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「ふざけるなぁっ!」
机を平手で打ちながら上官は叫んだ。
こいつの顔もよく知らないが、なぜここまで叫ばれるのかわからない。
顔を赤らめ、指差しながら喚き散らしてくる。確かに上官の命には背いたが、結果は良かったじゃないか…
「アナベルの話」
塹壕の中で銃声が飛び交い、上では飛行銃 士(スカイガンスリンガー)たちの砲撃が響く。
私も飛行銃騎士の1人であるが、索敵中に飛行装置を破損させ、敵影の伝令をしながら落ちたわけである。
これくらいなら我ながらよくやったと思うが、これぐらいの成果では休ませてもらえないらしい。前線で銃を持ち、交戦せよと周りの戦火が私に伝える。大の字の開いた体が私に命令する、もう休めと。しかしそうもいかないのが戦場なようだ。一瞬轟きが止み、静寂を取り戻す。ここは森のようだ。
横に落ちた銃剣を持ち、前線の方角に体を這わせて動く。節々が痛む。あれだけの高さから落ちたのだ。敵の味方の区別もつかないが、前線に向かう。泥が染みた顔が前を向いてくれた。目の前で戦場が広がっているのだ。進むしかないだろう。
前線にいそいそ進む間、身の上話でもしよう。私はアナベル・バーン・シュベルトスタイン。1小隊の小隊長だ。元々ただのヒラだったのだが、戦場というものは悲しく頭が簡単に撃ち抜かれる。というのも小隊長になったのは墜落直後のことだ。敵影を伝えながら、昇格もした。ただもう私は死んだことになっているのだろうが。次はヒューイが私の代えになっていることだろう。今バーンズ帝国と私が狗となっているフーンバルト共和国が戦争している真っ只中だ。私は3年前に派兵され、最前線のフェイド自治区(バーンズ帝国とフーンバルト共和国の教会に位置する難民自治区)に赴任となった。難しいことはわからないが、戦争など利権争いでしかない。
そろそろ森の端が見えてきた。これくらいにして前線に復帰しよう。
「アナベル・バーン・シュベエルトスタイン3兵、前線に復帰します。一時墜落し、気絶しておりました。」
「シュベルトスタイン3兵よく生きていた。身を粉にして共和国に媚を売れ。死んでも2階級特進だ。死ぬ時は2大兵になれるぞ!行け!共和国の血となれ!」
「肉となれ!」
くそったれ、血にも肉にもなってたまるものか。生きて帰り、上官を殴りつけてやる。