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次の日。そらは昨日の出来事を思い出しながら、
自分の手に息を吹きかける。
「本当に…あれ、夢じゃないよな。」
学校へ向かう途中、
そらは道端のしおれた花に触れてみる。
パァッと花びらが色を取り戻し、
つぼみがひらき、昨日より若い花になったように見えた。
「…やっぱり、本物だ。」
⸻
◆そして、そらは決めた。
“今日は、ちょっとだけ遊んでみよう。”
⸻
まずは学校の裏庭。
古い遊具やベンチがある、誰もあまり来ない場所だ。
• くたびれたジャングルジムに触る →
✨光って新品みたいにピカピカ!
• 落書きだらけの机をなでる →
✨落書きが消えて、表面つるつる!
• 体育館倉庫のバスケットボールに触る →
✨表皮が張り替えたみたいにふっくら!
「……ヤバッ、気持ちよすぎ。」
そらは笑ってしまう。
能力を使うと、手のひらが少し温かくなる感覚がクセになる。
⸻
◆もっと遊びたくなる
放課後、公園へ。
そらは試す。
木の幹に指で触れながら、
「どれくらい若返るんだろう」と思い浮かべてみる。
すると――
木の表面のひび割れが薄くなり、
葉がより鮮やかに、枝が少し伸びた。
「思ったより…コントロールできるのかな?」
⸻
◆ついに“人間”で試したくなる
ベンチに座っていたおばあさんが、
腰を痛そうにさすっているのが目に入った。
もし触れたら、どうなるんだろう。
年齢が…戻っちゃう?若くなる?
その方が助かるのかな?それとも…危ない?
そらは手を伸ばしかけて、止めた。
「……ダメだ。まだやめとこう。」
けれど、その瞬間。
おばあさんの杖が地面に転がり、
転びそうになる。
思わずそらは手を伸ばし、
おばあさんの腕に触れて支えた。
ピカッ――
おばあさんの髪の一部が、
ほんの少し黒く戻ったように見えた。
「……あれ?今……?」
おばあさんは気づかず、
「ありがとうねぇ」と微笑んで去っていった。
そらの手は、先ほどよりもずっと熱かった。