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ちょっと待て。
なんだ、このスペック…!
スライムにあるまじきだろう!
いや、今はスライムメイジか。
にしても…
そして、思いあたった。
そう、こいつは進化前…レベル32だった。
名前を貰ったダンジョンモンスターは、レベルアップ毎に各ステータスに+10の補正が貰える。
進化前の強さは保持したままレベルだけ1に戻ったんだな。
…なんて羨ましい!!
俺なんか元々レア度もまあまあ高いから、レベルアップに必要な経験値も高い。
レベル1に戻ったスラっちは、またサクサクとレベルが上がるだろう。
強さでスラっちに追い抜かれる日も近いかもな…。
もはやスラっちも充分に戦える。
しかも、スキル:開眼があるなら、実践に投入すべきだな。俺達は、スラっちを、新しいダンジョンのラスボスに任命した。
ついでと言っちゃなんだが、俺も高レベル向けダンジョンのラスボスをやらせて貰う事にした。やっぱり戦いたいし、さすがにスラっちには負けたくないしな!
ダンジョンのラスボスが決まったところで、経験値配分だ。昨日の残りと今日の分で、結構あるはずだ。
ゼロが配分してくれた結果、俺たちのレベルは…
ハク:レベル27
ルリ:レベル21
ユキ:レベル20
スラっち:レベル8
マーリン:レベル10
ブラウ: レベル8
…絶妙なバランスで配分してきた。気を使わせてしまったかも知れないと反省する。ラスボスとして、しっかり働いて返す事を誓う。
働くぜ!
俺がラスボスとしての決意を固めたその時だ。俺の隣にいたユキが、怪しく光り出した。ユキも唸り始め、苦しそうにしている。
「ユキ!」
ゼロが駆け寄る。
ひときわ明るい光が走ったかと思うと、そこにはユキの代わりに、ブラウよりも小さい子が立っていた。
「えへへ…変身出来た。これで…皆とお話できるね…」
えぇ~~っ!?
幻獣って、変身出来るのか!?
驚く俺達を満足そうに見て、そのままユキは気を失った。同時に姿も白いワンコに戻る。
俺達はしばし呆然としてしまった。
変身は気力なりを大量に消費するのかも知れない。しばらくはムリさせないようにしないとな…。
ユキをベッドに運び、寝かせた所で、いつものデカい声が響いた。
「よう!なんだぁ?まぁた何か増えてんじゃねぇかぁ?」
けたたましいブザーと警告アナウンスを引っさげて、カエン様の登場だ。
今日は王様や王子様との作戦会議が忙しいだろうから、来ないだろうとたかをくくっていたが…意外とマメな男だ。そうでないと、何百年も王家の守護龍なんか、務まらないのかも知れないが。
そして例のごとく、ブラウは怯えきって部屋の角にいる。
マーリンはビックリしているが、ブラウほど過剰には反応していない。やっぱり人間という種族は鈍いのかもな。
面倒なので紹介はゼロに任せ、案の定ブラウは気絶し…
なぜかマーリンは、目をキラキラさせて、「凄いですぅ~っ!火龍ですかぁ~、カッコいいですぅ~!」と感動している。鈍いって最強だな。
ブラウもベッドに運び、色々あり過ぎてすっかり遅くなってしまった晩メシを食いながら、お互いに王子様が帰ってからの事を共有する。
王子様と王様は、ユリウスと兵士長、騎士団長まで巻き込んで、どんな練兵場にするかを検討しているらしい。
俺達も、王子様が帰ってからの数時間で起こった、様々な出来事をカエンに共有する。
カエンがまず驚いたのは、ユニークチケットでゲットした、錬金釜だった。
「お前ら、とんでもないモン手に入れてるなぁ…」
呆れられた。
なんでもこの釜は、一般人は一生かかっても手に入れる事ができない、幻の逸品らしい。
普通は錬金釜と言っても、金属用、薬品用、生物用、植物用など、細かく用途が決まっていて、それ以外は入れられないし、反応しない。
でも、この釜は節操なく、何でも入れられる。なんなら、金属と薬品を合成する…という荒技までやってのける、超特級品らしい。
当たり前の話だが…失敗も多く、危険な合成、人道に反する合成が後を断たないため、今ではこの釜自体が作られておらず、幻と言われる釜なんだそうだ。
さすがに長生きしているだけあって、知識は豊富なんだな…。
しかし、その発行禁止釜、ゼロとマーリンに好きにさせとくのは、ヤバかったりしないだろうか…。
俺はついルリに目をやる。…ルリも渋い顔で首を横に振っている。
だよな。
俺とルリは、出来る限り錬金部屋を監視しようと頷きあった。
そしてもう一つ、カエンが食いついた話がある。
スラっちの進化と超ステータスだ。
もう、カエン大爆笑!
「お、お前達っ…最高…っ!何やってんだ…っ」
ひーひー言いつつ、腹を抱えて笑っている。うん、まぁ…そういう反応だろうとは、思ってたけどな。
しばらく笑っていたカエンは、涙を拭きながら立ち上がると、周りを見回す。
「そんで?そのカッチョいいスラっち君は、どこに居るんだぁ?」
あ、そういえば…。
探してみると、部屋の角で気絶していた。きっと、カエン登場に伴い気絶していたんだろう。
気付かずに可哀想な事をしてしまった。
ゴメンな、スラっち。
…と、後ろから手が伸び、スラっちを取り上げられた。
カエンは可哀想に、スラっちをボールの様に手の上で跳ねさせている。気絶中のスライムメイジに、酷い仕打ちだ。
さすがに気絶から覚めたスラっちに、カエンは一言。
「よう、スラっち。進化の褒美に、俺様が直々に火炎系魔法を教えてやるぜぇ!」
スラっちがビカビカ光る。
今夜の生徒はスラっちらしい。
その日俺は、久しぶりに気持ち良く安眠した。