テラーノベル
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青 俺は何も間違っていません。ただ王子として世界を幸せにしたかっただけです。
ーー俺の言葉は世界を闇に落とした。
父 いいか?お前は王子だ。
青 王子様って王様の子供じゃないの?俺は普通の子供だよ?
父 そうだな。でも、王子様のような人にはなれるだろう?
青 うん…!
父 いい子だな。
流石俺の子だ。
そう言ってお父様は俺を撫でてくれた。
父はいつだって俺を王子様だと言ってくれた。
家はそこそこお金持ちだったし、執事やメイドだっていた。
俺は王子様として育てられた。
父 学校で付き合っていく相手はちゃんと選びなさい。
青 たくさんお友達を作ったらいけないの?
父 お前を王子にしてくれる人が友達だ。それ以外は友人でもなければこの世界に必要な人間ですらない。
王子とは世界を幸せにするものだよ。
青 世界を幸せに…。
頑張るね!
父 不安そうにしなくていい。
お前なら大丈夫だ。
明日から学校だろう。
今日はもう寝なさい。
先生 皆さんは今日から小学生になりました。まずは自己紹介してください。
前から順番にその場に立って名前や好きなもの、夢を話す子もいた。
俺は何を話そうかな。
緊張していたからか思ったよりも早く順番が回ってきた。
青 青です。将来は王子様になりたいです。この世界を幸せにできるように頑張ります。
おかしなことを言ったつもりはなかった。
それなのに、まばらな拍手には笑い声が混じっていた。
同級生 王子様〜
王子様なら俺の宿題やってくれるよな?
世界幸せにするんだろ?
半笑いで話しかけてくる同級生。
俺は完全にクラスで浮いてしまった。
青 お父様…。
父 どうした?なぜ泣いているんだ?
悲しいことがあったか。
心配そうな瞳を俺に向ける父。
その瞳に涙が溢れそうだった。
青 あのね…自己紹介で王子様になりたいって、世界を幸せにするって言ったら笑われたの。
俺おかしなこと言ったのかな。
父 青は何も間違っていない。間違っているのは笑ったやつらだ。
そいつらは世界に必要ないお前を王子にできない存在だ。
もしもお前を笑うなら、そいつらはこの世界から消してしまえばいいんだよ。
ああいう子たちはいなくなっても困らないだろう。
青 でも人を殺すのってダメなことじゃないの?
父 お前を笑う奴らは他の人のこともきっと笑うだろう。
お前は良いことをしているのだよ。
青 でも俺人を殺せないよ。
父 お前は王子になりたいのだろう?
それなら、危険なこともしなければならない。
将来お姫様を守ってやれないだろ。
青 …分かった。
自室で一人考える。
静かな部屋は俺の耳を突き刺してきて。
時計の針は俺の心を急かす。
人を殺す。
でも俺がするのは良いことだもん。
世界を幸せにする第一歩。
お父様が俺に嘘を教えるはずがない。
俺は小学生ながらに世界を救う決断をした。
青 ねぇねぇ。君の宿題ちゃんとやってきたよ。
同級生 まじ?
ありがとうな。王子様。
やはり笑いながらやってきた宿題を受け取る。
受け取った後はもう用なしのようで
別の同級生のもとへ走っていく。
同級生 あいつチョロいぜ。王子様っていえばなんだって言う事聞いてくれる。
そんな言葉とともに笑い合っている俺を笑った奴ら。
俺がちゃんと綺麗にしてあげないと。
青 あのさ。
また宿題やってきてあげるから俺と遊んでよ。
そうあいつらに話しかける。
同級生 いいぜ?
でもちゃんとやってこいよ?
そう言って3人分の提出されることのない紙の束を渡される。
青 学校終わった後公園で集合ね?
来なかったら宿題やらないから。
そう念押しをしてからまた授業を受ける。
この後のことを考えると楽しみで表情が緩んだ。
ーー初めて世界を幸せにできる。
同級生 来てやったぞ。
何するんだ?
青 ボール持ってきたから一緒に遊ぼ!
そのままあいつらの相手をして1時間程経った頃。
俺はわざと車道側にボールを飛ばした。
その手は少し震えていたが
俺の頬は少し緩んでいた。
同級生 何してんだよ下手くそ。
青 ごめんね。ボール取ってきてよ。
同級生 なんで俺が…
青 宿題。
その言葉を出すと嫌がりながらボールを取りに行くあいつ。
あいつがボールを取った瞬間。
タイヤが勢いよく止まろうとする音とともにあいつは引かれた。
焦った残りの2人が車道へ飛び出す。
車が来ていることにも気づかぬまま。
青 お片付け完了。
これでまた世界が少し幸せになった。
それから俺は成長するにつれ殺しが大切なことだと思って生きてきた。
本気で世界のためだと思っていた。
男 やめてくれっ…
青 俺の言葉は絶対だ。
子供の頃からの教育というのは恐ろしいもので、これが正しいと思っている俺はこの生き方を変えることなんて考えもしなかった。
父 …。
俺が父の身長を越した頃。
父が亡くなった。
俺を王子として育ててくれた父がこの世から消えてしまった。
だからこそ。
これまで以上に世界を綺麗にしてきたし、王子として必死に生きてきた。
それなのに、突きつけられた現実は俺の理想通りではなくて。
無情に響くサイレンの音が俺を囲んだ。
俺は本気で王子様になるために、
世界を幸せにするために生きてきた。
それなのに。
世界が言うには
俺は世界を闇に落としていたらしい。
どうせそんなのは嘘だ。
俺が世界を闇に落とすわけがない。
誰も俺が王子であることに納得できないのだ。
俺は何も間違っていない。
俺はただ世界を幸せにしていただけなのに。
世界は俺を罪人と呼ぶ。
俺は王子だ。
あぁそうか。
きっとこの世界が腐ってしまっているのだ。
今この世界で俺を王子と呼ぶのは俺だけ。
俺だけが正しくて。
俺以外はゴミだけ。
哀れで可哀想な世界は
今日も不幸の道を辿っていく。
ーー俺は今日も世界を闇へと突き落とす。
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お久しぶりです。 皆様はどういったジャンルのストーリーがお好きですか? ぜひ教えていただけると嬉しいです。 今後ストーリーを書く際の参考にさせていただく可能性があります。