テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「俺と結婚しろ 嫁になれ」
「へっ?」
この街の交番勤めになって早5年
だいぶこの街にも慣れ比較的平穏に過ごせている
今日もそうだった 特に大きなトラブルもなく日誌を書いていると小学生くらいの小柄な男の子が財布を拾ったと交番に届けに来てくれたくらいだ
で、その男の子にどこで拾ったなど軽く雑談も混ぜながら対応しているとさっきのあの発言だ ヨメ?夜目?…読め?
「……一応言っておくけど俺、男」
「見たらわかる」
「…一つ言うとさ、なんで俺が嫁なの?」
「俺が養うからに決まってるだろ」
「お、ぉ…」
かっけぇなおい
「だから嫁になれ」
あ、あれか、子供によくあるLikeの方の好きをLoveに勘違いしてしまったあれだろうな
「ん〜…まだほかのいい人に出会ってねぇだけだと思うぜ?」
こういう時はこう言っておけばいいだろ
「なら毎日来る」
「ん?」
「そんで毎日口説きに来る」
「へ?」
「ぜってぇ逃さねぇからな」
それ言う相手ミスってね?
ま、いつかは飽きるだろ
なんて甘い考えしてた昨日の俺 完全に子供の執着ナメてた
「おい、嫁に来る気になったか」
「…マジで来たん?」
「来るって言っただろ」
「いや、まぁ、言ってたけど」
「いや、まぁ言ってたけど」
「…名前」
「へ?あ、一ノ瀬」
脈絡も無く聞くから反射的に答える
「下の名前だ」
「四季だけど …これ教えてよかったんか?」
言ってから疑問に思っても遅い
「安心しろ 他の奴に教えねぇ俺が知ってればいい」
「…ありがと?」
そう言うと満足そうにした
口元は薄ら笑みをずっと浮かべているが目とかは全く表情変えないから単なる勘だけど
「真澄だ 覚えろ」
「あんまほいほい自分の名前教えるもんじゃねぇぞ?個人情報だからな」
「四季は教えただろ」
「あれは、なんというか反射的?」
てか、今しれっと四季って呼んだな?
「じゃあ一緒だろ」
「いや、そうじゃなくて…てかもう17時だしもうすぐ日も落ちるし家帰れよ」
「…明日も来るからな」
その宣言通り毎日毎日来た
「四季来たぞ」
「お〜…」
中学生になっても毎日来た
「おい四季嫁になれ」
「まだお前未成年だろ…」
ちなみに初めて来たときが小5だった
今気づいた これLOVEの方だ
中学を卒業して高校生になっても毎日来た
「おい四季いつ嫁に来んだ 早く来い」
「…飽きねぇな」
あれから思春期を通して口が悪くなった気がする
表情も変わんねぇ けど付き合いは長いので雰囲気で喜怒哀楽はわかる
結構わかりやすい
背も初めて会ったときから伸びたが低身長の分類だろう
「痛っ!」
「今失礼なこと考えたな」
あとそういうことを仕事にしたら?と思うほど心の中を当ててくる
真澄曰くわかりやすいらしい
ムカつく
そして何故か大学卒業後、
「四季 嫁に来い」
警察官になった
しかも 警部補で俺より役職上
「…なんで警官なったん?」
「逃さねぇためにはこれが一番早え」
「…一途すぎん?」
「知るか もう逃さねぇからな」
逃げるも何ももう捕まってんだよな
一方的な一途すぎる想いのせいで
414
101
コメント
1件
うわ、これめっちゃ好きなやつだ…!小学生の男の子に「嫁になれ」って言われて最初は子供の気まぐれだと思ってたのに、毎日通い続けて中学生、高校生、そして警察官になってまで追いかけてくるって、その執着心がもう愛そのものじゃないですか。四季も「飽きねぇな」って言いつつ逃げる気ゼロなのが微笑ましい。最後の「もう捕まってんだよな」でグッときました。続き、絶対読みたいです!