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竜はるでわたしの大好物、喧嘩パロです


ピクシブで載せようとしたけどやめたやつです、いわゆるボツ作品


推しと推しが喧嘩するほどいいものはないと思ってます。ではどうぞ








竜はる


喧嘩











「だから、あれは部下のミスなんだって!!なんで俺を攻める必要があるんだよ!!」


「たとえ部下のミスだったとしてもお前の責任でもあんだろ!! 」


「ならお前の責任でもあるだろ!!お前だって俺と任務だったんだから!!」


なんでこんな言い合いになっているのだろう。酷く怒鳴り合いながら内心ではなんでこうなったんだ、という冷静な疑問だけが出てきていた。

喧嘩の理由は単なる「任務のミス」。部下の判断が甘く、今日の任務が大失敗で終わってしまったのだ。結構大事な任務だったから、俺はイライラした。

その部下の失敗をフォローしようとしたのか、竜胆が「次は上手くいく」という発言をし、俺はもっとイライラしてしまった。こんな大失敗で終わったのに、よくそんな呑気な言葉を発せられるな、と腹が立ってしまったのだ。そこから俺と竜胆の喧嘩が始まった。





数分経ち、言い合いがヒートアップしていく。もうすぐで言い合いから殴り合いに変わりそうだ。でも、喧嘩をしていても俺は此奴のことが好きだし、もし此奴に殴られたとしても、俺は此奴に殴りかかることはないだろう。殴りかかったとしても、本能的に顔以外のところを殴ると思う。俺の大好きな此奴の顔に傷ひとつつけたくない。もちろん他の部分にも傷をつけたくはないのだが。殴り合いで抵抗しないのはさすがに俺が死ぬ。



予想通り、言い合いが殴り合いに変わりそうになったところで蘭が止めに入る。


「ストーップ、竜胆も三途も一旦落ち着こ?自分の恋人に殴りかかるとか1番やっちゃダメだよ」


蘭の言葉は冷静で、真っ直ぐだった。だが、俺はすぐに顔をそむけて、口をつぐんだ。言ってしまった。「お前なんか大嫌いだ」──今はその一言を後悔している。


そのまま部屋を出て行く竜胆を見て、心の中で何度も繰り返した。「謝りたい」でも、どうしても言葉が出ない。こんな風に言ってしまった自分が許せない。竜胆はどう思っているだろうか?だが、今更後悔してももう遅い。取り返しはつかないのだ。






俺と竜胆は同棲している。喧嘩して距離を置こうとしてもどのみち家で会うのだ。


「はあ〜……っ」


家に帰ったら竜胆がいて、気まずい空気が流れるのが嫌でため息をついてしまう。音がしないように慎重に鍵をあける。…だが、竜胆の靴がなかった。いつもこの時間には帰ってきているのに。


家に帰ったとき、やっと見つけたのは竜胆の靴が無いという事実だけだった。思わず一人で呟く。


「俺のせいだよな」


だけど、答えは来なかった。期待していたのは、いつもの温かい言葉ではなく、ひどく冷たい現実だった。




竜胆に会わないまま2週間も経った。さすがに不安でいっぱいだし、寂しい。抱きしめてほしい。頭を撫でてほしい。たくさん愛情表現してほしい。寂しさのあまりそんなことしか考えられなくなっている。


いつもなら、喧嘩しても翌日には普通に会話して、また一緒に過ごす。だけど、今回は違った。竜胆の態度が冷たく、心の距離がどんどん広がっていくのがわかる。謝りたいけど、どうしたらいいのかわからない。俺が言ったあの言葉は、竜胆にとってどれほど傷つけるものだったんだろう。竜胆だけに限らず、あの言葉は人を傷つけてしまうものなのに。


そもそも、この喧嘩自体、竜胆は100悪くないのだ。だって、部下のミスなんだから。竜胆は優しいから。優しいから部下のフォローをしてくれたのに。



謝ったら許してくれるかな。でも愛想もつかれているだろうし、謝ったところでなにも変わらないと思う。

またしても、俺の心はざわざわとした。胸の中で、何度も竜胆に会いたいと叫んでいる自分がいる。その声を押し殺すように、寂しさを感じながらも、何もできずにいる自分に苛立ちを覚えた。



我に返り、気付いたら俺は涙を流していた。でも、泣きたいのは竜胆のほう。理不尽に責められ、大嫌いと言われ。俺は泣くべきじゃない。そう思ってても、涙が溢れ出てくる。会いたい。胸の奥がずっと空っぽのままだ。




夜中の2時半。玄関からがちゃっという音が聞こえ、ビクッとした。竜胆だ。


やっと会える。会えるチャンスなのに、勇気が出ない。なんで、なんでだよ。

この部屋から出たらすぐに竜胆に会って話せるのに。100%ないかもだけど、ちゃんと謝ったら許してくれるかもしれないのに。





竜胆はシャワーを浴びに行ってしまった。あと残されているチャンスは、竜胆が寝室に行ったときだけだ。このときに全てをかけようと思う。



がちゃ、と寝室のドアを閉める音がした。もう今しかない。これで話して許されなくても、最後に大好きな竜胆に会って話せただけいい。そのくらいの覚悟で部屋から出て、寝室のドアをあける



「…り、んど」



もちろん無言だった。折れちゃダメだ、そう思いながら再び名前を呼ぶ



「竜胆…」



「……………何」



今まで俺に向けたことのない冷たい声で返事をされた。空気が張りつめた。竜胆は顔をそらしたまま、俺の存在を見ていないようだった。

本当は気付いていた。怒ってるんじゃなくて、傷ついてるって。だけど、それを見たら俺が壊れそうだったから、わざと無視した。



「……」



声が出ない。誰かに声を出すのを止められているような感覚がする。



「用ないなら出て「ごめ、なさい…!!」



竜胆は驚いたような目でこちらを振り向く。

瞬きでもしたらすぐに溢れだしてしまいそうなほど目に涙が溜まっている。我慢、我慢…と思いながら言葉を発する。



「ほ、ほんとは、だいすきで、嫌いじゃない…、竜胆がやさしいから部下のこと慰めてくれてたのに……おれ、イライラしちゃって…ごめんなさい」



子供のような口調になった。ちゃんとした言葉で話して向き合わないとダメなのに。これじゃより一層竜胆に嫌われる。

限界でぺたん、と床に座り込んでしまう。これ以上竜胆の視界に入ったらまた嫌われるような気がして限界だった。



「わ、わがままだけど、捨てないで、」



竜胆がばっと起き上がり、何事かと思った。すると、竜胆が口を開く。



「……捨てるわけないじゃん。春千夜、そんなに1人で抱え込んでたの?」


「ちがっ、」


「違くないでしょ。そんなこと考えちゃうぐらい不安だったんだろ」



竜胆の声は、優しさを含んでいるのに、どこか遠かった。もう一度手を伸ばせば届く距離にいるのに、心だけ少しだけ遠くにある。そんな感じがした。


俺は何も言えず、ただその声にしがみついた。震えた声で「ごめんなさい」と繰り返して。気付けば、涙が止まらなかった。


 

「……ほんとはさ」



ぽつり、と竜胆が呟いた。



「お前が大嫌いって言ったとき、本気で終わったと思った。何年一緒にいたとか、どうでもよくなったくらい、一瞬で心が冷えた」



その言葉が、ぐさりと胸に突き刺さる。竜胆の声は怒ってないのに、だからこそ、余計に痛い。



「でも、あのあとも毎日、お前のこと考えてた。声が聞きたくて、会いたくて、だけど怖くて戻れなかった」


「……ごめん」


「謝らなくていい。謝らなくていいから、次はもう俺を突き放さないで」


 


「……突き放したくて言ったんじゃない。怖くて、叫ぶしかなかった」


 


竜胆の手が俺の髪に触れる。優しくて、くすぐったくて、懐かしくて。こんなにも温かい人を、俺はあんなにも冷たく傷つけてしまったんだ。そう思うと、涙がまたこぼれた。


 


「春千夜。俺、まだちょっとだけ怖い」


 


「……うん」


 


「でも、お前と一緒にいたいと思ってるのも、変わらない。だから、すぐに前みたいには戻れないかもしれないけど……それでもそばにいてもいい?」


 


俺は黙って、うなずいた。言葉を交わすより、うなずくことでしか答えられなかった。


 


その夜、俺たちは同じベッドで眠った。でも、繋いだ手はどこか不安定で、指先が震えていた。


それでも、繋いでいた。手を離さなかった。 


それだけで、今は十分だった。


 


 


――朝になっても、まだ空気は重かった。


竜胆は静かに目を覚まして、俺の顔を見つめた。


「……目、赤いな。ちゃんと寝れなかっただろ」

「お前も赤いし」


微笑んだはずなのに、涙がにじむ。苦しくて、でも安心してる、そんな不思議な気持ち。


 


「竜胆」


 


「ん?」


 


「……好き、だよ。だいすき。」


 


「…俺も。なによりもだれよりも春千夜を愛してる」


 


この気持ちは、たぶん本物だ。


たとえ完全には戻れなくても、少しずつ修復していけたら。それだけで、いい。




「なあ、もう1回わがまま言っていいか」


「いいよ。なに?」






「ずっと竜胆のそばにいたい」



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