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それから僕は織田作に今までの出来事を淡々と話した
森さんから性訓練を受けていたこと
自分が妊娠が可能な体であり森さんの子を身籠ったこと
この子を堕ろそうとしていること
織田作は僕の話を聞いて困惑し驚愕しながらも静かに聞いてくれた
織田「何故堕ろそうと思ったんだ?」
そう呟いた織田作の声はいつもよりも冷たく真剣な眼差しで僕を見つめていた
太宰「愛せる自信がないんだよ」
織田「……………………………」
太宰「別にこの子が森さんの子だからじゃない
例え愛する人の子でも僕は同じように悩みと思う
いや人の愛し方もわからない僕が人の親になるなんて無理なんだよ」
織田「俺は愛せられると思うがな」
太宰「どうしてそう思うんだい?」
織田「太宰、お前がこの子を愛せれるか不安に思ったり戸惑う気持ちは当然のことだ
誰だって最初はわからないことばらりで悩むことがあるだから辛かったり困ったことがあれば周りを頼って欲しいお前の力になろうとする人がいるはずだだから一人で悩み込もうとするな」
織田作の真っ直ぐな言葉に心に抱えていたものが楽になったような感覚がした改めて織田作のような友達がいて良かったと感じた瞬間だった
太宰「ありがとう……織田作」
織田「それに悩んだり不安になるっていうことは少しは太宰がこの子に関心があるということだろう」
僕は織田昨の言葉にハッとした
織田昨の言う通りだ
もしもこの子に何の感情もなかったら
すぐに堕ろすことだってできた
でも僕はそれをしなかった
僕は無意識にこの子に何かしら思いを感じていたのかもしれない
太宰「織田昨、僕もう一度真剣に考えてみるよ」
3日後
森「え?今何て言ったの?」
太宰「だから産もうと思いますって」
森「…意外だね、てっきり太宰君のことだから3日前と同様堕ろすと思っていたけど何か考えが変わることでもあったのかい?」
太宰「特にないですよ……でも……もしかしたら此の子が僕の求めている生きる意味になる可能性が僅かにあるかもしれませんと思ったんだそれに」
森「……………………それに?」
太宰「この子に会ってみたいと思ったんだ」
そう言うと森さんは目を見開き驚いていたが同時に何処か嬉しいそうに微笑んでいた
今までの出来事を話終え私は紅茶を一口口に含ませた
太宰「という感じでしょうか……すいません長く話してしまって」
福沢「構わない、むしろ此方こそ言いづらい内容を語らしてしまってすまなかった」
そう話す社長の表情は怒りや沈痛の表情をしていた
太宰「社長が謝る必要はありませんよ」
そう社長が謝る必要もない
責任を感じる必要もない
共感し悲しむ必要もない
それを思うのはあの人だけでかまわない
自分の選択に後悔し苦しみ続ければいい
私の友達を奪い娘の大切なものを壊したのだから
母の職場に来て一週間が経った
探偵社の皆さんはとても優しく面白い人達ばかりで何処か温もりを感じる場所だった
私にはそんな探偵社の雰囲気が今まで過ごしてきた環境のせいなのだろうかとても眩しく感じた
敦「結月ちゃん、今から買い出しに出掛けるんだけど一緒に行かない?」
結月「はい、ぜひごいっしょさせてください」
太宰「では私も一緒に行こう!」
国木田「お前は溜まっている資料を終わらせろ!」
太宰「え~」
国木田「え~じゃない!!そもそもお前が仕事を真面目にこなしていたらだな……」
敦「そろそろ行こっか」
私は敦さんと共に探偵社を後にしようとした時
母が私を引き留める
太宰「気をつけて行ってくるんだよ」
結月「はい」
そして今度こそ私は敦さんと探偵社を後にした
横浜のとある商店街に一人の男性が誰かを一生懸命探し周っていた
森「エリスちゃん~何処に行ったの~」
困ったなぁ、服を選ぶのに夢中でエリスちゃんが居なくなったことに気づかった
森「エリスちゃん~私が悪かったから出てきて」
すると突然白衣を引っ張られ私は必然的にエリスちゃんが戻ったのだと思い振り返る
森「もうエリスちゃん何処に行って……!」
しかし私の後ろに立っていたのは4年前に突如太宰君と共に消息不明になった私の娘だった
結月「…………………………パパ」
今にも泣き出しそうな顔をし震える声で私を呼んでいた