどうしようかと悩んでいると、皆でよく行く焼肉屋が目に入った。
行事や、めでたい事があるとよく行った。
誕生日やクリスマス、戦争に勝利したとき。
何回行っただろうか。
ciはサイフの中を確認しながら、店に近づいた。
その時だった。
「おい、用意は出来たか。」
「ああ、今日来るらしいぞ。」
店の後ろで聞き覚えのある声が聞こえた。
ちらりと見てみると、ciを愚問した男と、ciを捕まえた男がいた。
カバンの中には嫌な色をしている毒薬が。
そうして、遠くから近づく声にciは振り返った。
幹部だ。
ゾロゾロと、国民に祝われながらやって来た。
なるほど、そういうことか。
ciは男らに近寄った。
「なあなあっ、久しぶりやね。」
「あ?誰だこいつ。」
「分からん??ふはっ、まあそうよな。というか俺、お前らのせいで幹部から追放されたんやけどー。」
そう言うとようやく気がついたらしく、腕を後ろで縛られた。
「お前、ciか。」
「そーです。へへっ、全然ちゃうやろ??」
「ふんっ、髪も上の方が少し水色になってきてるぜ。」
「そーなんよぉ、今夜また染めよう思ってんけど。お前らがいたからさあ。」
男らは毒薬を見せた。
「俺らが何をしようとしているか、お前は分かるだろう。」
「うん、分かるで。」
「どうだ、お前は裏切られた身としてどうしたい??」
ciはにやりと笑って、男を足で蹴飛ばした。
縛られていたがそれをzmに教わった方法で抜け出す。
「ふっは!!雑魚!!俺、これでも幹部やぞ!!ちょっと舐めすぎちゃう??」
ケラケラ笑っていると、カッと顔を真っ赤にして殴りかかってきた男を避ける。
「あーあー!!俺、決めてんねん!!裏切られたとしても、アイツらを見守るってな!!」
「そうか、そうできるといいな。」
突然後ろから低い声がした。
咄嗟に振り返ろうとするが、口元に布が押し付けられてしまった。
少し湿っていた。
すぐに理解した。毒薬だと。
ツンとした匂いが鼻に入り、ふんわりとした感覚になる。
「選べ、幹部を裏切るか、自分を裏切るか。」
ciは残りわずかの力で後ろの姿見えない人間を殴ろうとする。
「なるほどな、おいお前ら。こいつに幹部全員分の毒薬を飲ませろ。」
「うっす!!」
ゾロゾロと近寄ってくる。
力はもうない、抵抗ができない。
無防備に開かれた口に嫌な色の毒薬が流される。
ごくごくと、従って飲み込む。
「良かったな、お前は幹部を救ったさ。まあ、もうお前は壊れるだろうがな。」
視界が白黒にチカチカとする。
バタリと、冷たいコンクリートの地面に倒れ込んだ。
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「tn様ぁ!!」
「os様っ、この前はありがとうございました!!」
国民に囲まれながら、道を進む。
その中、shpだけ俯いていた。
「…shpくん、大丈夫??」
utは、shpの丸まった背中にぽんと手を置いた。
「…はい。」
「食欲ない??んなら、僕と抜けようや。焼肉食べれるテンションちゃうくてさ。」
「…そうします。」
utはknの肩を叩き、そう伝えたあと、shpの手を取り、列から出た。
「あれ、shp様??ut様??」
「ちょっとお買い物〜。」
utは国民にへにゃりと笑い、手を振った。
grらが焼肉屋に入ったあと、集まっていた国民はバラバラと去っていった。
執着しないのがルールである。
utとshpは小さなお店の外にあるベンチに腰をかけた。
「…ci関連??」
「…はい。」
「だよね、僕も。」
utは珍しく煙草を持ってなかった。
ぼんやりと夜空を眺めて言った。
「なんか変な感じ。もう軍団じゃないねんもん。だって、僕とshpくんだけやんか。それはペアになってまう。」
「…、ci。」
そんな時だった。
焼肉屋の近くの道から男が3人ほど出てきた。
shpは1人、見覚えのある男がいた。
「…あいつッ、!!」
「ぁえっ?」
「あの男、ciを愚問してた男っす!!」
「え、な、なんでここに!!」
shpはutの話を聞かずに、男に駆け寄った。
「アンタなんの用や。」
「これはこれは、ciを助けに来た哀れなヒーロー様。」
不気味な笑顔を向けられる。
そして、手がshpに触れようとした。
「触れんでもらえますう??」
utがその手を払って睨んだ。
「ふふっ、だがもう遅いのだ。」
1つ声の低い男が前に出てutを睨み返した。
「この国の情報は知っている。焼肉屋に幹部棟へ繋がる隠し通路があるのだろう??ciが吐いてくれたさ。」
「…は?何言ってんすか」
「は?」
突然、頭のおかしな事を言われutとshpは顔を見合せた。
「はあ、すっとぼけも無駄さ。ciが吐いていたからな。焼肉屋に隠し通路があってそこから幹部棟に行けるってな。」
「…隠し通路なんてないけど。」
「………ま、まさか。」
男は歯を噛み締めた。
「おい、お前ら!!逃げるぞ!!」
「うす!!」
男ら3人は走っていった。
突然の思いもしなかった行動に、shpもutも動けなかった。
「な、何言ってたんやろね。」
「さあ??毒薬作ってる国やから、頭おかしいんちゃいます??」
それとも。
shpは青ざめていった。
utは慌てて、背中をさする。
「…ciが、W国じゃない嘘の情報を吐いた、とか。」
「…!!」
utがインカムを取り出そうとすると、shpが歩き出した。
「shpくん…??」
「…これ、」
先程、男らが出てきた道にメガネが落ちていた。
それは確かにciのメガネだった。
「…今すぐ探そう。皆には僕から伝えるわ。」
「頼みます、ワイは行きますね!!」
「おう、気をつけて!!」
shpは抱えていたヘルメットを被り、街を捜索し始めた。
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聞こえないはずの声が聞こえてくる。
自分を責めて、自分を蹴落として。
怖くて怖くて、寒くもないのに震えてしまって。
小さく身体を丸めても震えは止まらなくて。
今も、どこかで自分を監視してるんじゃないかと、不安になってまた走って逃げて。
転けたって、足の裏から血が出たって、怖い物からは逃げられない。
まるでそれは渦のようで、自分を取り込んだ。
目を閉じれば、なんとも言えない黒色が広がる。
その中に、ぽつりぽつりと色とりどりなアイツらが入ってくる。
それが嫌で怖くて見たくなくて。
だからといって、目を開けば現実で。
もう全てが嫌で。
どうすれば自分は解放されるのだろうか。
震える身体でなんとか前に進む。
道が見える限り、それは逃げれるから。
片腕を進めて、ぷらんと垂れた。
ちらりと前を確認すれば、そこは崖であった。
ここから落ちれば全てが終わるのだろうか。
いやいや、分からない。
未来なんて分かりやしない。
だからこそ、自分は生きるのじゃないか。
それでも、生きるのは怖い。
未来を見るのはもっと怖い。
過去に呑まれるのも怖い。
じゃあ、どうすれば良いのだろうか。
全てが怖くなってしまった時、初めて自分は死んでも良いって思うのではないか。
いやでも、死ぬのは怖い。
生きるのも怖い。
もう、何もかもが怖い。
ずるり。
考えれなくて、その間にも身体は崖の下へと傾いていく。
髪の毛が重力に従って下にぱらぱらと垂れる。
空は何色だったか。
それすらも忘れてしまいそうになった。
空気の匂いを思い出したくて。
足に力を入れてみた。
ぐらり。
綺麗な橙色の夕焼けが次第に紫色に変わりゆくこの時間。
空に1人の男が浮かんだ。
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「…ッ!!」
遠くで見える、あの身体に足を速める。
ふらふらとしていて、危ない。
早く掴まなくては。
shpは息を荒くして駆け寄った。
バタンと倒れ、崖の下へとずるずる落ちていくのがクリアに見えてきた。
shpも地面に倒れるように飛び込み、腕を伸ばした。
そして、それを掴んだ。
ciの身体は完全に落ちてしまった。
だが、shpが繋いでいる。
shpは慌てて引き上げようとするが、ciは関係なしに落ちていく。
shpの上半身も、崖の下へと向かった。
shpはインカムを繋げ、皆に助けを求めた。
その名を呼んでも、ciは反応しなかった。
意識を失っているのだろうか。
後ろから慌ただしいバイクの音が聞こえてきて、ほっと息を着く。
青髪の彼は、地面にぺっと煙草を吐きこちらに駆け寄った。
shpの身体が空に重なる時。
utはその手で掴んだ。
安心してくれ。
後ろには相棒だっているさ。
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「shpくん、大丈夫…??」
「はい、ワイは平気です。」
自室から出てきたshpの肩に手を置き、utは尋ねた。
「今からciん所行くん??僕もー。」
「皆はもう行ってるんすか。」
「らしいで〜。」
utはshpの歩幅に合わせて歩き出した。
2人の呼吸音が廊下に響いた。
『医務室、立ち入り禁止にする。』
突然、snの声がインカムから届いた。
2人は顔を見合せ、声を上げた。
「なんでや!?何があってん…!!」
『分からない、でもciは俺たちを酷く拒んでる。触るのも、近寄るのも、声をかけるのだって暴れるように拒否するんや。』
「そ、そんな…」
『診察は、ciが寝たら、もしくは俺が気絶させたら。薬を盛られたんかもしれない。』
「…、分かった。shpくん、部屋戻ろ。」
「…はい。」
shpは俯いてしまった。
utは不器用ながらも、shpの頭を撫でた。
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ガシャンッ!!バリンッ!!
扉から出てきたのはボロボロになったsnだった。
「いてて…、」
「どうや、やっぱ無理そうか。」
「無理やな…、めっちゃ抵抗する。」
tnはsnの肩を掴んで問いかけた。
snは、ciの診察を試みたが、やはり無理らしい。
「あの子、ほんま何されたんよ…。」
「何されたよりも、きっと私たちが傷つけたのもあるのでは…??」
後ろで座っていたemが立ち上がった。
「ciくんの話を聞かずに、追い出しましたし…。」
「…せやな、俺は、謝らないと。」
「それは皆もだよ。気にしないで。」
tnは壁にもたれて俯いた。
ciの笑顔がまた見たい、と小さく呟いた。
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「…失礼するね〜。」
夜中になって、こっそりとciの病室に入るsn。
後ろにはshpが着いてきた。
「そこで大人しくしてて、俺は診察するから。」
「はい。」
shpはciの寝ているベットの傍にしゃがんだ。
snは素早く診察を済ませた。
「…血液検査やりたいけど、起きちゃうかな??」
「…ワイが抑えときます。」
「お願いするね。」
shpはciを抱き締める形で拘束した。
snは注射器を腕に刺し、血を抜いた。
すると、案の定ciは目を覚ました。
「…ぅ、ッ!?ぁ”ッ、やだッ、やだやだやだぁっ!!」
「待って、暴れないで…!!」
「ci!!」
shpは力を大きくする。
ciはぼろぼろと涙を零して動けなくなった。
「やだぁッ…ひぃっ、ふッ、や、だぁッ、、!!」
「大丈夫、大丈夫…。」
「…よし、痛かったね、ごめんね。」
snは注射器を刺していた場所に絆創膏を貼った。
「shp、そこ任せてもいい??すぐ戻る。」
「はい。」
snは注射器を持って部屋を出た。
shpは力を緩めようとしたが、すぐにciが暴れそうになったのでやめた。
「ci、暴れんで…ワイやで。分からんの??」
「やだッ、やだぁッ…!!こわいッ、こわいこわいッ…!!触んないでやッ、shpぃッ…!!」
「…え、??」
記憶が曖昧になっているのならまだしも、shpがshpであると理解してここまで拒否をしている。
嫌われている?
いや、にしては反応が大きすぎる。
「…ワイが、嫌なんか、??」
「ここから出してぇッ…!!ごめんなさいっ、もう悪いことやんないからッ、ひぐッ、ふぅっ。」
「…、ごめんな」
shpは拘束し続けた。
ciは泣き続けたままだが抵抗は徐々にしなくなった。
「はぁッ…ふッ、、ぐすッ、や、だぁ、」
そんなとき、ようやくsnがきた。
shpを手招きするので、shpはciを離して扉へ向かった。
ciはすぐに布団の中へ潜ってしまった。
「どうでしたか、??」
「うん、やっぱりや。毒薬を盛られとる。それも、沢山。」
snはshpに書類を渡した。
shpは静かにその書類に目を通した。
「前さ、ciが持ってきた情報あったでしょ??その毒薬だと思われる。精神崩壊剤、幻覚幻聴などの薬物、手足を痺れさせる薬…ciが言ってたヤツほとんど投与されてる。」
「…、そんな、」
「その中でも精神崩壊剤が厄介だ。今、それの症状で俺たちを怖がってしまってる。だからね、決して心から嫌われてるわけじゃない。shpも、悲しまないで。」
「…、はい」
snは優しくshpを撫でた。
shpは素直にそれを受け入れた。
「…これ、渡せたら渡してください。」
shpは胸ポケットから橙色のバッチを取り出した。
「え、これ…。」
「ワイは、いつだってアイツを受け入れるって…伝えてください。」
「…それはshpの口から言いな。」
「無理っすよ、嫌われてるんすから。」
「薬に負けちゃうくらいの友情でいいの??」
「…、」
「っね、shpから伝えた方が、きっとあの子は喜ぶ。」
「…でも、どうすれば、」
shpはバッチを持ったまま、俯いた。
「言っておいで、辛かったらすぐ戻ってね。大丈夫やで、俺らもおる。」
「…はい。」
───────────
「…ci、話を。」
「来んなッ…!!」
枕を投げられ、咄嗟に避ける。
ciは瞳を震わせて警戒心剥き出しだった。
「…お願い、話だけでも聞いてや。」
「…ッ、悪口なんて聞きたないッ、!!」
今度は花瓶に手をかけた。
shpはその手を止めようと近づいた。
すると、ciは怯えたように花瓶から手を離し、布団に潜ってしまった。
「…ごめん、話だけ、」
「…ひぃッ、、、ぅ、」
shpはciの傍にしゃがみ、橙色のバッチを近くの机に置いた。
「…ごめんな、ワイはciの友人で1番仲が良いなんて、思っていた。なのに、お前を守れなくって傷まで付けて。結果的に、嫌われちゃった。」
ちらり、とciの瞳がshpに向く。
「悲しい時、泣き出しそうになった時、ut兄さんがいつも慰めてくれた。凄く落ち着いたわ。ほんまに。ワイはこれが無いとダメなんやなって、思った。」
じんわりと膜の張った目をciはじっと見ていた。
「なのにさ、お前はそれをされなかってん。慰めて欲しいし、守って欲しいって、思ってたんだろうなって。それはワイがするべきことなのに、できなかった。悔しかった。今までの思い出が一瞬で崩れたんじゃないかって。」
ぽつぽつ、と落ちていく涙に、ciは布団から体を出した。
「お前が良くても、ワイは耐えられへんかった…。ワイにはお前だけやのに、お前はワイかんてただの1人の人間で。そんなお前が、嫌いって思ってしまうそうで、でもそれは間違いだって。」
「こんなワイを嫌ったっていいよ。それで、お前が楽になれるのなら。
でも、ワイはいつだってお前のそばに居たいし、お前を受け入れ続けたい。」
「…仲直りだって、したい、」
ドバっと溢れそうになった涙に、ciはshpに抱きついた。
ふわっと懐かしい匂いが広がった。
「ごめんなさいッ、ごめんなさいッ、」
「ciッ…、帰ってきて、」
「…うんっ、うんッ、、」
机から落ちそうになったバッチを、shpがキャッチした。
それをそっとciに差し出す。
ciは涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔面でふにゃりと笑い、それを受け取った。
「おかえり、ci。」
「ただいま、shp。」
いや、ぐしゃぐしゃの顔面はshpもなのかもしれない。
そして2人は、暖かく「ごめんなさい」を言い合った。
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「勝利したゾ!!よくやった諸君!!」
パチパチパチッ!!
と、明るい拍手が国内を包み込む。
総統の横には書記長が、その後ろには幹部が、そしてその後ろには隊員が並んでいて、
その前には涙を浮かべていたり、または笑っていたり、沢山もの国民が立っていた。
「さて、今回我々を勝利に導いたMVPを紹介しよう!!」
総統は手を大きく広げた。
国民の視線は総統の横に向けられる。
「ci、そしてshpだ!!拍手で迎えよう!!」
パチパチパチッ!!
先輩達に背中を押されながら総統の隣に立つは、後輩と新人であった。
新人は初めてのことに震えていたが、後輩の暖かい手が背中を支えてくれているので、次第と明るい笑顔が溢れてきた。
「我々はこれからも進み続ける!!どうか、これからもよろしく頼んだ!!」
総統の一言でまたワッと国民が声を上げる。
書記長は、後輩と新人の前に行き、紫色と橙色の新品のヘルメットを差し出した。
「2人は1週間の休暇をやる。一緒に遊びに行っといで。」
その発言に2人は顔を見合せた。
すると、後ろから先輩が何かを持ってきた。
「2人ともー!!shpくんはshpくんのバイクを持ってきたで!!ciは特別に俺のバイク!!」
ドヤッとした顔を見せる。
国民は笑いだした。
新人が恐る恐るその先輩のド派手な水色のバイクに乗ろうとすると、後輩が手を引っ張った。
「ci、ワイの後ろ乗ってぇや。」
「えっ、いーの!?」
「えッ、俺のはっ!?」
後輩のバイクに2人が乗った。
「ちょちょ、もう行くんか!?待て待て!!今から帰って会議を…!!」
書記長が慌てて駆け寄ろうとする。
「じゃ、ちーす!!」
「まったね〜!!!!」
バイクは勢いよく走り出した。
舞う煙にけほけほと咳き込む。
「あいつら…!!ほんま、んもうッ!!」
「はっはっは、tn氏許してやれ。」
総統は小さくなっていく2人に手を振った。
遠くへ行っても、2人の悪い笑い声はまだ聞こえているように感じる。
んもう頑張った…ようやく終わった😇
3日くらいかかりました疲れた!!
終わり方雑でごめんなさい😭
新人/組の予定はなかったんですけど、がっつりになってしまいましたね💦
コメント
28件
もうほっっとに最高…😭✨✨ 最近またココアちゃんの過去作品見てるんだけど、全部好きすぎてやばいよ!!笑
投稿お疲れ様です!! いやほんと めっちゃ感動しました!!涙ポロポロ流しました!笑 てか、友情ってやっぱいいですね〜!
うわあああ…なんかもう、全部凄い。言葉で表せないほど凄いのほんとに尊敬🥹🥹やっぱり安土桃山時代から生きてた…❓