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※ネタバレを含みます。
震える弟を、シエルは優しく自分の胸へと寄せえ、艶やかなダークブルーの髪を優しく上から下へと撫でると、弟の喉元からは何度もヒュッという音を鳴らしながら、一生懸命に自身の体内へ酸素を取り込もうとする弟の姿に、シエルは*「弟が僕を頼っている」*という高揚感と、ずっとこのままで、悪魔や葬儀屋に僕の最愛の弟をこれ以上見せたくもないし、話させたくもないという 独占欲が、奥底から溢れだしていた。
*
「・・大丈夫だよ、もう怖い大人はいないよ。」
優しい声でそう囁くシエルの顔には、少し困った笑みを浮かべていた。
弟は魔女の森で人狼様の瘴気に当てられてしまったようで、そこの領主様が応急処置をしたようだが、対応が弟の トラウマ を呼び起こしてしまったようで、そのショックで一時的に目が見えなくなっていたのだ。
「僕なんかより・・シエルが・・・」と、毛布にくるまりながら呟いている弟の頭へと手を伸ばした。
「僕はここにいるよ。*ずっとお前のそばにいるよ。*」
僕が亡くなってから、弟は本来しなくても良い女王の番犬と伯爵の仕事を僕が帰ってくるまでしていた。
弟は昔からロンドンでおもちゃ屋を開きたいと言っていて、当時の僕はお父様とお母様に「伯爵ではなく自分もロンドンでおもちゃ屋をしたい。」と泣き喚いた日もあった。その日は両親を今までに無いくらいに困らせてしまった記憶がある。まぁ、そんな昔話は置いといて、今はこの愛しい弟をどう慰めようか・・・
*
「おや伯爵、随分長く楽しんだようだねぇ」ヒッヒッヒと胡散臭く笑う葬儀屋に、シエルは「うるさい。」と言って冷たくあしらうと、ソファーにゆっくりと座った。
「それで、状態はどうだったかい?」
分かっているはずなのにわざわざ俺に聞いてくる葬儀屋は、ニヤニヤとした表情で聞いてきた。
「・・変わんなかったよ。」
*
to be continued