テラーノベル
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――レロの家。
玄関先で立ち止まったままのレロ。
裾を掴んでいたメロは、少し俯いたまま――
『……ふふ』
その声色が、ほんの一瞬だけ変わった。
「……?」
次の瞬間。
『……お兄様』
ゆっくり顔を上げたメロは、さっきまでの不安げな表情をすっと消し去り、
どこか 余裕たっぷりの笑み を浮かべていた。
『そろそろ……お気づきになりまして?』
「……え?」
レロが眉をひそめた、その直後。
メロは、頭に手をやり――
ぽん、と軽く引き抜く。
「……は?」
外されたのは、
ふわふわの白いうさ耳―― カチューシャ。
同時に、スカートの後ろから揺れていた尻尾も、
紐ごと外される。
「…………」
完全な沈黙。
『あら?
そんなお顔なさって……』
メロは、くすくすと笑いながら一歩近づく。
『ウサギ化が進んでいる、とか』
寂しがりやになっている、とか』
レロの目を真正面から見据え――
『全部、演技ですわ』
「……はぁぁ!?」
『ふふ、ふふふ』
メロは口元に手を当て、
もう隠す気もないほど 嬉しそうな笑顔 を浮かべる。
『お兄様、完全に信じていらっしゃいましたわね?
コンビニに行くのをやめるほど』
「ちょ、待っ……!」
『あぁ、驚いたお顔……最高ですわ』
肩をすくめ、勝ち誇ったように胸を張る。
『寂しがりやのウサギさんを置いていけない、
ですものね?』
「……っ」
レロは一瞬言葉に詰まり、
次の瞬間、額を押さえる。
「……やられた……」
『ええ、完・全・勝・利、ですわ』
メロはそう言い切り、
にこにこと、隠しきれない喜びを滲ませる。
『お兄様が、あんなに優しいお顔をなさるなんて……
少し、役得でしたわね』
「……性格悪……」
『あら、今さらですわ』
レロの袖を、今度は遠慮なく掴みながら。
『でも……』
ほんの一瞬だけ、声を落とす。
『……引き止めてくださったのは、本心でしょう?』
「……」
レロは視線を逸らし、ぼそりと。
「……それは……まあ……」
その反応を見た瞬間、
メロはまた満面の笑みを浮かべた。
『ふふっ……本当に』
――勝った、という顔で。
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